朝焼けまでの籠情
夜に覚醒した意識が心を閉じ込めた
憂鬱という感情が這い回る
それは蜘蛛か百足か
全身に回った毒は手首から血を流した
あなたからもらった愛を偽りだと
そう思ってしまったのは毒のせい
私は私の心を喰らったの
決して本心じゃないと信じたかった
自分が自分ではなくなる瞬間
そんなものはどこにもなかったのに
気付けば何百回目かの自己改竄
本当の自分なんてどこにも見当たらないよ
発した言葉は自らを傷付けて
熱を帯びた心臓が脈打つ
破裂しそうな勢いで
自壊しそうな激しさで
鈍色の魂を穿つ
夜に書き綴った文字列は加速させる
漆黒に染められた君の疾走
鏡に映る像が人形のように
こちらを見つめていた
全ては夜の暗闇が見せた幻影の旅路
朝焼けまでの籠情