Pretty Wise
僕が好きになる女の子は皆、自分のことをファーストネームで呼ぶ子だった。
自分自身、このことに気が付いたのは最後の彼女と別れてから一年くらい経ってからだった。
付き合っているときはその事実を超えられる幸せに立ち会うことは早々に無い。
別れた途端、付き合っていた頃が鬱陶しくなる。いや
本当は振られた自分の不甲斐なさに苛立っている
という感情の方が正しいかもしれない。
人はひとつの大きな幸せを逃した時、その事実から逃避しようとする。それがどれほどみにくいものだと知っていたとしても。いくら見栄えが悪くても自分を守ろうとすることに必死なのだ。だから私たちは夜をこえるのだ。
体を犠牲にして。心を守るために。
体が腐るとこころが枯れることを知りながら。
Pretty Wise