デート・ア・ライブ これから先もいつまでも
私の誕生日を記念して、その想いをデート・ア・ライブのキャラクターに代弁してもらいました。
The days will continue.
とある昼下がり、五河家のリビング。お昼独特の長閑(のどか)な雰囲気に癒されるように読書に耽る士道。彼が今読んでいるシーンは、主人公がヒロインに長年の想いを打ち明けられるシーンであった。といっても主人公とヒロインがいわゆる血の繋がりのない兄妹どうしなのである。長い事兄妹として過ごしていくうちに、双方とも特別な感情が湧いたのだ。そして、その気持ちを自覚してヒロインが先手を打った格好なのであった。
士道は、この本を手に取る時自分と琴里のような“血縁関係の無い兄妹”という設定に惹かれた。自分たちと同じ境遇だったから。
しおりを挟んで大きく伸びをした時リビングの扉が開き、琴里が入ってきた。彼女はそのまま士道の座るソファまで来るとその隣に腰掛けた。
「そういえば明日だね」
唐突な琴里の問いかけに困惑する士道。
「あれ、明日特別な日だっけ?」
「おにーちゃんの誕生日だぞー」
「あぁ……」
琴里が唇を尖らせて発したことで、士道は明日が自身の誕生日であることを思い出した。
ここ最近精霊を取り巻く環境が激化するのに合わせてプライベートが忙しくなっており、挙句の果てには自分の誕生日さえ忘れていたのだ。しかし、ここ何ヶ月かの間はDEMとラタトスクの戦闘も落ち着いており、久方ぶりに静かな休日を過ごしているのであった。
「そっか……明日は俺の誕生日か」
「そうだぞー。私の大好きなおにーちゃんの誕生日だから、うんとお祝いしてあげないと!」
「……あはは。ほどほどにな?」
士道が苦笑して琴里の頭を撫でると、気持ちよさそうに表情を綻ばせて、「はーい!」と言ってびしっと手を挙げた。
自室に戻ろうと席を立とうとした時、琴里は士道の手元にあった小説に気づいた。
「ねえおにーちゃん、その小説は?」
「ああこれか。昨日気になって買ってきたんだ」
「どんなあらすじなのだー?」
士道はこの小説が血の繋がりの無い兄妹が恋に落ちて葛藤する様を描いた物語であることを説明すると、琴里はくすっと笑って言った。
「まるで私とおにーちゃんみたいだね」
「そうだな」
そう頷き合うと、その事が何故だかおかしく思えて自然と笑みがこぼれる二人。
琴里はもう一度士道のもとに寄り添うと、その頬にそっと口づけをした。
「――これから先も、いつまでも、よろしくお願いします。おにーちゃん」
士道は、まるで放課後の教室で女の子から告白を受けるような、そんなドキドキを感じた。それくらい琴里の表情は恥じらいに満ちていた。琴里の髪色のように、確かな熱を持って士道の心を温めたのであった。
扉の閉まる音がリビングに反響してやがて消える。
扉のほうを見つめ、未だに琴里の柔らかい唇の感触が残る頬に手をそっとあてて――呟く。
「“これから先も、いつまでも、よろしくお願いします”か……大好きだぞ、琴里」
その時、琴里は自室のドアに背を預けるようにして、胸に手をあてて深呼吸をしていた。
「はぁぁぁ……つい私らしくないこと言っちゃったぞー」
そのままベッドにダイブする琴里。腕をのばして机の上に飾ってある写真立てを手に取り、それを胸に抱いた。
その安心感からなのか胸のうちがじんわりと温かくなるのを、琴里は感じた。手のひらを胸にあてると、心臓が一定のリズムでもって鼓動しているのが分かった。
そして、「おにーちゃん」と呟くだけで、琴里の心臓はどくんと反応するのであった。
~END~
デート・ア・ライブ これから先もいつまでも
私の他の作品などでお会いできるのを楽しみにしております。