王道ラブコメなんて信じない13
幽霊撃退事件から二日経った頃。依頼はそんな簡単に舞い込むことも無いので暇である。
「依頼人来ないなー」
金髪が暇そうにボヤいていた。
「そうだな。まぁ、いいんじゃないのか?平和だし、働かなくていいし」
こんな部活は暇が一番だと思う。問題だらけの学校とか最悪だし。働くのは面倒だし…。
「働いてもらいますよー」
部長になった委員長が二人ほど依頼人を連れてきた。面倒と言った途端にこれか。厳しい世の中だな。
「依頼人がきた!」
金髪は少し嬉しそうに言う。俺にとっては最悪だ。
「うわっ、一番関わりたくないの来たよ」
「あんたら愚民に依頼よ。むしろ感謝して欲しいね」
「こんなのが天皇家ってのが許せないよな。星宮」
「俺に話を振るな俺はお前とも関わりたくないんだよ金持ちが公立高校に来るなよ。私立いけよ」
高飛車な態度の女は『吉本飛鳥』今の天皇の娘らしいが、何故か普通の高校に通っている。足尾もその謎はまだ解明出来ないらしくとにかく謎が多い女だ。そして、気弱そうなメガネは『押立雅人』こいつは今の総理大臣の息子で、コイツは自分の意思でこの学校を選んだらしい。どちらにしても金持ちは嫌いだ。
「あんた、調子乗るのもいい加減にしなよ!社会的にも人間的にも消すよ?」
にしても、香水臭いし、生意気な奴だな。
「おい、この面倒な女を何とかしろよ六角レンチ」
「その名前次言ったら刺すからな」
押立の家系は代々政治家では無かったらしく三代前は六角レンチを作っている工場の工場長だったらしい。ストイック過ぎて聞いた時は思わず鼻で笑ってしまった。
「刺してみたら?その代わり六角レンチとか昔使い方知らなくてダウジングマシンとして使ってたレベルで貶すから」
いや、初めて六角レンチを見た時ダウジングマシンにしか見えなかったし、六角のネジの存在自体知らなかったから。マジで。
「せっかく依頼料払おうと思っていたのに」
「それなら話は別だ一万から受ける」
ボランティア活動の一環の部活でお金を払う奴にはある程度の事は聞く。
「しゅ、守銭奴…。僕だってそこまで金に執着しないのに」
「どんだけ金に飢えてるの…」
二人とも引いている。いや、お金は欲しいだろ。
「依頼内容は?」
コホンと不良が咳払いをして話を本題に戻す。
「「ストーカー被害に遭っている」」
「それはただの勘違いだ。被害妄想だ。過剰反応だ。はい、解決した。依頼料よこ―痛っ!」
頭に鈍痛が走り背後を見ると西宮先生がいた。
「適当にやるなそれでもミステリー作家か」
「先生。今は体罰は犯罪になるんですよ?懲戒処分ですよ?」
「能書きはいいから私の話を聞け。その二人の話は事実だ。近隣で不審人物を見たとの情報がある二人の希望で護衛もいない。合っているか?」
「「はい」」
確かにこの二人のボディーガード的なのが居ないのは気になっていたが、そういう事か。
「親に心配かけるのもなんだしお前らで解決してくれ。今回は何かあったら困るから一応私も同伴だ。報酬はスイパラだ。どうだ?」
俺は面倒だしシノアリスのストーリー進めたいから帰ろうかな…。
「物や金で釣ってる感が否めないけどやりますか」
「ようやく探偵部らしくなってきましたね」
「準備するか」
みんなやる気だし、カバンを奪われたら行くしかないのか。
「はぁ…。こういう時に民主主義ってのが嫌になるな」
また面倒な事に巻き込まれるのか。
「ここが例の場所なんすか?」
「あぁ、そうだ」
繁華街の喧騒は嫌いだ。
「目が腐ってるからそこら辺の人より怖くなりますね」
俺が先生と話している間に何かを話していた。てか…。
「お前らの会話なのに俺が傷つかなきゃいけないんだよ。てか、何で知ってるんだよ。ホントにストーカーみたいだからやめてくれ」
何で、俺が繁華街に寄ってネタを集めていた時の話をしているんだよ。
「こないだ、岸田先輩に学校で会ってそんなことを教えてもらったんだよ」
「あの女は目が合うと危険だからもう目を合わせるな」
「そんな自分のいとこを熊みたいな扱いして岸田先輩悲しみますよ?」
「お前ら静かにしろ、吉本達をストーキングしてる奴がゲーセンに入ったぞ」
「あのピンク色の羽織を着た人ですか?」
「そうだ。早く行くぞ」
「私、何かワクワクしてきました」
「委員長。俺も同じだ」
こういう尾行ってのは楽しいし戦闘になったら更に楽しくなる。
「やっぱ、二人って見た目と違って血の気が多そうだね」
「あぁ、昴達だってここまで輝いた殺意を出したことないぞ」
血の気が多そうな見た目の二人が平和主義なのがおかしいくらいだ。やっぱり楽しいな。
王道ラブコメなんて信じない13