メランコリックシンドローム
吹きつける風
「寒いなあ」
ぽつりと呟く
ここはどこ?
何だまた幻聴か
もう聞き飽きた
「ここはビルの屋上だよ」
一応答えを教える
下を見ると
溢れんばかりの通行人
見渡す限り広がる高層ビル
地上の息苦しさから
僕はここへ逃げ出した
「明日、晴れるかな?」
小雨降る空に問う
もう関係ないか、と
心の中で思ったのはここだけの話
何度もここにきた
息苦しさから開放されるため
綺麗な酸素を求めに
でも今日はいつもと違う
すうっと空気を吸って
このご時世
こんな低い柵は駄目だね
批評を呪文のように唱え
僕はそれを跨いだ
メランコリックシンドローム
こんなに冷静にいられるのかも分からないけど。覚悟した人は追い詰められているというより既に晴々しているのではないのかなあ、と考えて。