新しい宇宙
私を未知らぬ世界へ、清明なるミサで美しすぎた生命が十字架に架けられる。
可憐な宇宙の陰影の中に一筋の光明が道筋を知らせる。
あの浜辺の灯台の光は救済へと、正しき教えの道筋をぱっと指し示すそのほのかな灯火でした。
この法灯のみが悟りを迎えさせる。修業に励む人間は一心に仏様へと真心を捧げた。
人間の精神性は高められて漲る光明の清冽ないで立ちをしていた。
海を眺めながら何かをうっすら感じていた。蝶々のようにひらひらと舞う夢の期待。
その時、少年の中にはある一つのさざ波が静かに流れていた。
美しさを含んだ白いさざ波は人間への大いなる癒しの力があった。
月の光は高々と夜空に舞う天女に、色気を微かに与えていた。和らいだ心の遠く彼方に海への般海の準備が整った。
少年は夜空の北極星を道標にして、さざ波は緩やかに流れ始めて大志を抱かせた。
生命の青く煌めいたエネルギーを与えられ、一点の曇りも無く愛を確め合いミサに礼拝する。
箱舟は自然46億年の生命の時空から成る、大きな安心に抱かれてたゆたい、深遠な宇宙のリズムに癒されている。
星々の運動と同調するように天全体が動き、青い海が動き、広大無辺の水面を箱舟は緩やかで静かに動いていく。
母なる地球の優しさと同期してそよいでいく、人間の心の流れは安らぎに満ちている。
青く深められた海のさざ波が、生まれた赤ちゃんのさざ波と同じであったことを、天啓に以た水々しさによって知った。
少年は子宮を泳いでいるかのように、身心の存在を無くしていき、無の事象の母なる宇宙に還った意識の動き。
ああ、優しい母の声が微かに聞こえてきます。母の教えに従っていれば、もう何の心配もいりません。
少年の進む座標は正しき仏典を得た心の平定。掛けがえのない存在は未知なる青い地球のようでした。
少年の心は宇宙に流れる時空を想い返して、何か得体の知れない偉大な創造者へと全てを依存する。
ふっとその時少年の体は全宇宙となった。
生命の太古の記憶は、深く暖かい柔らかさで心の襞を愛して確かめる主の存在を。
ああ、帰依していく。創造主の偉大な精霊へと。
生命の設形図を描いた可憐な少年は、遺伝子の存在と同調して確め合うように、至上の無の解脱への解読を託された心の内なる宇宙があった。
少年は両手を大きく広げて心身が全宇宙を超越した。人間には未だ解明できない、まだ存在していない、生まれる前の時空に戻って行ったのです。
何て安心していく、この世に生きる意味を知った、人間を解脱した境地は母なる故郷への旅。
海水には遺伝子の光る筋がひらひらと泳いでいる。遺伝子の構造に人間に未だ想像できない優美な調和を教えられる。
美しく漂よう生命の暗号には無の肉体性と精神性を宿している。
深化された精神は淀みの無い大空となり、創造主の慈悲に支えられ青春の若さを再誕させる、人間を脱皮し抜けた新しい組織。
この世で最も可憐なモチーフが天空からひらひらと舞い降りて啓示を与える。この不可思議な宇宙は男女が織り成す愛の創造でした。
万物が解脱して心が安らいでいき、ありのままの御心をさらし続ける、生まれたままの生命のあり方があった。
少年は新たな生命の意味を知り、心身は仏様の次元へと安らかに大統一していく。
少年は天空をふと見上げると、天女が煌びやかに飛翔する目映いあの世への超越した絶景があった。
そして、仏様は私を見て泣いてくださった。
一つの掛けがえの無い美しい存在を与えてくれた。一心なる生命の不可思議さに感謝した。精神は統一して完成されていく新しい人間の肖像。
何という仏様の情の深さなのでしょう。満ち満ちた心の満行に得もいわれぬ達成感を得て、生きている人間への慈愛の思いを強くした。
さあ、全ては母なるお経に還っていきましょう。
生きている人間の存在には意味がある。
そしてこの調和した宇宙の存在にも意味があります。生きとし生けるもののエネルギーの量子は限りなく満ちていた。
これが仏様が教えた生命の未知なる美しい教え。
ついに恍惚とした光の中で少年は仏様になった。
少年の広大な旅は、全くの新しい宇宙を我が心身に宿して、未来は安心に満ちている。
もうすでに少年の内なる宇宙は、天国の遥かに高い次元性を知っている。
それから未来に大きな期待を抱いて、言葉を現実に行動に移し世界をより良く可憐に変えていく。
少年は地球上の未来の為、必要な人間になったのです。
そう、これから少年は美しい意味のある人生を送ることになります。
そして生命に還る、自然に還る、宇宙に還る。大仏に還る。
新しい宇宙