はごろも

ああ、なぜ私のまわりには

こんな人しかいないのだ

口から虹色に輝く天女の羽衣を吐き出す

それが地に落ちると

下水のような臭いを放ち

やがては灰になってどこかへ飛んでゆく


その灰が私の目に入り

私の視界を黒くそめる


きっと私もあの人のように

羽衣を一枚吐くことだろう

一枚だけでは気が済まず

羽衣をたくさん吐いていくだろう

そうして私のまわりには

下水の灰しか残らないのだ

はごろも

はごろも

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-30

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted