Mr.サンフォライズT・Jの嚢中 (頭の中)

牧野 ヒデミ(hidemi makino)

Mr.サンフォライズT・Jの嚢中 (頭の中)
  1. 第1話   夜明け
  2. 第2話  蛟龍と山
  3. 第3話  スカラップ号
  4. 第4話 バルキーとbetter half湖とアテンアの巨魁
  5. 第5話 サンフォライズT・Jの第一歩

スカラップ号に住む5人のおかしなストーリー。
サンフォライズT・Jの自由市とは?
海と空。そして空と湖。
スカラップ号の住人たちは、面白くてカッコいい!
不思議なソフィストオークションには、理解不可能!入手困難な特急品。

一体これはなんなんだ?!
愛と勇気の未来信号それとも未来への通告か。
いえいえこれは未来への希望です。
えっ?
さてさて、解読できますやら。

明日は毎日やってくる。

サンフォライズT・J!

声をかけられどこまでも。
守れ!地球!と、人々の憧れる「アテンア」とは?

未来への住居か、はたまた、手作り大自然。

こんな家ってあり?

スカラップ号の住人達の夢とは、一体・・・・・・。

第1話   夜明け

サンフォライズT・Jのプレゼントpic upが伝声管(デンセイカン)から流れると、3キロ先からは、サフランスモークが立ち昇り、朝日にかかる積雲(セキウン)の切れ端に結び付いた。

「それじゃ、私、受け取りに行ってきますから。」

日課である、チューロの(セミ)のエサは、赤道板色(セキドウバンショク)に付ける為のマラガ。

好物でありながらも、しょうがなさそうに、朝一番で受け取りに行く。

天助(テンスケ)さん、いらないってね。やんぬるかなぁ、眠ってばかりでは、イタチバサミに持っていかれてしまうよねぇ。ドロボウも案外忙しいですから、秒針をくるくると回してね。
この前のスクープだって逃しましたよ。通気口を利用した備え付けダストBOXの発明者ともビール飲んでいたくせに、消えた、消えたってハシゴして。
バイオエネルギーの薬物混入事件だって取材するのチームラフラムでしょう。」

「ご関心の妨害ってやつだよ、チューロ。どっかの回路混戦中。
渋滞してるほうが良いの。
そんなもんだよ。ね、ソール。」

「そうそう。そうだよね。
辿り着け、我先に。
だから、天助(テンスケ)さん、ヘリコプター飛ばしてるでしょ。」

天助(テンスケ)さん、眠っちゃって。」

「おっと、バルキー、
眠らずに生きれまいよ。
食べずに生きれまい。
創造するのは、未来星人の出来損ないか。」

「チームラフラム、骨折犯ですよ。
天助(テンスケ)さん、ヘリ飛ばしても、今日はこれでって。
ツケを回してエスピノの木の実ですもん。支払いが。」

そう言うとソールは、出窓に置いてあった植木鉢からグァバを一つもぎると、天井高くひと投げして、美味しそうに(カジ)った。

苦土(ニガツチ)に植えてしまっては、一年待っても育たないもので。
街中に不思議な自然を作っては、自由で無くなる。

趣のあるナチュラリストが鉄格子で、物品報酬に変わり行けば、不自然な配給制のペアルック。

チューロは、大量のボタンを縫い付けた燕尾(エンビ)ジャケットに、ワークパンツを履き、三輪バギーのエンジンをかけると、荷台に幌布(ホロヌノ)をかぶせ、3キロ先のサフランロードへ走って行った。

「チューロも出発したし、バルキーは稽古でしょ。」

「ソールは?稽古といっても、今日は歩道橋下の公園へ壁打ちに行ってきます。
スカッシュコートは明日予約してるので。」

「音は出すの?」

「明日はまだ。エレクトリックパネル製作に必要な音源をもう少し探そうかなと思ってね。」

「舞台は、湖って聞いたけど。バルキー白鳥になったか。」

「ははは。ソールも飛ばすよ。
静かな湖でね。岸辺は広々としていて、
奥に広がる森も大木が多い。空気が澄んで湖が見渡せるんだ。湖畔(コハン)の周りを木々が半円ほど(オオ)っているので音の反響もいいんじゃないかって。音を聴きながらのんびり休めるよ。
今回はサンフォライズT・Jがそこでって。」

「最近、フラッパーもプラチナチェスでナイトを良く使うから。
少なくなったってね。
ミラクルスペースに、もう足跡があってさ・・・。」
シュプールに沿って、エスピノの種を転がして、巨大な雪だるまで通行止めだよ。」

「チームラフラムのコンデンスメーター、三碧(サンペキ)に付いてるでしょう。
ブラックホールに見せかけて、突風であっという間に集めちゃうから。」

バルキーの壁打ちも、サフランスモークが光っているのを見れば、今日も人が溢れるだろう。

今ではパフォーマーとして人気者のバルキーだが、彼が元々はテニスプレーヤーだった
事を知るものは少ない。
当時は、ユニークなスピードプレーで期待されていたと聞く。

無駄な力を抜いた軽やかなスマッシュ。
長い手足を巧みに使い、どこへ打たれようが、バルキーのピンポイントは1打、2打と見事に決まっていた。
風をさらい、ラケットが見えなくなるという。

勝利数も多いのに滑らかな、線の細さからか、何故か選手生命は短かった。

分かれ道となった、大会の決勝戦では,3対3のデュース。

接戦の末、決め球のスピンサーブを返されて、相手のボレーからコーナーへのスマッシュ。

決まったと思われたが、バルキーのスマッシュはラインを超えた。
判定に疑問を持ちつつも、バルキーは敗退。
そのまま引退した。

その後、バルキーはパフォーマーになった。
夕暮れの公園でリズムBOXを歩道に並べ、音に乗りながら軽快に壁打ちをしていた。
光が見えたと聞いた。
その時のバルキーにサンフォライズT・Jが声をかけたのが始まりとなる。

第2話  蛟龍と山

現在のfree cityは都市であるのだろうか。

都といえば華やかで、人も多く賑やかであるべき場所だ。常にそうである事だ。

深い藍色に染まる(ウロコ)のモン紋判(モンハン)朱菊(シュギク)花押(カオウ)に包まれた蛟龍(コウリュウ)は、伝説の英雄である。


一つ、大昔、

蛟龍(コウリュウ)(ハニ)が土手に並べられた埴宿(ハニヤド)に住むラノリン族を救ったという話がある。
荒れ狂う大嵐で闇雲がうねり、木枝は凶器に変貌した。次々と(ハニ)も砕かれ、村は崩壊寸前であった。

土手も崩れ始めラノリン族が家を失いかけた時、天から山を動かし、洪水を止めたのだ。

ラノリン族の人々は、茴香(ウイキョウ)を育て、その香りに(イザナ)う。

黄褐色(キカッショク)に染められた衣服を身に(マト)った、妖艶に美しい妖花(ヨウカ)民族であった。

土気色(ツチケイロ)の土壁で固められた小屋の中には、羊も飼われており、ラノリン族の人々は羊毛を紡ぎ、羊毛に青白い軟膏を練り上げて、肌が生まれ変わるという、ラノリンクリームも製造していたのだ。

蛟龍(コウリュウ)が山を動かしたおかげで、雨風も凌げ、穏やかになった村には人々が大勢集まり、城も建てられたのだ。
ラノリン王国の誕生だ。


水中に(ヒソ)蛟龍(コウリュウ)は、雲が空を(オオ)い、雨が嵐に変わると、水底奥深くから天空に昇り、災難にあった人々を救うのである。

都には王が住む。
その城下町へと行くのであれば、そこが本当の都だ。

賑やかである事だけが都ではないが、一つの境界が出来た所で、ある時の闘争が起こる事もある。
人々が作り上げる事に数の決まりは無いのだが、その自由とは何処にあるのだろうか。

茴香(ウイキョウ)の香りは料理の味付けに喜ばれ、とても人気がある。
人気があるのであれば皆が求める。
人気があるものであるのに一つの境界内のみでと、その一握りで進める事は危険である。

世界中に有名になり、そして誰もが欲しがるであろう。
宝が集中すればそこへ狙い撃ちと、ウルフ・ソードが全てをさらって行くのだ。


新道と旧道の4車線。

封鎖されたトンネルには、家も車も人もいない。そこにある空間は、幻ではないのだ。
一部が好んでいる路線をひたすら走るのは、時に渋滞も巻き起こす。
簡単に新道を作るのは、都への近道。
お座敷列車のローカル線でパーティを開けば、それこそまるで自宅だ。

