足の速い娘をポニーにして競走馬を作ろう

　連絡のあった高校生の少女が届いた。酷く怯え、錯乱している。エージェントから経緯を聞いたところ、確保する際に日本語を話せる者が居なかったために拉致同然の状態で連れてきたとのことだ。
　少女は制服姿。校則に違反しなければ良かろうと言った風な短めで、しかし髪の量が多く見えるような凝ったヘアスタイルをしている。血統はともかくとして、中身は街で見かける小娘と差はないだろう。
　エージェントを早々に帰し、少女に話しかける。
「何故連れてこられたのか、怖い思いをしたのか、知らされていないようだな」
　口を閉じていた少女は、今まで抑えていた恐怖を吐き出すように勢いよく喋り始めた。
「なっ、なんでさらったの！　わたし悪いことした？　家に帰ったら外人がいっぱい居て、お母さんが居なくて、そのまま連れてこられて、みんな英語で喋るし……なんなの、なんなの！」
　壁際まで下がり、少女は泣きながら訴える。さっきまで少女を囲んでいたのは、背の高い外国人。対して、わたしは三十後半の日本人、しかも作業着姿だ。あまり怖くはないだろう。
「英語じゃない、スペイン語だ。公用語にしてる国が一番多い、英語よりメジャーとも言える言語だぞ。知らないのか」
「し、知らないわよ」
　取り乱している、この歳なら無理はない。話すべきか、黙っているべきか。
「バカにしてるわけじゃない。外国人同士で話すとき、一番使われるのは英語だからな。よく誤解されるんだ」
　わたしの説明を話半分に聞き流し、少女は自分の体を抱き直した。離れていても震えているのが分かる。
「そんなのどうだっていい、早く家に帰して！」
　これだけ厳重に拉致されながら、主張すれば帰れると考えている。少女に演技をする余裕は見えない……これは、本当のことを言っても通じない、と考えたほうがよさそうだ。
「帰る家はない、処分した」
　少女の表情が固まる。震える唇を無理矢理動かし、どもりながらも言葉を紡いだ。
「お、お母さんは？」
「まだ生きてると思うが、そのうち死ぬ。使える内臓は全部売りに出されるからだ。父親も同じ目に遭う」
　わたしがよく使うデタラメだ。臓器移植ビジネスは戸籍管理の甘い国で行うのが主流で、日本のような国では盛んではない。ただし、存在はする。国外からの調達が困難なためだ。
　加えて、実際に起こってる問題としてテレビなどが取り上げていることなどから、本当に拉致された人間にとっては真実に聞こえる。
　本当は、彼女の言う両親は育ての親で、血は繋がっていない。彼女の本当の両親は二人とも陸上選手であるが、彼らは精子と卵子を提供しただけで娘が存在すること、こういった利用のされ方をしていることすら知らない。
　育ての親はそれを承知の上で少女を育て、我々に差しだし、今頃は謝礼金で祝杯を挙げていることだろう。
「なんで……なんでわたしなの？」
　だが、物わかりの悪い小娘にそんな事情を説明すれば混乱するだけだ。精神的に不安定にもなる。今後が長い、ということを考えれば、なるべく未練無く今の状況を納得させたい。
「お前は足が速かっただろう、短距離でも長距離でも県の記録を塗り替えたそうじゃないか」
「だったら、なんなのよ」
「足が速くて若い女なら、誰でも良かった。お前なのは、たまたまだ」
　少女の顔から血の気が引くのがよく分かる。そんな理由で？　と疑問に思っている風に見える。納得できないだろう、だが理解はできるはずだ。
「足の速い女の子なんて、他にもいるじゃない」
「候補は何人かいたらしい。そういうときは、拉致するのに金がかからない順にさらってくると聞いている」
「な、なんで母さんと父さんまで」
「これはわたしの想像だが……夜逃げに見せれば楽だから、だろうな。それに、娘が優秀なら親も優秀と言える。健康な内臓は高く売れる、だからついでに殺す、それだけだ」
　口を開け、少女は首を横に振る。現実が受け入れられないのだろう。わたしも、拉致などされたら受け入れたくはない。
　わたしは少女の返事を待ち、無言で彼女を見つめていた。しばらくして落ち着いたのか口をきっと結び、意を決したように話し始めた。
「わわ、わたしを、ど、どうするの」
　しばらく話さなかったためか、それとも動揺か、声が震えている。しかし聞く耳はあるようだ。
「わたし達の指示に従ってもらう。理由や目的は聞くなよ、それを話すとわたしも殺されることになってるからな」

