ゴハン


痛い

痛い

痛い


どんなにそんな顔をしても、誰も気づいちゃくれない

みんな言うのは、決まってて

「可哀想」ただそれだけで。


目がうつろになってきた


恐い

恐い

恐い


死んでやる、なんて想う猫だったのに

死ぬのが恐い猫

これで終わっちゃうのか

そんなことを想ってみんな・・・


必死で足掻いた、でもだめだった。


吃驚

吃驚

吃驚


僕を抱きかかえる手は何よりも暖かくて

鋭い目つきをした母よりも、何よりも

その子が出してくれるゴハン

暖かいな


初めて笑った。


寂しい

寂しい

寂しい


目を開けたそこにはゴハンだけが置いてあって

ただただ寂しい気持ち

その子はどっか行っちゃった


周りを囲む茶色の箱には紙が貼ってあった



寒い


暖かい


暑い


涼しい


その子はどっか行っちゃって

僕を置いて・・・行っちゃって

僕を捨てて・・・行っちゃって


その時僕は走って走って


温かい

温かい

温かい


その子の体温

まだあるけれど

僕が体温


もらってしまった

ゴハン

ゴハン

あい、遅れてごめん

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-17

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