但し、今の俺達には、通りだろうが山の中だろうが、サンフォライズT・Jの為にも、この目標を達成しなければならない。

新しい土地、まだ未開の地であれば、争いは無い。
時を長く、時間を待つ。
無駄に思わず長く考える事だ。
そうすれば、きっと幸せを手に入れられる。
封鎖されたトンネルに俺達は的を当てた。

静かなトンネル内には大型プロジェクターを設置し、夜空に広がる星空から一転、ライト玉を1面に広げた。

レバーを上に引き上げると、グリーンコートが現れる。

水滴と温風音(カザオト)に乗りながら、ライト玉は天井から床へ、床から天井へと、交差し、点滅を繰り返す。

水音が鳴り響けばソナーが音を立て、風音(カザオト)がなりと、トンネル内のfree cityは、一日限りのマーケットとなった。

「あれは?バルキー。チューロがトンネル横の鉄ハシゴに登ってるけど、標識でも持ってくるのかね。」

「抜け道があると話していましたが。」

「どこに?」

「峠から山を見たら、旧道と新道に挟まれてるから、あの山は元々トンネルなど掘らなくてもいいはずだったと。」

確かに、新道とトンネルへ続く旧道は、二車線とも、本線と繋がれた新車道である。
山の上には別に、さらに旧道とも思える道があるのだ。
同じものばかりを繰り返し作って行くと、この先には何も残らない。俺たちのマーケットには、似たような物を作る者などはいない。
この様な残されたトンネルが、世の中には溢れているのだろうか。


「鉄ハシゴを一周すれば、私のマラガを収めて、窓でも付ければゴロっと、こらせっと。」

「住めば都じゃない、チューロ。」

「歌おうか?」

「尊重しているのですね、この場を。」

「ソールが連れてきたのですよ。トンネル掘ってしまって、いらないんじゃ、チューロもらっておくよ。」

「渓谷の滝と、山桜が都心にあるのって、束縛と占領の現れでしょう。
ナチュラルなのに大好き!って。
なのに、自然破壊だって責められると恐くなり、自己嫌悪に陥り、不思議を作ると・・・・。
都市開発ばかりを進めるのはどうなんだろうね。マーケットは中味だからね。
一日限りと言ったって山の中までも来場者は沢山来たじゃない。
こんなオンボロトンネルだってさ。
俺達の路線も気に入られたよ。」

そう言うとソールは、マーケットで売られていた、シープミルクを皆に配った。

「いやぁ、ソール。心の底から、全てを動かそうと支配する者も。」
幸運にも俺達が見つけたが、お決まりの法則に挟まれたら・・・。」

「持って行かれたら無くなりますからね、この場からは。」

後考(コウコウ)に待つと申してるんですかね。」

「バルキーも、チームラフラムに、見つからないようにね。」

「こっちのものが欲しいんじゃ、ラフラムの城と取り替えてくれればいいだろ。」

「まさしく。まぁ、サンフォライズT・Jは取り替えませんけどね。」

「いい城に住んでいながら、なぜラフラムは力を奪うのだ?」

「情報の立体化。原っぱから芽を出す草花の予想は、髪の毛の本数を数える位大変だろ。
ラフラムの奴ら、見つけては、本当の良いものを隠そうとしているのかも。」

「ソールは、トンネル見つけて、マーケット続けるのですか?」

「住むよ。とりあえず。」

「大きいですけどね。トンネル。ラフラムに見つかるんじゃ・・・。」

「チューロは、マラガフローズンで、少し熱冷まして。マーケット好評でしたよ。チューロの温度計。」

「ええ。鏡も合わせた形のモノも喜ばれました。」


早起きのチューロは、ヨーグルト配達の為、3輪バギーでの移動も多く、気温を測る為にと自作の温度計を作り部屋に置いていた。
チューロの温度計は50センチ程の大型の温度計で船内の白色と美味しいヨーグルトにも合うからとサーモングリーンに色を付け、金箔で縁取りをして真鍮の金具が付けられたものだった。

サンフォライズT・Jも気に入って、もう一つ創った温度計は、年に一度のソフィストオークションで高値を付け、チューロは配達の後、創作することに。

「チューロに、もう少し広いトンネルがあればね。」

「と、探したのが、このトンネル。」

「もらっていいんだね。チューロ。」

「バルキーも、天助(テンスケ)さんも、私も住むから・・・。まぁ、このトンネルに住むまでには、サフラン1g集める位、大変な時間がかかるけどね。」


チューロもバルキーも、マーケットの終了後、トンネルのある山を眺めた。

静まり返ったトンネルには、夜空を映し出していくつもの輝く星空が広がっていた。

第3話  スカラップ号

サンフォライズT・Jは、廃船として残された客船を改装し、水上の巨大なマーケットを作った。

客室のスペースは泊まることの出来るホテルとしても現在は活用している。
船内で定期的に行われるライヴ演奏やビストロでの食事は、街角を想定した移動しない豪華客船といった所だ。

天助(テンスケ)、バルキー、チューロ、そして私も含め、皆で現在この客船マーケットである「スカラップ号」に住んでいる。

卵から還り、世話を必要とも、世話をするともしない生き物は、マイペースの自由と危険。鳥は暖め、イルカはミルクを与え、巣を作り、道を教える。

5年前、太陽がギラギラ輝く暑い夏の日、路上に座り、小さな東屋と人形を組み合わせた、天気予報機という「ウェザーメーター」を作っていた若かりしチューロも、サンフォライズT・Jに拾われた。
手の平に乗る程の小型の「ウエザーメーター」は、湿度が高くなると人形の服が重くなり、東屋の中に隠れるという仕組みになっていた。
素朴な人形と木製の東屋は緻密な作業で作られており、創意工夫を凝らされていた。


「客船を独占しているのって、隠蔽(インペイ)かい?」

「元々は、ここはただの海だしね。ほら、チューロ泳げば?」

バルキーは船内にある浮き輪を取ると、円盤投げをしてみせた。

「便利にして、不便になってきた物でしょ。この船は。」

「そうだね、ソール。捨てられた船のままでは、幽霊船だよ。自然美とは言い難い。」

「それを変貌させるのが、サンフォライズT・Jだろ。せっかくのシークレット。って所だね、バルキー。」

「廃船の追及をしていても仕方が無いよ。ソール。」

「バルキーの言う通り。天助(テンスケ)さんが、情報ゴミ屑の脳内コントロールだって話してたけど。」

天助(テンスケ)さん、ヘリコプターで先日、座礁した船を取材してたし、空の上からいつも美しい海を眺めているしね。ソールもチューロも大活躍だよ。お疲れ。」

「まぁ、家に備え付けられる、ブルーム&ダストボックスは、ビンゴだよ。」

「背負い投げも受け身も、クタクタ。」

「スカラップ号にも設置できれば、ブルームでさっと集めて、BOXでシューッと吸い込み。、ポイで終わり。」

「しかし、バルキー、船全体がダストBOXになっても困るよ。ヨーグルトが崩れちまうよ。」

「スクープ!!大発見、と言ったって、後処理ばかりで、しかもラフラムに先を越されてるんじゃ、天助(テンスケ)さんが、新星の名付け親になったのも、理解できるけれどね。昨晩も、船長室の望遠鏡で星を眺めていましたよ。」

「ああ、それで・・・。天助(テンスケ)さんがソール呼んで来てくれって。チューロも来て。」

甲板から船内の客室を通り、階段を下って、マーケットが並ぶ先の、ビストロへ。天助(テンスケ)さんは、海水発電機で、ジューサーを動かし、パイナップルジュースの準備をした。
そして、皆を呼び、テーブルに集めると、ボトルを運んできた。