　◆◆◆

　少女にやらせるのは、ストレッチを含むトレーニングと健康な食事。窓のない屋内に閉じ込めた上で外部と連絡を取らせない、という条件の下に可能な限り娯楽も与える。初めは怯えていたが、不自由のない生活に少女はだんだんと馴染んでいった。
　トレーニングに向く、という名目で筋肉が浮いて見えるほど肌に食い込むジャージを与えているため、最初はとても恥ずかしがっていた。だが、見ている人間がわたしだけであり、わたしが少女を女性として見ていないと悟ってからは抵抗がなくなった。一応、わたしを迎えに来る人間はいるが、彼らには日本語を話さないよう頼んであるためか、少女にとっては完全に部外者として認識されているらしい。
　半年が過ぎ、少女の体は機能美という言葉が似合う仕上がりになっていた。頃合いと思ったわたしは、休憩する少女に声をかける。
「ずいぶん健康的じゃないか。親を殺し、拉致した連中の手先が目の前に居るんだぞ」
　栄養ドリンクを飲みながら、少女はわたしの顔を見る。
「抵抗しても無駄なんでしょう？　おじさんがいつも拳銃持ってるの、知ってるんだよ」
「奪えばいいだろう、お前の速さなら出来るかもしれんぞ」
「出来たとして、どうやってここから出るのよ」
　少女は部屋を見渡した。体育館よりさらに広い空間に空調やトレーニング機器、寝具からレクリエーション用の遊び道具などが一式揃っている。だが出入り口はひとつしかなく、わたしにも自由に開閉できない。帰るときは、合図を送り迎えを待つことになっている。
「わたしが入ってくるときか、出ていくときを狙えばいいんじゃないか？」
「ここ外国なんでしょ、流石に気付くよ。それにおじさんが下っ端で、命令したのは違う人だって分かったし」
　そう思ってくれるならそれでもいい。
「そうか。突然だが、今日は新しいことをやってもらう。いつも通り、拒否すれば殺す」
「またぁ？　いつも突然なんだから」
　初めは怯えたのに、今は恐がりもしない。
「これに着替えて、ベッドにまたがれ。下着は着けるなよ」
　わたしが手渡したのは薄手のウェットスーツ。茶色一色のため、見た目は全身タイツのように見える。着方の想像が付かないようなので、わたしは少女に手取り足取り教える。着替えを始める前に見えない位置へ移動しようとしたが、少女に引き留められた。
「そいつは全身に張り付く、下着を着ければ上からでも分かる。見張る必要はないぞ」
「いい機会だから、わたしの全裸を見て行きなよ。どうせホモなんでしょ、高校生の生着替えを見れば女に興味が沸くかもよ？」
　少女を女として見ない理由は別にあるが、ホモ呼ばわりは少し頭にきたので着替えを眺めることにした。胸は、胸筋があるだけで大きいわけではない。代わりに、上体を支える腰と尻、足はとても太く力強い。本人は気にしていたが、腕も十分に発達している。
　何よりありがたいのは、陰毛に少なからぬ量の白髪が混じっていたことだ。根拠はないが、白は個性的で速いというイメージが定着している。そっちへ転んでくれれば、とんだ拾いものだ。
「ずいぶんジロジロ見るのね、やっぱり見たかったんじゃない。どうせ独身なんでしょ、慰めてあげよっか、一応処女だよ？」
「高校生なのに処女なのか。わたしが若い頃、女子高生はみんな男性経験があると聞いていたがな」
　少女は笑いながら手を振る。
「あんなん見栄に決まってるでしょ。やる子はやるけど、男と違って女は痛いから、やってもいい男相手じゃなきゃ気持ちよくないよ、たぶん」
「たぶん、か。処女らしい素直な感想だ」
「嘘ついても仕方ないじゃん。でもまあ、おじさんになら触るくらいは許してあげる。気の毒だから」
「わたしは下働きだぞ、預かり物に手を付けたなんて知られたら殺される。気持ちだけ受け取っておくよ」
「ふぅん。ま、それでもいいよ」
　少女には、この部屋には監視カメラは付いていないと言ってある。実際は見ても分からないようにしてあるだけで監視は付いているのだが、ここは閉鎖空間であると思い込ませたほうが楽でいい。幸い、完全ではないがある程度信じている様子が見える。
「あー、これ気持ちいいから好き。変な形だけど」
　少女は進んでまたがり、手すりを掴んで全身を押しつけうっとりとしている。
　ベッドとは呼んでいるが、少女がまたがっているのはベッドとは似ても似つかないものだ。把手を握っていなければずり落ちてしまう。
　馬の背を模したもの、半分に切った丸太、体操で使う跳馬の道具に似た何か、木とステンレスで作った巨大なカマボコ、偽牝台……制作者が決まった名前を付けなかったため、当たり障りのないベッドという呼び名が定着した。
「今日の点滴はベッドに寝たまま、だそうだ。大丈夫か？」
「あ～大丈夫大丈夫、これに寝っ転がってるだけならずっとでもやってられるから。寝たら落ちそうだけど」
「落ちたら困る、ベルトで縛っておくぞ」
「触りたいなら、胸くらいなら揉ませてあげてもいいよ？」
「本当に困るんだよ、この世界は間抜けに容赦がないからな」
　ベッドに備え付けられたベルトを少女の胴体と手足に巻き付け、そのまま少女の尻をアルコールで消毒した。急に尻が冷えたためか、少女は驚く。
「おしりで点滴って初めてだよね、そんな場所でいいの？　服越しだし」
「言われたとおりにやってるだけなんだ、聞かれても分からん」
　本当は理由を知っている。だが、説明しても少女が混乱するだけ、面倒だ。
　針を刺し、血管と繋がったことを確認しテープで固定する。本当は点滴でなく、都度注射するのが効率的なのだが……それをするとわたしが理解した上でやっていることが少女に分かってしまう。今後を考えると、それは困る。
「この薬は、体が熱くなったあとで色々と起こると説明された。何があっても騒ぐな、騒げば殺すと言われている。わたしも命は惜しい、恨むなよ？」
「そ、それは怖いね」
　少女の表情から余裕が消える。不測の事態は起きるもの、程度の認識は与えられたようだ。
「わっ、なに、本当に熱い……大丈夫なの、これ」
「死ぬことはあるのかと聞いてみたが、死ぬような薬ではないし死んだ例も聞いたことがないそうだ」
　これは正しくない。今日まで行ったトレーニングと、食事に混ぜていた薬品。事前準備を入念にして初めて死亡率を限りなくゼロに近づけられる、といったものであり、健康な状態であっても準備なしで使えば死亡率は五割を超える。
　補足すれば、本命は食事に混ぜていた薬品であり、今注射しているのは起爆剤のようなものだ。少女の体は、既に人間のそれではないと言える。
「は、な、あっ……！」
　取っ手を握る手に力がこもる、効果が現れたらしい。少女は体を震わせ、声を出さず、ベッドの向かいにある壁のほうを向いている。わたしは少女の正面へ回った。
「大丈夫か」
　わたしに気付き、少女は赤くなった顔を向ける。声が出せないらしく、ぱくぱくと口を動かしている。把手を強く握っており、何かに耐えているようだ。
「痛むのか」
　少女は首を横に振る。
「苦しいのか」
　少女は答えない、迷っているようだ。
「何か欲しいものはあるか」
　何かを訴えるように、少女は口を激しく動かす。耳を近づけると、辛うじて声を聞き取ることが出来た。
「側に居て」
　わたしは少女から見えるところに座り、様子を眺めることにした。途中でベッドの覆いを外していないことに気付き、少女からは見えない、ベッドの内部が見えるように蓋を開けた。
　中には、心地よい超音波を発生させる振動板と、香りを広げる香炉が取り付けてある。また、ベッドは中央部の天板のみ付け替えが可能になっている。予備として用意されているのは、容易に押し広げられるゲルのチューブ。液体を満たした金属の管でヒーターと繋がっており、温めることも出来る。電熱線を巻き付けてあるようにも見えるが、温める対象がデリケートであるため、床暖房のように薬品を混ぜた水から間接的に熱を伝えるように出来ている。
　わたしは少女の体を眺め、おおよその位置を決めて床材をゲル状のチューブと交換した。少女はウェットスーツ越しであるため、ベッドの素材の変化に気付かない。チューブは、清潔なガラス容器に繋げられている。
　一見目的の分からないこれが、大いに役に立つ。今までも役に立った。
　香炉からは、少女を引き寄せる香りが出ている。少女が上に乗れば、今度は興奮を促すフェロモンが出るようになっている。振動は少女に気付かれぬくらい弱く、優しく揺らし、時に刺激した。わたしが不在の時、少女がこの上で何度も性処理を行った記録が残っている。
　今回は、今までの心地よい思い出そのものが少女の安心を支える。香炉は精神を安定させる香りを発している。振動は体の変化を助けるよう、鼓動に合わせて優しく動いている。ゲル状のチューブは生殖器を優しく、少女にそれが生えたと思わせないほど自然に包んでくれる。ガラス容器は、貴重な子種を殺さず貯めておくためのものだ。
　ベッドの細工を終え、わたしは少女の背中をさすってタオルで少女の顔を拭き、正面へ戻る。彼女には、タオルを取りに行っていたものと思わせたい。
「少しは楽だろう」
　顔を振るわせたまま、少女はわずかに微笑む。気の緩みが誘発したのか、少女の体の中で何かが破裂するような音がし、体が一回り大きくなった。ウェットスーツは伸ばされ薄くなり、肌が透けて見える。手足や胴体を固定するベルトは、この変化を想定して作られている。引っ張っても外れることはないが、膨張する無理のない程度まで伸びる。
　種は単純で、ベルトに内臓した血圧計が長さを調整する。血を止めるような短さなら数値は異様に高くなるため、こちらで決めた上限値以下になるまで緩め続ける、というからくりだ。単純とは言っても、故障の心配がないほど頑丈ではない。いざというとき手動で緩められるよう、見ている人間は必要だ。

「は、あ……ぁ……」
　少女がわたしのほうを見なくなった、ベッドの下を見ると生えたばかりの真っ赤な男根がチューブを押し広げていた。あれが心地よいと言う娘も居れば、苦しいという娘も居る。少女はどちらなのだろうと顔を覗いてみたが、表情からは分からなかった。彼女の顔は既に毛が生えており、骨格もあるべき形へ戻ろうとしている。
　体の変化については、とても進歩した。発見された当時、他の生物への変化や合成は大きな苦痛、ないし命の危険を伴う技術だった。倫理を抜きにしても禁忌とされたほどだ。それが今は、人の姿を保ったまま必要な代謝をほぼ終え、仕上げを行うだけで良くなった。
　仕上がった連中の言葉を借りれば「開放的」な気分になるという。ハイになる、とでも言えば分かりやすいだろう。
　つまり、少女は気持ちが良くて周りが見えなくなっていることになる。程度次第では、仕事をする必要がある。
「おい、聞こえるか」
　ペンライトを付け、少女の目をてらした。少女の目は光に反応したが、追いかけない。念のため頬を二度ほど叩いてみるが、反応はなかった。小さな声でうめきながら、小刻みに呼吸するだけだ。
　次に、わたしは馬のペニスを模した張形を少女の女性器に突き立てた。男根が生えたということは、着せたスーツは少女の皮膚と融合したはずだ。
　人間より大型の動物に変わるとき、生え替わる皮膚を重くなった内臓が突き破り出てきてしまうことがある。それを防ぐために皮膚と一体化でき、かつ後々剥がれ落ちる細胞由来のスーツが用いられる。裂け目があるとそこから内臓がこぼれてしまうのだが、男根はスーツを突き破ってしまう。このため生殖器部分は特に癒着しやすく、かつ簡単には破れぬよう厚い生地があてがわれている。突き破れる頃には、全身の癒着が終わっているという寸法だ。
「ヒィィィン！」
　ただし、女性器に分厚い膜ができてしまう。仕上げが完全に終わる前か、麻酔が効いているうちに破ってしまえば後が楽で良い。特に、少女のようにトリップしているときは暴れられる心配もなく理想的だ。
　張形を出し入れし、抵抗がなくなってきたところで少し奥へ突き入れ反応を見る。
「ヒィィ……ぁ、は……ヒヒィン！」
　口を開けているが、振り向く素振りを見せない。感じてはいるようだ。わたしはベッドに固定した少女に何度も張形を押し入れ、快楽を促した。全身を震わせベッドを揺らすが、簡単に壊れるようにはできていない。為す術無く偽の男根を突き入れられ、少女は射精した。タンクに精液が貯まっていくのがわかる。
　しかし、順調なのはここまで。少女だったものはぐったりし反応しなくなった。作ったばかりの精液を吐き出して力尽きたのか、変化が終わったためか、気を失っている。
「まあいい、初絞りが取れただけでも十分だ。お疲れ様、種付けは明日にしよう」

　◆◆◆

「やぁぁ、あ、いやあああ！」
　翌日、わたしは控え室で馬の種付けが終わるのを待った。少女は小柄な馬、一般に言うポニーになってからわたしと直接話をしていない。いきなり縛られ、大の字にされ、自身の精液で種付けをされている。
「痛いぃ、手ぇ曲げさせてぇ！」
　人間と違い、馬は仰向けで大の字に寝られるように出来ていない。だが、それを承知で獣医たちは喋れるポニーを大の字に固定している。
　人間なら痛いはずがないだろう、ポニーだと認めれば外してやる。だとか、女性器と男性器を管で繋ぎ、お前はメスですらない、ふたなりだ。一人で孕んでもらう、嫌なら大きい馬にまたがらせる。といった、お決まりの嫌がらせを飽きもせず行い、それを撮影して酔狂な金持ちに見せている。
　その様子を皮肉ったら「お前も同類だろう」と言われたが、わたしのような貧乏牧場主は足の速い馬さえ手に入ればそれでいい。あの少女にはサラブレッドとして自身の息子や娘と何度も交わってもらうことになるが、産まれてくる子供に人間の痕跡はない。
　少女だったポニーが喋れる、という弊害はあるがそれを隠すのがわたしの仕事だし、見つかったところで世間は信じないだろう。
「ヒヒィィィィン！」
　悲鳴のような鳴き声だ、悪趣味な儀式もそろそろ終わるだろうと待っていると獣医の一人が出てきた。
「眠らせておいた、持って帰ってくれ。三日後にまた種付けをする」

　◆◆◆

　最初の三ヶ月、わたしはポニーを慰めながら過ごした。
「辛かろう、いっそ死んでしまいたいとも思うだろう。出来ることがあれば何でも言え」

　妊娠し出産するまで、わたしはポニーの性交渉の相手をすることになった
「人間の相手を欲しがるあたり、やはりお前は人間なんだよ」

　出産後、少女だったポニーは馬にまたがられた。
「大丈夫、お前のことはわたしが覚えている」

　半年後、ポニーは自分から他の馬にまたがっていた。
「お前のせいじゃない、本能がそうさせるんだ」

　一年後、ポニーは息子の子を孕み娘を妊娠させた。
　その後、わたしはポニーと会っていない。