お堂

お堂

その人間のとてつもない可能性を教えたのは誰なのですか。念仏を唱えながらお堂の周囲をまわっていくのです。周りはまだ日が昇っておらず、暗くほのかな深い静寂がこの世界を遠くに隔て、宇宙で唯一次元の異なる聖なる時空を表現していた。
何の存在もない宇宙空間にお堂がぽつんと浮いていて、その周りは光明に満ち溢れて大きな仏様の存在を確認する十分な根拠があった。
お堂の灯が一際明るく、生命の力強く暖かな体温を媒体化している。お経は限りない修業僧の悟りへの達成過程。新紀元からの人生の歴史を肯定化させようと、漲る意思の力を表現していた。ああ、確かに私はお経の力を知っている。
修業僧がお堂の回廊をお経を唱えながら周っていく。その仏性と見性の深き知恵の意味が如実に現れる、お堂内部に朗々と響き渡るお経は仏性を宿す生命の復活への願いがあった。
私の体にお経が流れていくその仏性の、世界で最も美しくて、最も無の宇宙の誕生と遠く彼方への時空の創造性。
私、仏様の例えようもない懐の暖かさ、母なる故郷の優しき微笑、得も言われぬ存在への愛着。
私は私の中心を知り、体温を知り、各器官を知り人間存在の確かな認識を知る、この世界に新たに誕生していく神経細胞。
そのままでこの世の光をあの世の光にしていた。
己自身を歩いている修業僧は、世界の光を超越した人間細胞で、現世を完全に解脱した人間。この世界の全ての苦を超越した御姿。限りない生命の存在感を表現する仏様の慈悲、宇宙、そして心。
御仏様は存在していないような微かな薄い炎を発し、生命の極限の臨床的冥界に漂う限りなき感情の微細なミクロユニヴァースへ。そこに人間の人生が存在していた。
人生の様々な難題をすべて乗り超え、そうなのです、乗り超えるごとに仏様へと遷化していく。心は清らかに澄み渡る森羅万象の母胎の微かな鼓動。
何という創造性は無限大の心の飛翔と肉体の解離。
宇宙で唯一の貴い仏様の認識は解放、解脱、解法、そして全邂逅。
私は天に選ばれた確信に安住安穏する。この悟りの為に人生を今まで生きてきたのです。
仏様を頼りにしています。大きな安心の頼れる後姿は慈悲深い母性の寄り処でした。
その仏様がついに光の見性へと連れていってくれた。
お経が仏様の存在と同化し、爽やかなで大きな海、大きな陸、大きな山、大きな空の存在を認識して体感する。
ああ、私のものになっていく。
仏様はその存在を丸く丸く優しく包んでくれる。なんていとおしい、やさしい、やわらかい宇宙の安全地帯なのか。
こんな事象、こんな時間、こんな空間があったのか。
あなたは大丈夫。あなたこそが天性なのです。
天性の肉体を宿した感情の流れをしています。本当に私は人間を超越しているのが良く解る。
その時、ついに仏様が現れました。
仏様はこの世界を超越し解脱する見性と仏性を持ち合わせ、諸行無常に無を授けて全てが己のものになっていく。
私は知っている。仏の存在、仏の体感、仏の温度、仏の精神、仏の肉体というこの世界にかけがえのない存在を。
そうなの、私は例えようもなく安心していく。
仏様の表情は澄み渡り知性の高さが滲みでて、ふっと美しさのうちに解脱する。人生が解決し邂逅していき、仏性の感得を宇宙に目映く解き放つ。
己の深層心理は確かな悟りを体得し執着を完全に無くした。
その存在している細胞と神経は仏性を創造して生まれたばかりの胎児に還り、宇宙と地球、そして生命は母胎回帰している。
仏様の恍惚した存在になり人生の経験は意味を持ち全てが解脱し円の中に解決していく。もしかしてここはもう天国なのか。宇宙の新紀元で生まれた生命が創造の頂点へと進化していく。
この感覚を体得すれば人生の目的は完成していき、己の人格は成長を遂げ進化していきます。
遣伝子は宇宙に羽根を大きく広げ、銀河星団は目映く煌めき、宇宙の無限性で般若心経の実存的完成を、丸くやわらかく大成していき心願成就した。
立派な人格の形成の為に、遣伝子の創造性は万物の形状へ見事に進化して、肉体と精神は新しく生まれ変わる。
超越、さあ、この世界の全ての苦からの解脱する。
私の陸海空は万物が無へと変化し、創造主の感覚を時空化し、涅槃事象の仏様の宇宙へと還る。
私の肉体と精神は仏様の宇宙と生命をいつでも地上界に発揮できる。
大成した存在は知性を完成させて、仏の修行は完全な無の宇宙へと迎える。
修行者として人生の意味を知り、人生の大願を成しとげる道標は確実に定まり、心身は期待と願い、そして叶えたいみそらのそわかへと飛翔する。
細胞に宿る仏性は般若心経の解脱により、全宇宙へ脈々と通じていき心の広大深遠さを体得した。
大きな仏様の精神と肉体を体得した細胞は、はっと私自身の遣伝子の存在を知った。
私は宇宙の外側へと、生命根元の大心と大命は人間の進化の極限へと、進化のさらに完成した、さらなる完成へと到達する。
宇宙の外側へと突き抜け、天地創造の仏様はさらなる新しい宇宙を創造した。
ああ、これからさらに進化させるのです。

お堂

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-07

Copyrighted
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