「これ、SOS?」

天助(テンスケ)さんは神妙な面持ちで皆の前に立つと両手を広げて公開した。

「流れ着いたようです。」

バルキーはラケットで球を転がすと、掬い取るようにキャッチして見せた。

「ボトルの中に、箱が入ってるんだよ。チューロも確認して。」

「そうですねぇ。天助(テンスケ)さん、こりゃぁ、どうやって・・・・。」

「星を眺めていたら月の光で反射して、ボトルネックが見えたもんで。」

天助(テンスケ)さん、どうやって拾ったの?」

「救命ハシゴ降ろして、救命ボート漕いでね。」

「一人で?」

「SOSでしょ?これ。助けなくっちゃ。」

「高波だったのに、天助(テンスケ)さん危ないなぁ。呼んでくれれば良かったよ。」

「一度、救命ボートに乗ってみたかったもんで。」

天助(テンスケ)さんダメですよ、無理しちゃぁ。」

ソールはボトルに顔を近づけて覗き込んだ。

「いや、しかし箱が入っていたもんで、飾っとくもんか、中身はどうなってるのかと。これは大発見かなーーーーとね。皆も興味あるだろう。」

「割るしかないでしょ。ね、天助(テンスケ)さん。」

「割ってしまうのは簡単だけどね、バルキー。この状態も、中身も重要だよ。」

「中の箱だけ、分解するとかーーーー。いや、箱が古めかしいけど、年代物でしたら、と。それも考えませんとね。」

「ソールは、箱が気になる様だけれど・・・・。そういえば、サンフォライズT・Jには報告したの?天助(テンスケ)さん?」

「いや・・・まだ・・・。」

「どうして?天助(テンスケ)さん?」

「サンフォライズT・Jは、きっとソフィストオークションに出品するはずだよ。」

「うーん・・・それは・・・ありえるね。天助(テンスケ)さんが、そう思うのもわかるけど。」

「そうだろう、ソール。SOSだとしたら、このまま放って置くわけにはいきませんよ。」

天助(テンスケ)さん、救命ボートまで降ろしたしね。バルキーも協力的だね。」

「では、割りますか?」

「決断早いですね、バルキー。」

「あっと、その前に、皆で記念写真,撮りましょう。さっ並んで、並んで。」

天助(テンスケ)さんは、よしっそれでは、と意気揚々とカメラを構えた。

「ヨーグルトの配達、今日は休みで良かったね、チューロ。」

「バルキーの写真集に載せてもらえるのかい?」

「はははっ、そうこなくっちゃ。バルキーが写ってなきゃね。だから天助(テンスケ)さんも並んで。ほら、セットして、タイマー。」

「箱の中身ですけど、結果、サンフォライズT・Jが、残念がったらなぁ・・・・。チューロ、賭けないよ。ヨーグルトが、おしゃかになっちまうから。」

「ソフィストの方々も、風変わりな人たちばかりだからね。」
バルキーは肩をすぼめた。

「この場合は緊急事態発生ですから、天助(テンスケ)さんの勇気に今回は賛同しましょう。Spoofオークションになってしまったら、サンフォライズT・Jだってスカラップ号、無理矢理出航させて、当分、陸になんて戻らない!なんて事になったら、それこそ大変でしょう。」

「動かないからね、この船。安心して。動いたらヨーグルトが崩れちまうからね。」

「ショービニスムだから、サンフォライズT・Jは、天助(テンスケ)さん話したら出品しちゃうよ。」

「そうでありますよ。バルキー。だからこの場でお話をした訳ですよ。いいですか?割って確かめて。私は・・・、賭けますよ。さっ、取り敢えず、写真撮るからね。」

天助(テンスケ)さんは、ジャーナリスト魂を燃え上がらせ、ボトルを幌布(ホロヌノ)で巻くと、道具箱からカナヅチを取り出し、皆に気持ちを示した。
力強くカナヅチを握り締めて、何度もうなずくと、胸を叩き、心を決めた。
そして・・・・。振りかざした。

天助(テンスケ)さん、ちょっと待って。」

「え?」

天助(テンスケ)は寸手の所で身体を止めて、テーブルに手を付くと、目をぱちくり。

「割らなくていいかも。」

そう言うとソールは、両手の平を向け頭を下げると天助(テンスケ)の持つカナヅチを押さえた。

「どういう事?」

天助(テンスケ)は深く息を吐いた。

「粉々にするよりは、少しでも形を残したほうが、納得してもらえるはず。カメラに納めましたが、現物が無ければ伝わりませんよ。
底を切り落としましょう。バルキー、道具箱から、ダイヤモンドカッター探して。」

「ソールは、もしかしてSOSでは無いと踏んでいるのでは?」

「これだけの時間をかけて話しているんだから、緊急事態とは思えませんよ。もう、残せばいいんですよ。」

天助(テンスケ)さん、巨大ウォーマーで温めるから。」

「いつもそうですよ。焦ってるの。のんびりと。だって天助(テンスケ)さん、考えてもみてください、この間のバイオエネルギーの薬物混入事件の時だって、原因はプトマイン。死滅した有機物が毒になっていた。肥料にしろ、飼料にしろ、腐敗に気がず、使用し続けていた事でガスが発生。

検査の結果を信用できないって、牧場の牛を逃がそうと、大急ぎでヘリを飛ばし、何者かを追跡した。
結局は誰も混入していた訳では無かったんですから。」

「まぁ、まぁ、ソールも落ち着いてぇ。」

チューロは、天助(テンスケ)とソールに、持っていた小さなベーコンサンドを渡した。

「ありましたよ、ダイヤモンド。はい。天助(テンスケ)さん、印付けて。カッティング頼みましたよ。あっベーコンサンド、僕も貰います。」


「チューロ、賭けてみたくなったよ。SOSかぁ。で、無いとしたら、どういう事?」

「17世紀後半、ガリバー旅行記。小人がボトルの中に、創作した芸術品。古めかしい箱は、現代の物では無いと思うよ。」

「まさか・・・、ソール。
しかし、SOSだったとしても、動けるのかい?天助(テンスケ)さん。木箱を報道して大捜索するつもりでしょう。
早合点して、松露だ、トリュフだって、赤松からきのこ採取して、腹痛で寝込んでいましたからね。
ヘリ飛ばして、松露饅頭でも買って来てくれれば良かったよ。」

「円盤取れた・・・・。ふーっ。
上手くいきました、ほら、ソール、ヒビも入っていないだろう。この状態なら、まぁ、サンフォライズT・Jに持っていってもね、確認済みとなれば、安全でしょう。

「はら、木箱の蝶番(チョウツガイ)緑青(ロクショウ)吹いてるよ。」

「ソール、嬉しそうだね。」

「こりゃぁ、300年間流されてたんじゃ、こうもなるだろうねぇ。開けてみてくれよ。チューロ楽しみになってきたよ。」

「貴重品でしたらと考えて、一応ここはホワイトグローブを使ってください。」

「ソールも、用意がいいね。」


「慎重に扱いませんとね。落ち着いて、落ち着いて。天助(テンスケ)さん。」

「SOSだったとしても、緊急事態だっていうのに、この状態で船食い虫でも付いてたら、穴開いて、もう沈んじまってるよ。」


「大丈夫だよ、チューロ。間に合うから、落ち着いて開けてみてください。」

天助(テンスケ)さんは、ボトルの底からゆっくりと木箱を取り出すと、広げた幌布(ホロヌノ)の上に置いた。
チューロは、気を利かして、カメラを天助(テンスケ)さんに渡し、撮影も盛り上げた。
記事の作成も行いつつ、いよいよ、木箱の蓋を開ける事に。

