朝焼けまでの籠情

夜に覚醒した意識が心を閉じ込めた

憂鬱という感情が這い回る

それは蜘蛛か百足か

全身に回った毒は手首から血を流した




あなたからもらった愛を偽りだと

そう思ってしまったのは毒のせい

私は私の心を喰らったの

決して本心じゃないと信じたかった






自分が自分ではなくなる瞬間

そんなものはどこにもなかったのに

気付けば何百回目かの自己改竄

本当の自分なんてどこにも見当たらないよ




発した言葉は自らを傷付けて

熱を帯びた心臓が脈打つ

破裂しそうな勢いで

自壊しそうな激しさで

鈍色の魂を穿つ




夜に書き綴った文字列は加速させる

漆黒に染められた君の疾走

鏡に映る像が人形のように

こちらを見つめていた






全ては夜の暗闇が見せた幻影の旅路

朝焼けまでの籠情

朝焼けまでの籠情

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-07

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