花より遺言

この水まずい これじゃ君が
私を嫌いになるかもしれないな
栄えるものも いずれは滅びる
私は一昨日まで綺麗だったのに

段々と色を失う 
端が萎れてくる
絶望的な明日を迎える

この家に私はもう少しだけ
居たいけど
この空気は私にはほんの少しだけ
痛かった

いつまでも咲いていたいけれど
どうしても力が出ないの
私を見ないで

この水おいし それでも私は
私の寿命ぐらい大体分かるんだ
枯れてしまうから 今すぐ消えたい
私は君にあんな姿を見られたくない

段々と死が過ぎる
空が明るくなる
希望的な今を迎える

この家で私は良かった
まだ居たいけど
この空気は私にはちょっとだけ
痛かったけど

君が私の前で立ち往生している
どうしようって焦ってる
君のおかげで

こんな私が
世界に生きていたことを
最期に教えてくれたから

花より遺言
君が大人になった頃には
きっと私を忘れているでしょう
新しい花が咲き誇っているでしょう
だけどそれでいいんです
こんな私が
世界に生きていて良かったと
最期に思わせてくれたから

花より遺言

花より遺言

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-21

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