「開けますよ。シャッターも切るからね。準備はいい?天助(テンスケ)さん。」

「はいっ、お願い。」

天助(テンスケ)さんを囲み、木箱の中を全員で確かめる。取材と忙しい天助(テンスケ)さんは、大慌てでカメラを掴んだ。

「・・・・っと、これは・・・・、紙だね。」

「紙が入ってるよ、天助(テンスケ)さん。」

文箱(フミバコ)だったねぇ。」

「一枚だけでは無い様ですねぇ。」

天助(テンスケ)さん、手紙かねぇ、ちょっと読める?よその国から流れて来ているのなら、そうは読めないよね。」

「いいから、ソールも落ち着いて。まず、一枚目、開きますよ。」

束になっている紙を押さえつけながら広げると、そこには、真っ赤に塗られたイチゴの絵が描いてあった。」

「イチゴ・・・の絵だね。」

「イチゴだね、チューロ。イチゴだけど、イチゴに皮なんて付いて無いですよ。どう思う?ソール。」

「オレンジの中身がイチゴになっているといった果物の絵ですね。皮も赤いし、緑色の部分はヘタでしょう。」

天助(テンスケ)さん、取材、取材。」

「ああ・・・。SOSでは無かったか・・・。だが、これは・・・。」

「二枚目、いいですか?開けますよ。」

「バルキー、グローブ使って。」

「OK。」

「こりゃ、なんですか?・・・記号だねぇ。イチゴレシピ?チューロにも作れるかな。」


「イチゴの解読所ですか?ソール。」

「分析してある。このイチゴは存在するって事ですか。それとも・・・。」

天助(テンスケ)さん、全部めくっていい?幌布(ホロヌノ)の上に広げて置くから。」

「ああ、バルキー、頼むよ。並べた所、カメラに納めるから、じゃんじゃん広げて。」

「慎重に、バルキー!天助(テンスケ)さんも。悪い癖だよ。」

「ええ、ソール。わかってるけど・・・ってやっぱり臨場感が無けりゃ、オレも動けねぇのっ。」

「3枚目、4枚目と・・・やはり記号と、化学公式・・・。解説図なんだか、まったく意味がわからないよ。どういう内容だろう。」

「これは、一大ニュースになるな。」

天助(テンスケ)さんは、全てカメラで撮影すると、記事をまとめ、呟いた。

「意味が解らないんですから、ニュースにもならないでしょう。解読するまで待ってくださいよ。」

「何を言ってるんだよ。ソール。この状態でまずは十分。新聞社に届けるよ。」

「サンフォライズT・Jに連絡してないじゃない。」

天助(テンスケ)さん・・・・、やはり・・・。」

「ソフィスト達が、黙って無いって。」

サンフォライズT・Jだって、考えてくれるでしょう。」

「そんな時間を置いたら、チームラフラムが嗅ぎつけてさーっと奪い取られちまうよ。あいつら、ソフィストの一員とも、どこかで取り引きしてるんだよ。」

天助(テンスケ)さん、最近スクープ逃してるからね。チューロはこの賭け当たったし、天助(テンスケ)さんの手柄だよ。」

「いいか、皆、このスカラップ号を探し当てたのも俺なんだよ。頑丈で、倒れない。情報を守る為にも、ベストシップは最適だ。マーケットとしてだって、成功してる。今日のこの出来事を、いち早く伝えなければ、ありふれた、イチゴを食べるのと変わらないだろう。」

天助(テンスケ)さんは、ビストロの奥の壁に飾られた、船幽霊の神に手を合わせ、願っていた。
ソールは5枚目の解読書を眺め、ブツブツと頭をひねりながら考え事をしている。

「このイチゴ、子供が描いた絵じゃないか?」

「子供?子供にしては、上達してる。公式も専門的だし。」

「いや、5枚目に『Apprentice n`est pas maitre.』って。」

「どういう意味?ソール?」

「弟子は師匠ならず。」

「弟子が描いた。って事?」

「このイチゴは、実はまだ研究段階で、実証できない。けれど、可能性としては、ある。」

「師匠には、認められていないけれど、思い立って世の中に残そうと海に流した、とかね。」

「理由あって、手離して、引き渡しているのか・・・。引き継いでもらいたいのかも。バルキー、箱に戻して。」

「いいんですか?ソール、天助(テンスケ)さんが見つけたのに・・・・。」

天助(テンスケ)には私から話すよ。」

ソールは、船霊の神に祈る天助(テンスケ)とチューロの所へ行くと、手を合わせ、隣に並ぶと話し始めた。

天助(テンスケ)は、サンフォライズT・Jに頼まれて、スカラップ号を見つけたんだよね。依頼されたのだから、仕事として当然だし、もちろん、この素晴らしい船には、皆感謝しているよ。
この文箱(フミバコ)も、天助(テンスケ)が発見したものだけれど、まだ解明されていない。
しかも、認められていない研究だったら、報道する必要性はまだ無い。

天助(テンスケ)が見つけた事だけでニュースになるのなら、まずはサンフォライズT・Jに報告するべき。」

出鱈目(デタラメ)だっていうのか!海岸に流れ着いた漂流物だって、取り上げることもある。
発見した所で、記事になるんだよ。
溢れているのさ、情報ならなんだっていいんだよ。」

「現物と研究段階では、違うでしょう。どうしたのさ、天助(テンスケ)、ムキになって・・・。」

「皆で写した記念写真を載せたらぁ、チューロのヨーグルト配達も、記事になって、当時は長蛇の列もできましたし、皆さん「美味しい」なんて喜んで、ずいぶんとお客さんも増えましたよ。そういやぁ、天助(テンスケ)さんの姿は見ないよね。」


「・・・・。わかっているだろう。天助(テンスケ)は、ラフラムに妨害されて、回線が混乱しているのさ、大丈夫、働けず怠けず。文箱(フミバコ)は、報告してくれるね。」

「じゃぁ、ソールから渡してくれよ。」


「ダメだ。天助(テンスケ)が行くんだよ。」

「サンフォライズT・Jにこれを見せたら、どうせ・・・。」

「怖いのかい?」

「なんだって?俺はそんなんじゃ・・・。ただ情報として世の中の人々にも報道する必要性はあるんじゃないかと思うんだよ。」

「ダメだ天助(テンスケ)。まずはサンフォライズT・Jに報告するんだ!。いいね。かならずだよ。」

「・・・わかったよ。」

満月の夜、月の光に反射して発見された、文箱(フミバコ)ボトル。
いつの時代の物なのか、ボトルの中に長細い木箱がどうやって入れられたのか。
5枚の紙に描かれた不思議なイチゴと、化学記号。
公式の暗号も全て解らない。

波に揺られ、天助(テンスケ)の元へ届けられたわけでは無いが、最近あきらめ半分だった天助(テンスケ)がムキになって動いたのだ。

星に願いを。

これは、天助(テンスケ)へ贈られたボトルなのではないだろうか?

ふと、星空を見上げ、私も星に願った。

第4話へ続きます。

第4話 バルキーとbetter half湖とアテンアの巨魁

方法、プラン、見せ方と、現物完成品、あるものだけ。

否定する理由がある場合は、初めから冒険はしない方が安全。

サンフォライズT・J。
可能性を重要視するならば、見守ることと、それなりの受け入れ態勢はある人である。

バルキーの湖畔(コハン)でのスカッシュライヴは、湖の中心に建てられたクリヤーなBOXで行われる。

音源が入力されたパネルを壁に設置し、2本のラケットで打ちまくる。
森に囲まれた静かな湖に、木漏れ日が入り、ライトUPされると、透き通る灯りは雨氷に見えた。

キーンとした涼しげな空気の流れる中、BOX内でバウンドさせた球をバルキーが壁に打ち当てる。
数十種の音の重なりと共に、森にいた鳥達が何羽も飛び行き交い、続けてバルキーは二本のラケットを巧みに使い、スピードを上げ、打ち続けた。
パネルから鳴り響く音の連鎖反応でBOXからは幻想的な映像が映し出される。

スモークに現れた西瓜と南瓜。
山芋が和音で流れると鰻に変わる。
西瓜と南瓜は月になって、タ、タタタタタ!
連射、連射の高速リズムBOXは、バルキーの打つ、速球で光環を輝かせた。
BOXは、光環で(オオ)われると、全ての4つの壁が照魔境(ショウマキョウ)になり、森の木々、空、そして観客を映し出したのだった。

雨氷の映し出される中、水に乗り蛟龍(コウリュウ)も現れたか。

森に囲まれた湖畔(コハン)は、所々に小さな船着き場もあり、木々の奥には木製の手摺り(テス)も見える。
繁った草枠は鳥達の巣なのか、飛び立っていない鳥の数だけでもかなり多く、時折その茂みが揺れ動いて、毛むくじゃらな白綿(シロワタ)が通り過ぎた。

森、後方の高く伸びた木々の山頂には,風を読むのか、布らしき物がはためいていた。

バルキーが打ち当てた音は、高音を響かせると、花が伸び、低音が鳴り響くと波紋が揺れた。
二重、三重と音が重奏していけば、湖畔(コハン)は、ぐるぐると、湖の周りを回転し始め、クリヤーな水は、クリームになった。

ラノリン族が、天災から助けられたのは、その一族が大切に守っていた物を素直に続けていたからではないだろうか。
どこへもいかず、まずラノリン族である事を大事に思っていた事である。
他が阻害してくる場合は、その守っていた物を、利用したいからであろう。
天災で、知られざる宝が失われるのは、悲しい事だ。
神話として伝えられた沈没船を発見し、数百年後に価値だけを上げても、2度と戻る事は無い。

