湖

神の薬による幻覚作用を起こしたようです。
その不思議な女性は古い記憶の中で登場する人なのです。山の頂きでの湖の水面が、ひそやかに青く涼しくたゆたんでいる。湖は青い静寂の深い穏やかさを湛えていて、この世界を慈しみ豊かな無の情景で充たしていた。
湖には神が宿した生命の小宇宙があるのではないか。その湖面の澄み渡って、この世界を解脱した真理の解答を、青い地球に反映して、深く素直な晴れ渡る幅広さを許容する、不可思議な佇まいの妙なる安心さがあった。
そこに青い少女が浮かんでいた。その少女は満月に向けて不敵な笑顔を投げ掛けていた。
その少女はあの世の肉体を湖面に揺らし穏やかに浮いて、青いさざ波に体を波調を委ね、白い肌を露わに見せる、この世に清潔性を投影していた。
何かこの少女は、生きているのか。死んでいるのかわからない未知なる想像性を魅せていた。
その少女の両手は美しく天空へと、そのか細い可憐な手が満月を掴もうと、上へ上へと伸ばしていた。
そして、その背後には青い発光体が薄明かりの中をうっすらと飛んでいる。
その心の万物の動きを表層世界に千変変化する心のモザイク宇宙。限りない天空の神様が救いの手を差し伸べて助けようとする心の意志を表していた。
その宇宙には深い波動が満ち満ちていて、地球上の美しいものだけを選別するように、人間の知性を表現していたのです。
そして、朧気に湖面が不可思議なうねりをあげて、青い泡がうっすらと浮かんでいる。それが何かの未知なる存在を予言していた。
そう3人の少女が湖面に美しい清潔な肉体を、異様な静けさの異空間的な表現で、肉体をさらけだし表層化した。
そして、泡がふわっと立ち3人の少女が浮遊しスローモーションを行う時空が違う清楚な肉体を現した。
私を想像を上回る肉体の法悦が存在していた。そこに誰もいない箱船が湖面を、目的も意味もなくふわふわと浮遊している。3人の少女の肉体が可憐な宇宙の心象風景に未知なる解明できない、種々の謎的な動きを表現している。
その動きは人間の美しさを超越しようと、心は意志の力強さを示していた。
少女達はその湖面で天性の美しい肉体の予言性を基にして、みそらの不思議な優しさで佇む、この世界に存在するかしないかの微妙で軽やかな存在、それはミクロユニバースでした。
私はその動きに未来を予測することなんてできない。ゆったりとした少女のスローモーションは、この地球太古の次元の中での生命の営みを表現しているのです。
その後には青い雨がぽつりぽつりとひそやかに降ってきました。
ああ、天が泣いているのです。天を私が泣かしたというのか。私の計り知れない神の許容性を表現すれば、この世はたちまち銀河の広々とした時空になるのです。
ポツポツと雨にうたれる3人の少女が何ともいえない妙な不思議さに、悦に全てを委ねくつろいだ解脱を表現していた。
霧が立ちこめ少女は無限性の中に埋没していった。それは謎を残し去っていった天使なのではなかったのか。
たゆたう白い雲が下界に降りてきて私は、この世界でまた1人ぼっちに残されてしまいました。
心が寂しくなり上方を見上げると、3人の少女が両手を広げて円状に回転しながら、天を中心にして神への祈りを慈しんで、天体に捧げていました。
3人の少女はこちらに体を向けてきた。何と常軌を逸したこの可憐な少女の青い肉体。それは天使の成せる業であった。
人生の荒波を全て乗り越えた人間にのみ流れる、清々しい澄み渡る解脱の真の安心は、天の住み処でした。
そして3人の少女の円の中に、なんと1人の未だこの世界の創成から誕生しえない神の子がふわーっと現れた。
地球上に神の子が創成したのです。
私は世界で一人神の創成の目撃者になったのです。このような異空間の神聖な光景を知る権利を与えられたのです。
神の子は両手を左右に大きく広げて、広大無辺の宇宙からの期待に答え、私の肉体を治癒しようとしている。ああ、何という不可思議な体の回復を知ったのです。
復活して両手を天に大きく広げた私を、神の子のもとへ連れて行ってください。私にはそのような権利があると信じていますわ。
「さあ、来なさい。」
私を天国の世界へ連れて行っても良いと、神の子は認めて下さいました。
私はこの大きな心に全ての体を委ね浮遊していきました。
神の子と一緒に浮遊する、この世界の至福の時空に得も言われず泣くのです。
そして神を見つめていました。ずっと神を見つめていました。
この世界の至上に美しい風が流れる時空に、3人の少女は私を見て、慈悲の青い無邪気で可憐な表情を寄せていました。
神の子と秘められた美しさの奥へと深く深く、私はこのような未体験の宇宙へと優雅に昇天していき、この世界から無くなりました。
ああ、私を泣かしてはなりません。
あの時あなたは結婚していくださいと言った。でも返答できなかった。まだ私は一人孤独を愛していたのです。
まだ私自身に甘えたいのか、それが真実の私なのなら、私はまだ強情すぎたのです。私はあなたの愛に気付かなかったというのでしょうか。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-18

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