灯籠

火が灯らぬのは何故にか
己に問うても声すら還らぬ

たしかにほんの数刻前には
消さぬようにと囲いて必死に
護っていたものを

暗い鳥居のその先へ
知らぬ内に歩を進め
知らぬ内に火は消えて
何も見えぬと難儀するばかりで

故に戻る道も分からず
故に怖れに巻かれ進みもできず

滑稽な絡繰人形の様だと嗤う声すら
遠く遠くの嬌声で
灯一つ喪のうただけで
こんなにも歩めぬものだと

知る由もなく
唯々息をしていたに過ぎぬと

迷い子になりてはじめて
灯りの姿を求めるのみとなり

誰そための己かと
万物を塞ぎて
闇に浸かる
灯籠なんぞ
要らぬと
嘯き乍ら

灯籠

灯籠

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-15

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