蛟龍(コウリュウ)が存在するのであれば、この地も守られる。
スカラップ号もそうであろう。
サンフォライズT・Jとソフィスト達は、私も含め、チューロやバルキー、天助(テンスケ)の事だって、認めてくれている。
ただし、現存からの重奏和音で、私達は、いつもどこか遠く、深く、息を吹き込めて何度となく見えない呼吸を繰り返させるのだ。

今ここで、ラノリン族が生活していたら、もちろん大喜びだ。
そうである。
ラノリン族は絶滅したのでは無い。
ラノリン族は生きているのだ。

事由である事を前提にした場合、住んでいる場所、仕事に買い物、税金と、あっても無くても人生総てにおいて、自由である。
しかし、こんな事は、無謀で普通の一般人では、まず不可能。
バルキーのfree cityは、better half湖でのぃLIVEという形で、自由を得た。
夢が叶ったのであれば、その時、己の表現で勝ち得た事で、自由であるのだ。

地球上に存在し、地球上で暮らす人間の生活には、ルールがある。
この瞬間のバルキーは、スカラップ号で過ごしているバルキーとも少し違う。

事由を謳歌(オウカ)し、かつ明日への希望に漲っている。
もちろん、スカラップ号が、自由で無いと言う訳では無い。
照魔境(ショウマキョウ)に映る観客にしても、better half湖で楽しんだ時は自由であるが、毎日暮らしていく中で自由であると感じ、強く認識するのは、他人から否定されず、損が無い事、という事を示す。

だが、得であるから自由という事も無いようにも思える。
他人に評価を与える人間とは、その人の事を考え、その人の事が好きであり、その人の事の為になるような評価をしなければ、不自由にさせていることと、同等だ。

もし、総てが選択され、行われる前にその人生を抑え、勝手にその人の人生を決める者がいたのならば・・・・。

この世に生を授かり、守られ生まれてきた子供に、これからのこの先、総ての人生を決めて歩ませるという事だ。
人生の阻害。評価共に、計画的であれば、犯罪である。その計画を肯定し、誰も反対に推し進めなく、進むようにすることは、その一つに統一させようとしていることになる。
それは、先に多く儲けたもののやり方である。

その人々は「アテンア」へ。
その人々の意識コントロールをし、他に判らせ無く進行を進め、その者の、収入、人生、総てを支配し、脳内独自ルールとして、地球以外の場で生きる事になる。「アテンア」では地球上のルールから逃れられるのだ。しかし、その「アテンア」を誰が支配し、誰が守るのか・・・・。
共同の惑星を開拓すれば、結局は、開拓者の土地である。また、金がもっと必要になるのだ。この地球で暮らしている者にとっては、他の惑星に住もうなどとは考えない。無理矢理、地球から惑星への資金を調達している事になるのだ。
現在の宇宙人とは、金持ち宇宙人である。
もし、天災がおきて、この地球が半滅したら、「アテンア」へは行けないはずだ。「アテンア」への森の鳥を飛ばし、南瓜の種をまく。

やすらぎと静寂を求めるのであれば、better half湖も同様だ。

金と力のある者がしてみたい事は、略奪と洗脳だ。では、いったい、誰が略奪と洗脳を繰り返しているというのだ。
暮らしの中でのルールを守らない。未知の惑星へ飛び行く「アテンア」人である。
では、どうやって「アテンア」を作り出したのか。「アテンア」を創世させた手段、それは、地球生活者の利用だった。
「アテンア」を阻止するには、知恵と勇気と力が必要だ。「アテンア人」から身を守り、これ以上無駄な開発をさせないことである。  

その「アテンア」に必要とされているものは何であろうか?

まずは、資源として太陽光発電の設置である。エネルギーを作り出せなければ生きられないからだ。地球上でエネルギーを集めた蓄電器を、高速ジェットロケット機で「アテンア」へ運び出す。残された地球環境を脅かし、「アテンア」の為に開発するのだ。
美しい地球の海岸沿いに巨大なパネルを張り巡らせ、港町の屋根を剥がし落とす。
「アテンア」のパネル利用は他にもある。身体に装着させたパネルスーツである。日を浴びている間さえも、エネルギーの吸収を行える為、蓄電器を腰に付け全身メタリックシルバーで(オオ)われている。
地球人にエネルギーを作らせ「アテンア人」とすり替える事で、「アテンア人」の衣服は守られるのだ。
大量に生産されたプラスチックを溶かし、再利用出来れば、もちろん無駄なく過ごせるが、靴を作っても履き古された靴は結局ゴミとして燃やされる。
再生産されても、「アテンア人」がその靴を履くことは無いのだ。
何故なら、「アテンア人」はプラスチックを好まない。
蛇やワニ皮を円筒形に尖らせたスパイクシューズ、牛皮を鞣した金具付きブーツ等、鉄製のガード付きである。
「アテンア人」は全てのゴミを地球人に与え、利用するのだ。

「アテンア人」の一つとして巨大な生産場があるが、100年分の貯蔵庫として稼働している。それを地球人へ売る為である。
紫雲(シウン)と、錆び付いた煙と、埋め立てられた海の上でサーバントと呼ばれるワーカーを動かす。
そのサーバントは、ゴミで生産された靴とソーラーパネルを身に(マト)い、「アテンア人」の仕事着といえばプロテクター付きブラックスーツであった。
(ヒジ)から手首まで(ヒザ)から(クルブシ)までプロテクターを装備。腰から足元まで黒布を巻き、地球からの攻撃を防ぐためにと高濃度酸素マスクとアテンア照合機のある大型ゴーグルを付けているのだ。腕に巻き付いたプロテクターはプログラミング可能であり、1日のデータは全て記憶された。

ある日、空腹だった一人の青年がオレンジをもぎり食べていた。「生意気な奴だ!実った果実を盗み取るたわけ者め!」
「アテンア人」は怒り、果実を取り上げた。許されている果実は、全て貯蔵され、氷にされた液体であった。
「アテンア人」はマッシュし、加工された食事しか与えないのである。インスレースチップと呼ばれれる光る粒と、ステッキーパウダーという粘着性のあるチューブ、コロイド液などを混入。大量の食糧を生産する。そこに入る果物は1%だ。
ベルトコンベアーの上部には、目玉の付いた「フグ」と呼ばれる絞り出し器が下がり、巨大ショベルカーからベートマインドと言われるゴミを投入。
轟音(ゴウオン)が鳴り響き、カプセル型マッシュマシーンが動き始める。
マッシュマシーン横には光る電光ボタンが並べられ、2つ、3つと同時に幾つか組み合わせて押すと「ブレッド」「スープ」「ジュース」「パスタ」「ソース」等、あらゆる食糧が生産されるのだ。本来はオレンジのみでも許されない。地球に残された食材あらゆるものをミックスし、水で薄めるのである。引き延ばすその水も、貝殻で濾された溜め水である。

その後、捕まった青年は変わり果てた姿に変貌した。身体は大きく腫れ、髪は抜け落ち、骨が曲がり、手足は太いが、皮膚はブヨブヨだ。
ワーカーであるサーバント達は皆そうなった。身体の中には栄養も行き届かず、結核患者も増大した。ほとんどの者が感染に気が付かず働いているという。栄養も真面(マトモ)に取れず、治療を受けてもすぐに伝染するのだ。

年に数回「アテンア人」は「アテンア」へ訪れる為に小さなプロペラが翼に6箇所付いた『スペリア機』と呼ばれるロケット飛行機を飛ばした。
地球からの脱出であった。

それでは、「アテンア」人の食事とはどういった物であるのか・・・・。
地球上に存在する本来の食事である。本来の食事とは、オレンジはオレンジのまま、魚は魚であるが骨は捨てる。
普通の食事の事だ。オレンジの皮は残すが皮は食べない。全てを引き延ばし、ダストベースと混ぜ合わせた物が「アテンア人」の生産するプロフィートフードである。「アテンア人」は己の食さないゴミを生産しているのだ。

悪知恵と、生き延びる事は別である。あらゆる食糧を牛耳り(ギュウジ)地球の金の価値を下げたのだ。その結果プロフィートフードの大量生産で、大金が流れ込んだ。儲かった「アテンア人」は新たな惑星を創世する計画を企てており、プロフィートフードの売上金の大部分を開発に注ぎ込む。
サーバントにはプロフィートフードを食べさせるため、雀の涙ほどの賃金である。
その威力に騙された者はリベートを貰い協力者になるのだ。

