無翼と

僕らは翼を持っていた

どこへも飛べやしないが

どこへでも行けたはずだった




白い羽根はいつしか排気ガスで

汚く黒ずんで

6月の空に陰を落とした

夏に慣れない蒸し暑さが訪れた









「きっと僕らがいるべき場所ではないから」







翼を失ってもなお人々は飛び立ってしまったんだね

どこへも飛べない心に病んで

永遠の10代も増えたし寿命も縮めた

全てはせかいが悪いんだ




逃避の果てに辿り着いた死に場所だって

本当はそんな場所になりたくなかったはずだ

夢や希望の絞首台はどこにでもあった




夢にあふれたとき

夢にあぶれたとき




せかいの中心には何がいたんだろう

無翼と

無翼と

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-06-05

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