びんづめ文通 2話

2話です。1話を書いてから随分時間が空いてしまいました(;´・ω・)
楽しんでいただけると幸いです。

―出会いは人を変えていくキッカケとなる―



ピピピピ。
目覚まし時計の音が鳴る。私は眠たい目をこすりながら、時計を止めた。
のそのそと学校へ行く準備を始める。
・・・昨日は、よく眠れなかった。
頭の中で何度も、アイツ、染井誠人(そめいまこと)の言葉が繰り返される・・・。
「なーにが、氷の女王だ!!噂とイメージが違う!?!?
こっちだって好きであんなイメージつけられてるわけじゃないんだよ!
だいたい、いつから見てたんだ!さっさと出てきて掃除手伝えよ!
もっと早く出てきてくれてたら、こんなことには・・・
というか、なんで会ったばかりであんなに心見透かされたようなこと
言われなきゃなんないんだ!!」
1日経つとだんだん怒りも増してきて
ぶつぶつ独り言を言いつつも準備を着々と整えていく。
・・・待てよ。初対面であれだけわかられたんだから
本当は、笹山くんと彩芽(あやめ)にも気づかれてるんじゃ・・・。
「うわー。どうしよう!学校行きたくない!!」
このまま休んでしまおうか・・・。
ガチャッ。
「なーにが、学校行きたくないだ。さっさと朝飯食って、学校行け、遅刻するぞ。」
「ちょっと健兄(けんにぃ)、勝手に部屋開けないでよ!プライバシーってもんがあるでしょ!」
「ぷらいばしー?そんなもん俺らに今更あると思うなよ。」
呆れ顔でそういいながら、健兄はリビングへと向かっていった。
「まったく・・・。可愛い妹のことくらい、もう少し気を遣えっての!」
目の前から去っていく兄の背中に投げかけた。
「俺だって〈可愛い妹〉なら気も遣うぞ~。」
遠くから間の抜けたような声が返ってきた。
「・・・そんな簡単に可愛くなれるもんなら、とっくになってるっての。」
私は自分に言い訳するように、ぼそっとつぶやいた。
「あ!ヤバイ!本当に遅刻しちゃう!!」
時計の針は、7時45分を指していた。
急いで朝食を口へ流し込み、家を出た。



「おはよ♪(りん)♪今日は珍しくギリギリだね~。」
「おはよう。片瀬。」
「おはよ。彩芽。笹山くん。まぁ、ちょっとね・・・。」
また朝から相変わらず2人仲良く一緒か・・・。
ガラガラ。
「朝のHR始めるぞー。」
先生が入ってきたことにより、2人はそれぞれ席に戻った。
なるほど。これくらいの時間に来れば、2人とそれほど話さずにすむのか・・・。
って!!これじゃ私2人を思いっきり避けようとしてる!?
本当、これからどうするべきか・・・。
2人のことは嫌いじゃないし、むしろ一緒にいて楽しい。
けど、昨日のことを考えると、やっぱりしばらくはあまり一緒にいないほうがいいんじゃ・・・。



「ふぅ~。やっと昼休みだー♪お腹すいたー!!凛、一緒にお昼食べよ♪」
「うん。食べよう。」
よかった。彩芽、笹山くんとお昼食べないのか。
「あ!(あきら)とその友達も一緒だけどいい?」
え?
「う、うん。もちろん。」
やっぱりそうだよな~。せっかく彼氏と一緒のクラスになったのに
一緒にお昼食べない訳がないだろうが。私は何を考えてるんだ!
自分に活を入れつつ、なんとなくメンバーが集まる。
「ども!奥村さん、片瀬さん♪いや~、片瀬さんとご一緒できるなんて感激だな~♪」
えっと、この男子は確か・・・
「おい、巧。軽すぎ。そんなんじゃ片瀬引いてるぞ。」
「そうだよ~☆木原くん☆てか、私とはご一緒できても感激じゃないわけ?(笑)」
そうだ。木原巧(きはらたくみ)。昨日の自己紹介だけじゃ、まだ覚えられないな。
クラスの5分の3くらいはまだ知らない人ばかりだし。
「いや!そういうつもりじゃなくて!!もちろん奥山さんともご一緒できて感激だよ♪」
「まぁ、木原くんの話は明から色々聞いてるからわからなくもないけどね~☆」
そう言いつつ彩芽は、私に目くばせを送る。
「え!明なに言ってんだよー!
ま、せっかく片瀬さんと一緒のクラスになれたんだからこの期を逃すわけには・・・ね☆
これからよろしく片瀬さん♪」
木原君もそう言いながら私の方を見てくる。
ん?何この雰囲気?
「えっと・・・、よろしく。」
それから始終食事の間、木原くんは私に話しかけてきた。
会話内容は、イマイチ興味がわかず、よく覚えていない。
彩芽と笹山くんは2人で喋っちゃってるし
なんだかこれじゃ4人で食事というより、お見合いでよく言う「あとは若いお二人で❤」みたいな感じだ。
まぁ・・・このことからモノがくみ取れないほど私も鈍くはない。
木原くんは、おそらく私に好意を寄せてくれている。
そこで彩芽と笹山くんが木原君と私を引き合わせた。
彩芽と笹山くんの性格を考えると、
こういうことは100%親切心でやっているんだろう。
2人とも世話焼きというか、おせっかいというか・・・。
しかし、今の私の心情からすれば居心地が悪いにもほどがある・・・。

「・・・ちょっと私、飲み物買ってくるね。」
「いってらっしゃい」
3人分の声が背中に降りかかってきた。
私は逃げるようにその場を去った。


―ピッ!ゴトンッ!
いつもの決まったオレンジジュースのボタンを押す。
ふぅ。戻りづらい・・・。
授業始まるギリギリまで適当に時間潰すか・・・。
「あれ?片瀬さん?」
後ろから聞き覚えのある声で呼びかけられた。
そして、振り返ると目の前には
昨日の花瓶男・・・染井誠人が立っていた。



―カリンさんへ―
先日は、のど飴どうもありがとう。
体調は、もうすっかり良くなりました。

カリンさんの近況また、随分と大変なことになっているようですね(;^ω^)
けれど、相変わらずSくんとAさんのこと大切に思っているんですね。

カリンさんは今、無理に感情を変えようとしているみたいですが
今は春。出会いの季節。
そして、出会いは人を変えていくキッカケとなる。
無理に変えずとも少し他のことに目を向けることで
案外考え方が変わるかもしれません。

そうそう、僕の方は新しい面白い出会いがありました(^_^)v
この出会い大切にしていけたらな。と思います。

では、今回はこれで失礼します。

―クロスより―

びんづめ文通 2話

びんづめ文通 2話

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-18

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