「人々が変わっていく・・・。人々が全て変わってしまう・・・。このままでは人間が消えてしまう。僕はロボットになんかなりたくないんだ!!」

ある日、図書館の資料室で手帳に記された計画書を見つけた少年はこの計画に驚くと大急ぎで、街を駆け抜けて行った。
新たな惑星を企てる「アテンア人」の行動を阻止する為に、人々を守ろうと動いたのがある少年達だった。

「アテンア」の巨魁(キョカイ)とは、つりあがった目尻と大きな鼻で薄く広がった唇を持ち、黒褐色の大きな布を巻いている。照魔境(ショウマキョウ)に映し出された書物が図書館の資料室に残されていたのだ。少年たちは集められたゴミがプロフィートフードになっていたのを知ると、変わり果てた姿に変貌した両親を助ける為に「アテンナ」の城へ向かったのだった。

「アテンア」の巨魁(キョカイ)はリバースチャプターと呼ばれるフォートに住んでいた。
巨大な要塞はドミノを並べるように区画整備されており、どの建物に巨魁(キョカイ)がいるのか探し出すことは困難だ。地下通路も要塞の下を通り、巨魁(キョカイ)は常に移動し、どこのチャプターにいるのかは隠されているという。不審者には蛍光塗料が吹き付けられ、ゴーグルをつけていなければ見分ける事は出来ない。さらには、プロテクターで名前、住所など身分など分析すればどこに所属しているのかなど、全て解ることができるのだ。

そのリバースチャプターは、ジメジメとした谷地(ヤチ)の奥で、湿地をお堀に見立てたその先の広大な都市、ほぼ大半を占領していた。
少年たちの中には、柔らかな金髪で青い瞳を持つ16歳のプリンと、栗色のくしゅくしゅ髪で、グリーンアイズの13歳、シブルと言う兄弟がいた。
幼いころから仲が良く、本が大好きな2人だ。

「リバースチャプターに行ってみよう!」

兄のプリンは、夕暮れのRA-0905号線の交差点で、弟のシブルに呟いた。

「なんだって?!リバースチャプターになんか行ったら、すぐにつかまって働かされるんだ。戻れないぞ。」

「シブル、リバースチャプターに入るのは簡単だよ。通行止めもないし、許可証なんて必要ない。買い物をして帰ってくる。街へ行くのと同じさ。」

「買い物って、プロフィートフードかい?だったら、ここで買えるだろう。」

「いや・・・・。探すんだ。リバースチャプターを支配する巨魁(キョカイ)を。それに、リバースチャプターには、高速ロケットもあって、ミルクやステーキだって、開発された新惑星へ飛ばしているんだよ。」

「新惑星って?」

「確か、アテンアと書いてあったよ。」

プリンは、落ちていたエンシレージを拾うと、空き缶を蹴り上げ、放り投げた。

「アテンア星で、自由に暮らすために、オレたちの親も働かされているのかい?」

「ラルゴやヘンルーダの親もそうさ。羽音(ハオン)図書館に置かれていた都市開発計画書を見たのさ、2百年前から考案されていたという手帳のコピーも載っていたぞ。」

「どんな計画なの?」

「今から開発するのは第2の新惑星アテンアだ。ただ2百年前に考えられていた計画とはだいぶ違うんだよ。」

「違うってどういう事さ、プリン。」

「リバースチャプターは、昔、草原だった。
そこにはチャプターなんか無いんだ。手帳に書かれた図案には、緑豊かな楽園であって、人々は街を行き交い、とても生き生きと生活してる。
俺たちのいる街だって、そうなんだよ。広い公園を作り、その周りを囲むようにし生活しているんだよ。」

「こんな狭っ苦しい街じゃないんだね。」

「そうさ。」

「じぁあ、なんだってリバースチャプターなんかに?」

「そうなんだよ。俺は昔の手帳が移されたページをすべて見たんだ。そしたら、設計図があったんだよ。
巨大なマシンで、様々なものが投入されている。
その箱は、スーパーフードが製造できると書かれているんだ。」

「プロフィートフードかい?」

「ただ・・・・、危険性もあるんだよ。」

「どういう事なの?」

「爆発するかも。いくつかのビーカーに記号があったんだけれど、巨魁(キョカイ)が現れて、すり替えているんだよ。」

巨魁(キョカイ)?」

「第一案の計画であったスーパーフードから、危険性を示した第2案。本来は第1案で進むべき計画を2案目にすり替えているのさ。
世界征服を企む魔物の巨魁(キョカイ)が現れれば、第2案になると・・・・。
プロフィートフードになったってことは、すでに巨魁(キョカイ)に操られているという事だ。その巨魁(キョカイ)が投入した液体で、食材は2倍にも3倍にも膨らみ、無限にプロフィートフードは製造できる。
だから、このままマシンで製造するのは、危険があるって事さ。」

「じゃぁ、アテンア星の開発は、脱出なのかい?」「そういう事だね。スーパーフードまでは良かったのさ。魔物である巨魁(キョカイ)の製造に変わり、リバースチャプターは大きくなった。しかし、未来の新都心、アテンア星のへ移り住む計画を作ったんだよ。」

巨魁(キョカイ)って・・・・。」

「いいか、シブル。ラルゴやヘンルーダと一緒に皆でリバースチャプターへ行こう。そして、計画書であった本来の資料をリバースチャプターで働くサーバント達に届けるんだ。」

「でも、プリン、俺達の言うことを信用してくれるかなぁ。」

「うん・・・。本物の手帳が見つかればいいんだが。
とにかくすぐにでも、アテンア星への脱出を阻止しなければ、未来は変えられない。爆発はまぬがれないよ。」

2百年も昔に夢を描いた楽園は、巨魁(キョカイ)に操られ、リバースチャプターとなった。

魔物がなぜ現れたのか、誰も知る由もない。
プロフィートフードの製造から、第1案に戻すため、勇敢なプリン達、4人の子供達は、巨大都市であるリバースチャプターへ向かったのだった。

リバースチャプターに侵入した4人は、膨大な数で建ち並ぶ不気味な銀盤のドミノビルに隔たされ、道に迷っていた。
強い光が差し込み、壁に設置された太陽光発電のパネルが光に反射して、前が良く見えない。

パネルスーツを身に(マト)った人間が通り過ぎたが、僕らに気づいてもささっと、ビルの中に消えて行った。

ビル入り口ではパスワードを入力し、手のひらをタッチパネルに翳す(カザ)。ドアは閉まったままだが、ドアが波打ち始めると、その中へ入り、消えて行ったのだ。

「おい、プリン、俺達もドアの前へ行こう。」

ヘンルーダは、ビルの中に消えて行った人間の姿を見ると、驚きながらもそこへ走って行った。

「ヘンルーダ!危ないよ!」

プリン達は、無鉄砲なヘンルーダを心配し叫んだ。ヘンルーダは怖いもの知らずの元気者で、いつも先頭を走って行く。

「大丈夫さ、早くみんなも来いよ。!」

プリンは、計画書の入ったサイドバッグを抱え込むと、ヘンルーダの所へ走って行った

「パスワードはどうするんだい?」

「この次に現れた時に、後について侵入するんだよ。早く!シブルもラルゴも!」

ビルの4人は横に並ぶと、ビルを見上げ、光を吸収したパネルを眺めた。

「エネルギーの生産も、アテンアの為さ。俺たちの暮らしなんてどうだっていいのさ・・・。2の次なんだよ。」

「こんなモノっ!」

ラルゴはパネルの下側に付いていた、赤い光を叩き打った。
すると、そのビルに設置された片側の壁全体のパネルが点滅し始め、ビルが波打ち始めた。

「ラルゴ、ドアが開くよ。」

プリンは、波打ち始めた壁に手を入れたが、突然、上方から細長いガラス管が下がり、パキッと先が折れ落ちた。

その管からは液体が一滴こぼれた。・・・が、サーっと気化すると消えた。

「なんだ?これは?」

ギュゥゥゥゥゥゥ

「ピューレっと作動中。現場に直行してください。」

「警報が流れたぞ!プリン、俺達捕まっちゃうよ。」

「ダメだよ、シブル。ドアが波打つが、中には入れないよ。」

プリンは、抜け道を探そうと、辺りの壁を叩いた。

すると、向かい側ビルの壁が手前に開き、ダイナモカーが走ってきた。

「あの車に乗ろう。いくぞ!」

プリン達は、オートダイナモカーに乗り込むと、アクセルを踏みリバースチャプター内へ走って行った。
メタリックスーツを着用しているサーバント達は、プリン達の暴走を眺めているが、誰一人とも止めようとはしなかった。

