アダージョ

アダージョ

私の何者は、宇宙の何者なのですか。
私は乙女によってこの未来は救済されたと思う、昼夜の空に浮かび上がる星天と月の運行の静謐なリズムを感じるのです。
宇宙の模様の不可思議な心の浮世絵が描きだした人間の実態は、天国の光に昇る天使となった。
そこかしらに天国に続くヤコブの梯子には素因数分解的な素粒子のリズムがあった。そのリズムには春の訪れを告白する北極星の暖かさに満ちていた。
極めて忠実な星の運行は北極星を中心にして、静かな心を讃えて周り続ける。春の日射しに浮かれた内なる心の夜灯に、目映い虹を叶える鮮やかな心象図版が現れた。
昔から代々続く神妙な伝統の祭りが行われ、遠くを見渡す青きそびえ立つ山脈。
誰にもまだわからない神掛かった祈りを捧げる修道女の心の中で、夜空を青き飛天する可憐な天女への告白を思い描く。
問題の証明を告白して数学の的を射る。神に忠実な修道女は一心に祈る聖書となった。
あなたの美空のような、この数式の驚異の処理能力に感嘆した。
私はヤコブに神の数式が証明できた事を申し上げたのでございます。
宇宙の羅針盤が正常に方角を指し示す精巧なメカニズムを知る。
人生は理想通りになっていき、さらに増していく大らかな感情で運行する天体は果てしない願いを叶えた。
修道女には私の孤独な心の中をそっと知らせる蛍のもの悲しき色情があった。その哀愁は内なる次元でひそやかにアルペジオの運行を奏でる、誰も知らない心の素粒子。
私の内なる宇宙は、完成されたのか。まだ完成されていないのか。
私の内なる宇宙の次元をどなたの教えの従として君に捧げようか。
アダージョはこんなにも可憐な神への問い掛けなのです。
でも私はまだ悔しかったのです。
この心の中に宿る、少女の上品なか細き指の美しい表情をうっすらと見せて、オルガンを弾く可憐な次元は御心に果てて世界の調和した結実を迎え完成した。
「私とおやりなさい。」
少女と超越する次元の感情に包まれて、敬虔に神を拝むのです。少女が美を象徴した生命であることをすでに知っていた。
「願いを叶えてください。」
逸脱するこの世とあの世に変容する衝動的な美しい雲の運行があった。
「この宇宙を創成できるのか。」
私と少女との対話は熱く昇りつめて、さらなる限界のアダージョを迎えるのです。
こんな美しい神の宇宙を想像してごらん。
晴れ上がる宇宙に広がる流れ星。そのモナリザの微笑を、あの少女は知っていたのです。私と若き乙女の愛の関係性で超えていく難しき生命の証明問題を。
私がした質問は、あの少女にしては易しすぎたというのか。不思議に少女は正しい解答を見事に連ねる天性のアダーショを奏でた。
私のこんな問い掛けに、少女の御心は洗われて、川の流れに身を全て委ねた貞操を守る女神。
「さあ、教えてください。神の子の真理を。真理とは、そんなにもいとも容易く解ける問題なのですか。」
数式の深層部分を探検していき、私は全ての解脱へと、内なる邂逅をし続けるのです。
少女の解答は可憐な色彩の模様を示していた。なんて美しい事象的な命題の解決方法なのか。そんな少女のアルゴリズムが私を問い正す。まさに私を完全に超えたもう1人の神の子よ。
少女の中には推量、推論、命題の証明。そして解脱があった。
「私の生きている意味を考えてください。」
神から人生の意味を教える授業を受けている。
その教室でどのような人生の教訓を私に与えるというのか。その神との遊び戯れがただの逸脱へと促がすのです。
「人生を自ら儚くしてはなりません。」

そこで神様は私に告白した。
この命題を証明して喜びを抱く、数学に忠実な私は青白い銀世界の真っ只中にいた。
ああ、その数式の探検に美しい御心を初めて知るのです。
どうしましょうか。世界でたった私一人だけが数式の証明を知っている奇跡。
ついにこの神の告白の意味を理解したのです。
「さあ!行きましょう。」
浜辺で少女が両手を広げて、人間の叙情詞の儚き哀しさを。そんなにも慈悲の母なる優しさの中で、この解脱をどのように表現すればいいのか。
あなたは知っていた。人間的な事象のさらなる大きな次元に、真実の不可思議な御体がいる真実を。
妙なる雪はしんしんと降って辺りは静まり返り、山道はどこまでも続き、そこを昇る生命。
こんなにも天体移動の安らかな流れがあった。理想の情景はもうすでに私のものではありません。
「解脱、天国に行かせてください。ああこれで全ては良かった、これから解脱していくのです。」

アダージョ

アダージョ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-18

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