夜に影の咲く如く

影は悲しきかな
夜を見ることができない
本当に闇に呑まれるものは
光に非ず 影なりけり
更なる深みに引き込まれるかの如く
影は影として闇の中では在れぬもの
もし私が光になれば 闇と対で在れ
夜に咲く事が叶ったものを
夜を知らぬ私は
憐憫の意を持ちて
夜の前にその姿を消す事しか
叶わぬのに
酷く釣り合わぬ噺だ
影は忌むべきものだと
悪なぞと誰そ告げた
私はただあっただけ
そこにあっただけ
ただ目視できぬというだけで
ただ知らぬというだけで
人は悪を提唱する
どこまでも己の姿を信じて違わぬ
一度呑まれてみるがいいさ
夜に咲く影の如く
それは如何に孤独で不条理か
咲きてはじめて知れば良い

夜に影の咲く如く

夜に影の咲く如く

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-19

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