「この人達、おかしいよ。ひたすらビルの中を行ったり来たり、プリン、どうするのさ。」

「皆、解ってないんだよ。離婚病さ。魂が操られている。いいか、シブル。この計画書のコピーをバラ撒くんだ。リバースチャプターの人々に知らせるんだよ!」

シブル、ヘンルーダ、ラルゴは、リバースチャプターの人々に計画書を撒き、プロフィートフードの製造を止めるよう訴えた。

オートダイナモカーは、プリンの運転で、第一千万地区に走ってきた。恐ろしく巨大なリバースチャプターは走り抜けて行っても景色も変わらず、延々と続く無限の回転ロードだ。
しかし、その後、自動操縦に変わり、リバースチャプターの二百番目地区まで戻された。
そして、ダナモカーは、リフトに乗ると、上昇し303階のハックフロアで止まった。

「プリン達、俺達、巨魁(キョカイ)に見つかったらあの人達みたいにされちまうよ。魂が操られるなんてごめんだよ!ダイナモカーは俺達をどこへ連れてきたのさ。このフロアはいったいどうなってるんだ!!」

オートダイナモカーは、プリン達が降りると

【カニューレベジタブル】

とマークされた野菜触媒遺伝子組み換え機の横に移動し、充電を始めた。
 
グゥィイィィィィィィィィ

「ラルゴっ!みんなっ!あれを見ろよ!」

ガラスの中では、何も無かった管の下から、あっという間に、人参やキャベツ、大根などが出来上がった。
そして、オートダイナモカーは、アームを伸ばすといくつかの野菜に、

【sick veg 】

と焼き印を押し、ショベルカーに投入した。そして、その野菜はあっという間に切り刻まれた。

「病気の野菜を捨ててるよ。なんで病気だとわかるんだ?」

「生産しているのだから、わかるんだろ。でも、他の野菜だって病気みたいじゃないか・・・。」

「これが畑かい?」

「いや・・・これが畑なんて・・・。この場は昔、草原で楽園ができるはずだったんだよ。
スーパーフードから第2案に変わり、新惑星を創世する為に新たな食材を生んでいるんだ。
そして、遺伝子を組み替えて大量の食糧をこのハックフロアで生産しているのではないか・・。」

「でも、プリン・・・。本物の野菜を見たの、僕初めてだよ。」

「シブル、プロフィートはいわば、ミックスフードさ、本物の野菜は・・・、ほら!アームで小型ボード車に並べているぞ。
アテンア・・・。
ちくしょう、やっぱり奴らはアテンアにへ本物の食糧を流しているんだ。このまま、マッシュマシーンを稼働し続ければ、爆発する。動きを止めるんだよ!」

プリン達は、電光ボタンを見つけると、皆で何度も叩いた。すると、マッシュマシーンは、速度を上げ、超高速で動き出す。

「このぉ、停止ボタンはどれなんだ!」

マシーンはガタガタと揺れ動き、湯気が立ち上がるが、これで止まる事は無かった。

ヘンルーダは、窓からリバースチャプターを眺めると、

「プリン、一つだけじゃないよ。リバースチャプターすべて、このドミノビル一棟、一棟すべてに、マッシュマシーンはあるんだ。だから、ダイナモカーの発電を止めれば、動かなくなるだろう。いいかい、エンジンを切るよ!」

「コンセントもだ!!引っこ抜け!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・!!!」

「ヘンルーダッ!!」

エンジンを止めようと近づいたヘンルーダは、ダイナモカーのアームに捕まり、身動きが取れない。・・・まさか。

「このままヘンルーダをショベルカーへ運ばれたら大変だぞ。このぉ・・・ダイナモカーめっ、やめろぉぉぉ!」

シブルは、組み換え機のコードを引き抜き、ダイナモカーのアームへ飛びついた。
アームをへし折ると、プリンとラルゴは、ダイナモカーのハンドルを動かし、アクセルを強く踏み込むとガラス窓へ直進させた。
サイレンが鳴り響き、ガラスは粉々に割れたダイナモカーは地上へ転落し、マッシュマシーンの動きも止まった。

この騒動で、駆け付けたアテンア人に、4人は連行されたが、ヘンルーダをアームで掴んだダイナモカーの誤作動と第一案が示された本物の手帳の存在を知ると、リバースチャプターの為にと、4人は解放されたのだった。

その後、1千番地区にある517号機が爆発した、悲しんだアテンア人は全てのフロアで働くサーバント達を他の街へ移動させると、ダイナマイトを設置し、ドミノビルを全て倒したのであった。

巨魁(キョカイ)は消えた。

そして、プリンとシブル、ヘンルーダとラルゴは、新緑の草原の地に立ち、明日を誓った。
リバースチャプターの地は、群童に託されたのだ。

草原の大地は、鳥も飛び交い、種も運んだ。緑豊かな楽園には、大きな湖もできたという。


象徴を建造することで、攻撃からは逃れられる。憧れの象徴が大きくなければ全ての粒一粒を、簡単に操作されてしまう。
私達は、この地球で楽しく暮らしたいのである。

自由の女神と神社仏閣。

サンフォライズT・Jが用意した、better half湖でのバルキーのLIVEは、大盛り上がりで、私もチューロも楽しんだ。

今回、天助(テンスケ)は、ヘリコプターからの取材をすることになり、空からの特等席に意気揚々だ。
海からの謎の漂流物だった文箱(フミバコ)ボトルが、その後どうなったのかというと、サンフォライズT・Jが、もう一つ、新たな新境地を求めており、私達4人を呼び出してきたときの事である。


第5話に続きます。

第5話 サンフォライズT・Jの第一歩

サフランの収穫時期も迫り、忙しくなってきた私は、他の3人を先に伺わせ、少し時間が遅れていた。

船長室のドアを開けると、文箱(フミバコ)ボトルを広げ、サンフォライズT・Jに説明し始めているいる所だった。

「ああ、ソール。お疲れ様。今、文箱(フミバコ)という物を見ている所だよ。これは、ロマンがあるね。このイチゴ画も素晴らしい。加えて、具体的に解説まで添えてあるし、ボトルに密閉させてあったとすると、これは、アートだね。天助(テンスケ)は、割ろうとしたそうじゃないか。」

「ええ、スイマセン。いや、しかし、ソールが考えて危機一髪のシフトチェンジで、食い止めましてね。」

「はっはっは。ソフィストの方々も、興味を示すであろうね。」

「あぁ、それなんですが・・・・。」

天助(テンスケ)、話があるんだよね。」

「話?文箱(フミバコ)の他に何かあるのか?」

「チューロも、皆4人で写真も撮りましたよ。」

「全て記録は残してあります。記事も完成していまして、新聞社に届けこの出来事を配信できたらと。」

「公表されては困るなぁ。」

「・・・やはり・・・ですか?」

「君たちも、随分と興奮しているようじゃないか。発見した事で、今はまだ、ここにいる5人だけしか知らない事だよね。解読書もこれからだ。もちろん分析も必要だしね。ただし、この状態に価値を付ける者もおる。」

「でも、子供の絵ではないかって。」

「子供の絵だという証拠でもあるのか。」

「弟子は師匠ならずと、書いてあるんですよ。弟子が考えた研究で、まだ認められていないんじゃないかってね。ソール。」

「研究途中の、解説画としてソフィストに持って行っても、spoofだ!なんて事にでもなったら、申し訳なくて。」

「弟子は師匠にならず。と書いてあるという事は大目に見てくれって事ではないのかね。そう記入してあるのであれば、それでいい。」

「・・・そうなんですか?」

「うん、それでいいよ。」

「残念だったな、天助(テンスケ)。」

チューロは、肩を落とす天助(テンスケ)を慰め、涙ぐんでいた。

「何故だ?天助(テンスケ)、お前が発見者なのだから、きっちり説明してくれよ。」

サンフォライズT・Jは、イチゴ画を指し、天助(テンスケ)の方を向いた。

「どういう事で?」

「ソフィスト方に、きちんと説明してもらいたい。私はまだ話を聞いただけだ。」

「ソフィストオークションに行くのですか?俺も」

「そうだ。この会合に出席するのには、いくつかの条件がある。いいか、まず、服装は、礼服である事。そして、肩から(オオ)う布を一枚。
色は好きなものでよろしい。そして、トップハットも被る事。まぁ、私の方で用意はしておく。日付、場所も招待状が届くまで待つしかない。
文箱(フミバコ)の準備はあるのだから、こちらとしては、何時でも良い訳だ。
天助(テンスケ)、取材したいだろうが、撮影は禁止されている。わかったね。」

