無翼と
僕らは翼を持っていた
どこへも飛べやしないが
どこへでも行けたはずだった
白い羽根はいつしか排気ガスで
汚く黒ずんで
6月の空に陰を落とした
夏に慣れない蒸し暑さが訪れた
「きっと僕らがいるべき場所ではないから」
翼を失ってもなお人々は飛び立ってしまったんだね
どこへも飛べない心に病んで
永遠の10代も増えたし寿命も縮めた
全てはせかいが悪いんだ
逃避の果てに辿り着いた死に場所だって
本当はそんな場所になりたくなかったはずだ
夢や希望の絞首台はどこにでもあった
夢にあふれたとき
夢にあぶれたとき
せかいの中心には何がいたんだろう
無翼と