王道ラブコメなんて信じない15

うるさい。まるで天変地異が起きたかのような狂騒だ。ゲーム筐体からの音に加えて客の声が大きいのなんの。
「うわぁ…。ここのゲーセン明らさまに治安が悪い」
昭和の不良高校にいそうな髪型の奴とかもいるが、
「そこはどうでもいい。早く追うぞ」
「そうはさせない。お前ら見慣れない顔だな……っ!」
「見慣れない顔でごめんな思わずイラッときたからクリティカルヒットさせといたから」
脇腹に蹴りを入れて昏倒させておいた。一応累計200万部以上は売れている小説家だ。見慣れないってのも腹が立つ。
「せめて最後まで喋らせてからにしようよ」
「さっさと終わらせたいから…」
だって、早く帰って沢山依頼料を貰いたいんだから
「そんな、『僕はやることやってるのになんで説教するの?』的な視線を送るのやめてよ」
「うわっ!サタンが来たよっ!お前ら早くここから出るぞっ!」
あ、それは言わないで欲しかった。足尾と2人で「繁華街で絡んでくる不良を100人倒してみた」って動画を撮った時にそんなあだ名をつけられたんだよ。再生回数が100程度だったのが少し悲しかった。
「シーン」
「先生。やることないからって人がいないのを声で表現しなくていいですから」
「私はお前らの安全を考えて来たのだがやることないようだな…。どうせ、私は用無しですよ…」
俺は洋梨は好きだから…ってそれは関係ないか、
「気を取直して行きますか」
「吉岡さんも大概だね」
金髪と委員長は何も気にしていない素振りで先へ進んだ。不良は文字通り唖然呆然。開いた口が塞がってない。
「ストーカー野郎見つけたっ!ってあれ?」
「野郎では無いね」
2階に行くと巨乳でモンストにいたアイリスってキャラに似たような服装の女がいた。
「あなたたち何しに来たのかしら?」
「下にいた雑魚を倒したからラスボスを狩りに来ただけだ。さぁ!覚悟!」
「馬鹿野郎。何がさぁ!覚悟!だ。普通に話せないのかお前は」
西宮先生に頭を小突かれた。ノリだよ。ノリ。
「ちょ、落ち着いて?私は二人の親から頼まれて普段の様子を撮ってくるように頼まれただけだよ」
先ほどの高貴な感じが微塵も感じないような慌てぶりだった。
「キャラ変わり過ぎ」
「ギャップあり過ぎですね」
「色々気になる箇所が…」
不良、委員長、金髪が矢継ぎ早に畳み掛けて
「とりあえず若作りのつもりだけど若く見えないよあと胸はパッ―」
西宮先生に思いっ切り蹴り飛ばされた。
「星宮君のは完全にトドメの一撃だったね」
「まぁ、そう簡単にくたばらないのが俺なんだけどな」
受け身をしっかりとったからな。これくらい余裕。
「とりあえず何でここに来たのか教えてくれない?ここは異人以外は立ち入るのが厳しいと聞いたのだけど…」
「その異人が居るから入れたんですよ。ね?星宮君」
「まぁ、そうかも知れないな…っておいっ!誰が異人だって?偉人の間違いじゃないのか?」
「ノリツッコミ上手いな」
「二人が不審者にストーキングされてるって苦情きたんでとりあえずやめて下さい」
「そ、そんな…」
「それじゃあ、お願いいたします」
「大変失礼しました。主にその異人が」
「不良。倒置法で人を傷つけるのやめたら何か欲しいもの買うからやめてくれ」
あっさり、終わって
「何か凄い適当に終わらせたねー」
金髪のその言葉で依頼は解決。あの女の名前聞いてないな。まぁ、どうでもいいか。

王道ラブコメなんて信じない15

王道ラブコメなんて信じない15

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-21

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