「そんな・・・俺は・・・。」

「ソフィストオークションに行くのだから、考えてみてくれよ。」

「いいじゃないか、天助(テンスケ)。楽しんでこいよ。お前も一日ソフィストだぞ。」

「チューロの燕尾(エンビ)ジャケット貸そうか。」

「チューロも、いつか連れてってもらいな。しかし、温度計は評価されたのだから、今は創作が忙しいだろう。」

「当日は、トレーダーにまず説明、その後、品物の受け渡し。ソフィスト方も出品するが、まぁかなり理解が難しい品もあるね。太ったHarpyが描かれたギリシャ原産のビールとか。羊毛で編まれた眼鏡、紀元前7千年頃に描かれたくさび型もんじの切手、ほら、ウォッチバレーに建てられた民家の移築もあったね。あとは、ほたて貝の貝殻に見立てた土鍋。これはスカラップ号にもあるだろう。貴人に供えられた美術品だが、ソフィストオークションで人気があった品は、その後生産される事も多いからね。」

「しかし、なんでも発見したら供え物にされるんじゃ、俺のスクープは、仕事にならないよ。まさか、ラフラムの奴らは、他の国からの使者であり、全て自分達の物にしようと奪い取っているのでは?」

「報道しているのだから、天助(テンスケ)と一緒だよ。チームラフラムは奪い取っているわけでは無い。守っているのさ。天助(テンスケ)もソフィストオークションに参加すれば、解るだろう。」

「守ってるったって・・・。俺には守れないっていうのか!?俺だって、このスカラップ号も発見し、チューロのヨーグルトだって記事にしている。
ヘリコプターの操縦だって、ラフラムの奴らより、上手く飛べるんだぞ!」

「まぁ、確かに、幸運にも宝を発見する事は良くあるね。だから、今回は、天助(テンスケ)の発見として、サンフォライズT・Jと参加するのだから、大丈夫さ。
ラフラムに奪われているんじゃ無いよ。」

ソールは、興奮している天助(テンスケ)をなだめている。

「この世に一つ・・・と。発見と発明は、その時代の最初の一歩だ。
月へ向かおうと、ロケットまでも作り上げた人間なのだから、考えていかなければ駄目だ。一つの宝物はどんな物であれ、持ち主の心だ。
他の国に存在しているこの国の歴史的な物があるのは、本来は不思議なことだよ。
紀元前の物であれ、残っているということは、その時代に考えられて作られたからだろう。
奪い取ろうと争い事が起これば、消えてなくなる。今の時代には残らないんだよ。
天助(テンスケ)、海を渡り、文箱(フミバコ)は未来を託すために流された。
発明であっても、奪われれば、残らない。今の時代から一歩進み、ソフィストや学者たちが考える事だ。そうでなければ、埋め隠された秘宝になり、誰も、歴史でさえも全て謎に包まれてしまうであろう。
いいね、天助(テンスケ)、ソフィストオークションに参加してくれるね。」

サンフォライズT・Jとソフィストオークションに出席することになった天助(テンスケ)だが、緊張しているのか、喜んでいるのか、自分でまとめた記事を読み返すと、文箱(フミバコ)をボトルに戻し、底を付けた。

「まぁ、この話はこれでよし。と、そこでなんだが、草原よりも、高い山の方が好きかね。人は高い山を好む。空の上で暮らしたいのであれば、パイロットになれればいいが、もしくは観覧車の一番上か。
宇宙船は酸素が無い宇宙の空間に向かう為として頑丈に造られておるが、このスカラップ号も、かなりのものだ。
住まいとしてだな・・・、ソール、バルキー、天助(テンスケ)、チューロ、お前たちにはそろそろ・・・。
あー、私は、宇宙船を探す。宇宙船だ。この地球上に住む為の宇宙船だ。
浮く必要性はない。頑丈だぞ。窓も開く。陸地ならばさらに頑丈だ。スカラップ号は、お前達のおかげで、ここまでになった。仕事も山積みだ。
そこで、もう一つ、協力してもらいたい。」

「宇宙船ですか、今度は。」

「いや、宇宙船は、私が探す。お前達は、お前達で探すんだ。」

サンフォライズT・Jからの突然の住まい探し。スカラップ号があるというのにどういうことなのか。

今、必要であるべき事とは・・・。

「宇宙船を探すなんてなぁ、サンフォライズT・Jも、月を目指して、どうするつもりなのかねぇ。」「地球上に住む為の宇宙船だよ、チューロ。」

「空に向かっていくもの。高くあるものがいいんだね。」「天助(テンスケ)はいつも、空を飛び回っているからな。じゃぁ、山を高くしてそこに住めばいい。」

「山をどうやって高くするんだよ、ソール。」「頂上に大きな木を育てるのさ、天助(テンスケ)のヘリコプターで。」「バルキーには、ウォーターシードを打ちまくってもらうよ。」

「OK!ソール。」

「新しく探し当てたら、サンフォライズT・Jは、今度はどういった物を俺達に贈ってくるんだろうな。」

「チューロは、三輪バギー、バルキーはBOXスタジオ、私はサフラン畑、天助(テンスケ)は、ヘリコプターと。」「場所を探し当て、マーケットを作り、人を集めるのであれば、美しい場所である事だよ。」

「スカラップ号とは、いったい俺達の何なんだ?」

「スカラップ号は・・・家だよ。チューロ。」「家か・・・・。」

「新しい場所にも、マーケットを作るとすると、スカラップ号と変わらないじゃないか。ただし、スタジオは無いし、ソールのサフランはどうなるんだい?スカラップ号のマーケットや、ビストロでは、欠かせない貴重な物なんだよ。」

「もし、サンフォライズT・Jが宇宙船を探し当てて来たら、そこも俺達の家なのか?」

「お前達は、お前達でって言ってたよな。」

「象徴的な建造物と住まいは別。で、もしかしたら、サンフォライズT・Jは、俺達に、自分の家を探させようとしているのでは無いだろうか。」

「チューロも、頑丈な家がいいよ。」

「じゃあ、俺達も、宇宙船を探そう。」

「皆、探し当てたら、サンフォライズT・Jへ報告を忘れずに。」


Ψ
Ψ
Ψ
Ψ

Ψ  赤マニア  Ψ

僕の大好きな色は赤。

トマト、パプリカ、赤キャベツ、フェラーリ、ポスト、僕の靴下。

とくに一番好きなのは、真っ赤な甘いイチゴだよ。

イチゴは種が見えてるね。

種も一緒に食べれるよ。プチプチプチプチ不思議だな。

僕は明日はイチゴ狩り。

広ーいお山のてっぺんに海も見えるだんだん畑。

ながぐつはいて、かご持って、おべんと、すいとうじゅんびよし!

おねぇちゃんには負けないぞ、僕がちょうじょう一番乗り。

果物大好きハンターは、ゴーストガンのびっくり弾。

びっくり、しゃっくりおどろいて、みなぼくのかごの中。

イチゴをねらったありさんも、びっくり、しゃっくり、巣にたいさん。

冷たいおばけのおどかし攻撃。ちょっとこわくてごめんなさい。

僕のおなかはもういっぱい。ミルクもつけて大満足。

広ーいイチゴのだんだんばたけ。おいしかったよ、いちごさん。

こんどは、もっと大きくなって、いっぱい食べにくるからね。

イチゴさんもその時は、もっと大きくなっててね。

Ψ
Ψ
Ψ
Ψ
Ψ

私達4人は、宇宙船探しをしつつ、それぞれの日々を送り、スカラップ号へ帰った。
天助(テンスケ)のヘリコプターが、飛び立つときには、チューロや、バルキー、私も乗り込み、山の木々を育てた。

天助(テンスケ)のヘリコプターは、山や、街、そして湖へ。

一箇所にも留まらず、降水量の少ない山へと飛び立った。

サンフォライズT・Jは、いつも総てを蘇らせる。

神聖なモノは、世界の象徴としての基準になるのだ。

終。

Mr.サンフォライズT・Jの嚢中 (頭の中)

Mr.サンフォライズT・Jの嚢中 (頭の中)

サンフォライズT・Jの自由市!巨大な水上マーケットへようこそ。

  • 小説
  • 短編
  • 冒険
  • ミステリー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted