灯籠
火が灯らぬのは何故にか
己に問うても声すら還らぬ
たしかにほんの数刻前には
消さぬようにと囲いて必死に
護っていたものを
暗い鳥居のその先へ
知らぬ内に歩を進め
知らぬ内に火は消えて
何も見えぬと難儀するばかりで
故に戻る道も分からず
故に怖れに巻かれ進みもできず
滑稽な絡繰人形の様だと嗤う声すら
遠く遠くの嬌声で
灯一つ喪のうただけで
こんなにも歩めぬものだと
知る由もなく
唯々息をしていたに過ぎぬと
迷い子になりてはじめて
灯りの姿を求めるのみとなり
誰そための己かと
万物を塞ぎて
闇に浸かる
灯籠なんぞ
要らぬと
嘯き乍ら
灯籠