山

一人で白き雪山に昇っていく、現実を美しく感じるための方法として、一つ神聖な修行を行っていた。
雪の銀箔の白き世界に身を寛がせて、不可思議な感情に浸りたい衝動に突き動かされていた。
私という果実の実りが必要としていたのは、大自然からの美しい啓示と人間への大きな信頼なのです。
雪の銀世界は静けさに満ちていて、感性は宇宙的な広がりに安穏としている。
私の心は宇宙の無限の大きさに広げようと、啓示に全ての身を許して告白的な解答を待ちました。
この細雪の晴れ渡る明るい楽園に、得も言われぬ不思議な安心感と、大いなる存在に依存する頼もしさを、体の細胞の遺伝子は如実に感じていた。
美しさはさらに感化されていき、この自分の存在への安心感に心の動向はなすがまま、あるがままに全てに身を委ねるのです。
この雪の白い世界での存在の許容性は仏様からの美しい教えだったと、その時はっと感じたのです。
この世に生命を授けてくれたこと、生きる機会を与えてくれたことに対する意味を、私なりにじっくり考えてみるのです。
このようにしてこの世に意味を見つけようとしている。

私の前には長身の細いすらっと伸びた、2メートルくらいの青き美しい女性がひっそりと何も主張せずに立っている。
うっすらと何かしら幽玄な異世界に存在するかのような現実を全く感じさせない、存在するかしないのか分からないような静められた興奮を湛えていた。
何という摩訶不思議な世界に来ているのでしよう。その女性は私の所にふわっと静かに浮遊してゆっくりと近づいてきた。
そしてこの世ではないミステリアスで不可思議な微笑をたたえていた。その背筋のあまりにも伸びた体に、何か異世界の法により生存を許されているような清らかで純潔な美しさを感じさせた。
こちらは何の思いも抱かず親近感を感じ、何か我が故郷に帰ったような居心地の良さを感じた。あなたから人生の苦しみを全て取り除いてくれるような確信を感じさせられた。
「私はあなたをお待ちしていました。今からあなたと雪山を登りましょう」と優しく甘くほんのりと尋ねる。あなたに心の思いゆくままについていく。
その女についていく安心感は何とも言えない、至上の高潔な高次元な嬉しさに、身が神位に躍りはじめた。
何かこの世の全てを経験してきた人間の寛容性を感じさせる夢心地に、人間の母なる帰郷への思いを満たしていく。
女に対する愛の機微を僅かに思い、昔に忘れていた懐かしき感情が復活する得も言われぬ愛おしさ。
女は私に雪を投げ掛けてきたのです。心は若かれし時代に戻り、少年の純真な心となり、女との雪合戦で心は活気を取り戻していく。
ああ、ついに心は少年時代になっていったのです。
女もとても面白そうに私の雪をうまく素早くかわして、手にもった雪を私に投げてきます。二人は気持ちが高揚して調子が乗っています。
至福で至上の愛の時間が、私達をふわっとさらっていく。
そして私は白い粉雪を食べてみました。すると私の体は何か全人生の記憶が回復したように、新しい人間に生まれ変わりました。
私、昔は病気持ちで健康な体ではなかった。この体の復活はまさしく、その女の癒しの不可思議な神威によるものだったのです。またその女は私にそっと優しく触れると、私の体の全人生の傷がなくなりました。
そして全人生の心の苦しみまでも今までの状態が嘘のように無くなり、心が晴れやかに澄み渡って存在している事への感謝を教えられる。
その女は私に「さあ行きましょう。」と言って、私のこの感慨に気づいていない振りをして、さりげなく山の頂上のある方向へと登って行く。
その女に何かいとおしさを強く感じて、気持ちがほぐれて心がふわっと再生されていく。
ついにその女は私を山の頂上に連れて行った。この宇宙で一番美しい山頂からの景色に、心が大きく雄大に人間の全人的で寛容な心に生まれ変わる。
何という晴れ渡るみそらの清々しい女性的な深い祈りの凝縮した魂なのでしょう。
深く静かに山頂で、その人生の到達点に立った、不可思議な無常性に秘められた情念を教えられたのです。
女が種をさっとそこに置くと、そこに大木が見事にすくすくと育っていきました。
あなたは未来にいい種を撒いたのです。
その種はこれからどのような人生を送り、この世の不思議な生命の仏様しか成しえない事象を、意志によって未来の事象を創性する、素晴らしき期待感。
この世にいい種を残して、仏様の無限なる心の発想性を与えんがために。
仏様は私に宇宙的な指示のもとに、この造物主としての権利を与えようとしているのか。
この女に遠く彼方からはるばるやってきたような、異事象のあの世の仏様への祈りを教えられるのです。
あなたは私をしっかりと助けてくださいます。
身心は慈悲の暖かく優しい事象を迎えて、そっとさりげなく啓示する、礼を尽くす仏様の宇宙的な思いやりのあるあなたの教育。
あなたはそのさりげなく伝える法に、生命の真理が知識として高い知性と共に解き明かされていく。高い人間性が達成される為に、私は存在しているという仏様の意思を感じた。
ああ、心は苦を脱して安心へと移り変わった。四季の自然の営みに安心感と共に身を委ねるのです。