なんか、人生相談
「なぁ、キマグレ。人生って何かな……」
「なんだよ、突然」
放課後。日が沈む情景を眺めながら美作豊樹は隣の友人に疑問を投げかけた。質問は思春期において誰もが頭を悩ます内容であったが、豊樹自身今した質問に真面目な回答が返ってくるとは考えていなかった。ただ、何とはなしに質問しただけだった。ただ、思いついたことを口にしただけだった。だから、友人の返答を聞いて少し驚いた。
「そういうのはよ、自分で決めるもんじゃねーの。人生楽あり苦ありでそう単純じゃねーからよ」
「お前、病院いったほうがいいんじゃねーの」
「行かねーよ。なんだよ人が少し真面目に答えたのによ」
苦笑してしまった――それが問題だったりするのだけど――豊樹は長い付き合いの友人の顔を見上げた。 ぼけっとした顔をしていた。豊樹は少し思案顔になった。
「何だよ、俺の顔になんかついてるかよ?」
「ごめん、なんでブサイクな男のマスクかぶってるの?」
「お前の顔、ブサイクになるまで殴ってやろうか?」
「それは、無理だお前に俺は殴れん」
「なんだと。やってみなきゃわからないだろー」
平坦な声で答えながら豊樹に向かって拳を突き出すポーズをする。それに対して、豊樹は両腕を胸で交差させる。
「ふははは、バリアー! バリア中は俺に攻撃は効かん!」
「小学生か」
「ちなみに、手放しバリアもできるぞ!」
「だかんらなんだよ」
「これで、防御の体制をとらずともオニの攻撃を防ぐことができるのだ画期的だろ!?」
得意気に話す豊樹と対照的に友人はけだるそうな顔で相手をする。
「ビーム。……これをくらったやつはバリ使えなくなる」
「なんだと。……ならこっちはビームバリアだ! ふはは、どうだビーム破れたり!」
「……じゃ、って、虚しくねーの」
おそらく終わりが見えないであろう勝負に友人が終止符を打つ。もう少し遊びに付き合ってやろうか少し悩んだ結果のように見えた。
「まぁ、実際虚しくはないが、なんだろう周りから冷たい目で見られた気がする」
「さっき、女子中学生が指差して通ってったぞ」
「ちくしょー、なんでこんなにまで胸が痛いんだ!? どうしてなんだ、キマグレ?」
「安心しろ、体は正常だ。ただ頭が病気なだけだ」
「お前、意外にさらっとひどいこと言うよな?」
「……冗談だ」
「さっきから、表情があんま変わってないんだけど!?」
「じゃ、ホントーだ」
「どっちだよ!」
そう言って豊樹は深く息を吐いた後、夕日を見上げた。
「なぁ、キマグレ? 人生って何だろーな」
「知るか」
豊樹の質問はその一言で一蹴された。
その言葉に、豊樹は少し安堵した。
辺りには街灯の光が点灯し始めていた。
なんか、人生相談
いや、テキトーな短短編でした。次はちゃんとしたファンタジーを連載し始めたいが……。ここまで読んでくれてありがとうございます。誤字・脱字・日本語オカシイヨー、HAHAHA等ありましたら、報告してくれると嬉しいです。