夜に影の咲く如く
影は悲しきかな
夜を見ることができない
本当に闇に呑まれるものは
光に非ず 影なりけり
更なる深みに引き込まれるかの如く
影は影として闇の中では在れぬもの
もし私が光になれば 闇と対で在れ
夜に咲く事が叶ったものを
夜を知らぬ私は
憐憫の意を持ちて
夜の前にその姿を消す事しか
叶わぬのに
酷く釣り合わぬ噺だ
影は忌むべきものだと
悪なぞと誰そ告げた
私はただあっただけ
そこにあっただけ
ただ目視できぬというだけで
ただ知らぬというだけで
人は悪を提唱する
どこまでも己の姿を信じて違わぬ
一度呑まれてみるがいいさ
夜に咲く影の如く
それは如何に孤独で不条理か
咲きてはじめて知れば良い
夜に影の咲く如く