雑を喰う
与八は一本の長い道を歩いていた。道の両脇は水田である。水を張る季節は終わり、一面に薄い茶色や淡い黄色の景色が広がるきりである。
昼過ぎ頃のこと。
田んぼ道に、「雑」を喰らう鳩がいる
なんとも不気味だ
与八は はっとして唾を飲み
手の甲で顎をこする
磔にされた百姓が頭をよぎった
乾いた草の上を歩く鳩の足音が、妙に響く
与八はまた歩き出し、川に鰌がいるんじゃないかと無理に意識を逸らした
前の小屋の屋根には烏が三羽
ただじっとしている
与八は鳩の音に目を見張った
雑を喰う鳩は、いたんだぁ
おれは見た
おれは見た…
…
そう繰り返し、与八は一本道を歩き続けた
雑を喰う