奴隷ハーレムの作り方#2~冒険者とギルド~
街の周りは壁に囲まれていて、さながら城塞都市にような雰囲気が出ている。
俺が来た方向には草原や森が広がっていて、魔物が出没するんだろう。
街の入り口には警備をしている兵士が立っている。
俺は門の前まで行き、人の良さそうなおじさんの兵士に話しかけた。
「すみません。街に入りたいのですが……」
「ん? 見たことない少年だな。この街は初めてか?」
「そうなんです。実は田舎から出てきた者で、冒険者になり身を立てようと思いまして」
こう言っておけば出身のこととか怪しまれないだろう。
まあ住んでいたところは実際田舎だったからあながち間違っていない。
「そうかそうか! いやあ、若いっていいなあ。頑張れよ少年」
さっきから少年少年と言っているが、そんなに若く見えるだろうか。
それより気さくな人で良かった。
「ありがとうございます。右も左も分からないものですが頑張ります」
「その意気だ。街に入るには身分を証明できるものは……田舎から出てきたんだからないよな。悪いがそういう人には通行料が必要なんだ。銅貨10枚なんだが払えるか?」
どうやら自己解釈してくれたらしい。
背中に手を回してアイテムボックスから銀貨を取り出し、兵士に渡した。
「確かに受け取ったよ。お釣りの銅貨90枚だ。見たとこ財布もないみたいだな。選別に袋もやるよ」
なにこの親切な人。隣のおじさんにいそうな感じだ。
「助かります。冒険者ギルドってどこにありますか?」
「ギルドならそこの大通りをまっすぐ歩いて一つ目の曲がり角を左に曲がった先にある。目立つ看板があるからすぐに見つかるだろう。ギルドに登録してギルドカードを持っていたら街の出入りも自由になるから早く登録したほうがいいな」
「ありがとうございます。それじゃ、また」
「おお、また通る時は声かけてくれよ――ようこそ、ルシュタートの街へ」
兵士のおじさんに礼を言って、俺は街の中に入っていった。
街の中は人がそこかしこにいて賑やかな雰囲気が出ている。
活気があるのはいいことだな。
一年間引きこもっていた俺はこの賑わいを久しぶりに浴びたので、ちょっと落ち着かないが。
小腹が空いたので、露店の肉の串焼きを片手に持ちながら歩いていく。
この猪の肉が少し癖があるが味付けがしっかりしていて美味い。
なんか露店で食べ歩きってお祭り気分でいいよね。
こういうの一人じゃなくて女の子としたかったけど。いつか絶対しよう。
冒険者ギルドは兵士のおじさんの言っていた通り簡単に見つかった。
さすがギルドというか、立派な建物だ。
城をお屋敷程度の大きさに縮めたような印象で、中に入るのを戸惑う。
入り口の前でうろうろしていると、後ろから声をかけられた。
「あの、もしかして冒険者希望の方ですか?」
振り向くとそこには、可愛らしい受付嬢のような女性が立っていた。
「はあ、そうなんですけど……少し緊張しちゃって」
見られていたのが恥ずかしいが、こんな立ち振る舞いを見せた後で取り繕っても無駄なので、正直に答える。
「でしたらご案内します。私ここの職員なので」
笑顔でそう答えた受付嬢の女性はギルドの扉を開けて入るのを促してくれた。
俺は女性に礼を言いつつ、中を見渡すと冒険者風の出で立ちの人がちらほらと見える。
「こちらがカウンターになりますのでお座り下さい」
俺は促されるまま席に座り、反対側に座った女性に話しかけた。
「あの、田舎から出てきたので何も分からないのですが宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします。冒険者ギルド職員のローリス・ラズワルドです」
「あ、兼……コーヤ・カネミです」
「コーヤ・カネミさんですね。では、こちらに手を当ててもらえますか?」
そう言ってローリスさんが取り出したのはこれといって特徴のない水晶だった。
その水晶に手を当ててみると水晶が光り出して、しばらくすると光が徐々に消えていった。
「コーヤ・カネミさん、人族で16歳ですね。属性の適性は風、と」
ローリスさんが呟きながら登録書に書き込んでいるのを見ながら、驚きで声を上げそうになった。
16歳? そんなに俺は若くないぞ。
「その水晶って個人情報を調べられるんですか?」
「ええ、真実の水晶といって人の名前、種族、年齢、その人の魔法属性などがわかります。詐称したりしてもこの水晶の前では嘘はつけません」
自慢気に胸を張るローリスさんを微笑ましく見ながら、俺は内心吃驚していた。
もしかして、若返ったとかいうやつか?
肉体の強化に伴って一番健康な年齢まで若返ったのかもしれない。
予想外の嬉しい副作用に俺は内心大喜びであった。
「それではコーヤさん、これがギルドカードです」
カードを貰い、ローリスさんにギルドの説明を受けた。
一連の流れとしては、依頼を受けて報酬を貰う。
魔物を倒すとギルドカードに討伐数が記録されるので、基本的には依頼の成功報酬と魔物の討伐報酬が冒険者の報酬となる。
魔物は倒すと霧のように消えてしまうので、大量に刈ったとしても残骸に悩む心配は無いらしい。
大体のことは分かったので、今日はギルドを出ることにする。
「ローリスさんありがとうございました。明日から宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いしますね。コーヤさん」
可愛らしい笑顔で見送ってくれるローリスさんに癒されつつ、俺はギルドを出て宿探しをしに街を歩くことにした。
奴隷ハーレムの作り方#2~冒険者とギルド~