季々



伸ばしたハルの水に触れ
逆さに泳ぐ、浅く潜る。
表面さらう陽、ばしゃばしゃ割れて
かたむける、転がしことばの
またたき視界が幹のきき、きぎ
舞えば色々、匂いはき、
あかくした舌、吸えば生き死に
見上げ動くはしろあお、光
それら並べた点がほし、ぼし
白い歯見せた、まひる眩しく
閉ざす目、視ること
数え長々。
膨らむ肺の、肺の、
底。
足の裏を向けた青空、
高くて、広くて、滴が戻る、
そうして
開く、大きく
たいかん、
目、覚める朝。
私、回るみ。



ナツがあるなら、すくすく根差し、
吹いた風、止まらずのうち、
せかいのうち、なか。
指先沿わせた曲線、直ぐ、曲線。
額に浮かぶ、発想が泣く。
あなたの、と喋るあなたの
覆いは出かけ、
ひろげ、あなたのふとした見方、
見方。
あれがそう、と
飛んでく行機、雲にちかって、
口にした、のさ。そういうもの、もの。
わたしが綴る、記号に遊び。
きみにわたすと、わたしにいう、
きみ。
中々。順々に段落、
す、と書いたし、消さずに残し、
木、にしてみて、ふるふる探した。
けしゴム渡す、
貴方に私。
伸ばし、消える。
罫線は広く。
とんとん、とんっと
合図は早く、
かたづけ始め、
履いた足だけ、前を向いて、
話した私が、数十年と少し。
きみ、と呼ばれて後ろの姿、
低いえいえい、替えて、換えて、
影にしてみた。
あのひとわたし。
目と目であった。
わたしに会えて。



アキと鍵かけ、パタンと出かけ。
指差し、確認、
おててとつないだ。
枯れ葉、と、あれは?と
二人で進む。
大小、るる、らんらん、
と口ずさむメロディ。
まがる角、立ち止まるのが良し、
また指差し確認、
みぎ、あれひだり。
続きのお話、
そうだね、
「かもめはお口を、遠くに閉じて、」
それで、とここで一幕、
通りにさざめく黄色と、枯れ木。
任せる、
橙色のウソが舞い。
あの笛の近くの、
音階奏で、
絵本は忘れた、
じゃあ、頁を数える。
じゃあね、
と始める声から教わる、心。
きみはすてきな
ロ、をして笑う。
それならわたしは?
ト、と考え。
歩き、歩いて、
懐赤く、
曲がる角から
帰る思い出、
そうだ、あれだと、
笑んだ。
思い出。
温かい、にんじんが好き。



うさぎから、山の上まで。
(借りていた芽の名前を所定の場所に、)
ふかふかの、絨毯という。
大きな窓が取り込む方角に向ける、
首元のネクタイ。
係りの者が、
逃げていた蝶を持って来た、
頭を撫でた、撫でて欲しそうな仕草で、
大きな大きなあくび。
失礼、
と。
次いで、
ひと匙の、
動きが混ぜる季節の、
名前が耳にこなれた。
(運ばれて来て、)
誰かの名前が呼ばれた。
白い手袋が重ねられ、
厚いコートが腕にかけられる。
お礼、
(お呼びしていた、あれがそうです、と。)
舞い込む、足跡が続く。
お気を付けて、
と落ち着いた調子。
雪景色も、
途切れ。
浮かぶ白から、
しゃんと進んだ。
ふゆ。
そうなんだ、と願い込められた。

季々

季々

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-29

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