彼女

僕には、勇気がない。

僕には勇気がない。
彼女に別れを切り出す勇気が。
でも、彼女はあっさりと告げてきた。

『ねぇ、私たち別れよう』

なんてあっさりしているんだろう。
もちろん僕は子供の様に

「なんで?別れたくない」

とダダをこねていました。
でも、僕も彼女もほんとは別れたくなんてなかった。
恋愛には別れなくてはならない理由がある。
その理由は結構そっけないことが多い。

両親の関係
年の差
住んでいる所
金銭問題

ほかにもいろいろあるだろう。
僕たちは年の差、が問題だ。

僕は今年22歳 彼女は今年で29歳 7歳差。
僕たちの年の差に反対してきたのは僕の両親。
でも、僕は反対を押し切って彼女と一緒になりたかった。
それほど彼女のことを愛していた。

けれど、その願いはかなわなかった。
僕たちは6年という長い歳月の中彼女からの一言で
あっけなく終わってしまった。

彼女は、別れた後、一か月後に職場の上司と付き合い始めたらしい。
僕と別れてわんわん泣いていたところを上司の人が

『実は前から好きたった。』

告白したらしい。
別れてその悲しさに付け込んでって思う人もいるかもしれない。
でも、悲しんでいる人を幸せにしようとする努力、
僕は卑怯だなんて思わない。
むしろ感謝する。

その後の僕はというと、
親から勧められたお見合いに参加し、2歳年下の女性とお付き合いするよう親に勧められたし、
彼女の両親からも勧められた。
年下の彼女も乗り気だったし、アプローチもされた。
でも、例え年下の彼女が僕を好きでも、
僕はきっと彼女を忘れられない。
彼女が誰と付き合っていようとも、僕は生涯、彼女のことを愛し続けるだろう。
だから、僕は丁重にお断りしようと思っていた。
そんな中、彼女から一通のメールが届いた。

[お久しぶりです。お元気でしょうか?
風の噂であなたがお見合いをしたと聞きました。
やっと、あなたも幸せになれますね。
私は、今、とても幸せです。
あなたも、私のことは忘れて幸せになってください。
それが、私の最後の願いです。
今まで、本当にありがとう。
さようなら。]

彼女は別れてもなお、僕の幸せを願ってくれた。
別れる原因は僕にあったのに、
それでも、彼女は最後までとても魅力的な女性だった。

僕は、お見合い相手に「お付き合いする」というメールを送った。
そのメールの返信には、
《まだ、彼女のことが忘れられなくてもかまいません。
忘れろ、なんて言いません。
一種の思い出としてあなたの心の中に残してください。
そして、これからは、私との思い出をたくさん作りましょう
これからよろしくお願いします。》
年下の彼女は僕よりもとても芯のあるしっかりとした
とってもかっこいい女性だった。

彼女

このお話は、私の友人の経験したお話を少し交えて執筆しました。
皆さんも、別れたくなくても、別れなければならないお付き合いがあると思います。
その一種として見ていただければ、幸いですl。

彼女

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-01

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