Euphoria

カーテンの隙間から差し込む朝日に起こされて目を覚ます。窓の外を見てみると、雲一つ無い、み空色の空が広がっていた。携帯電話を開くと、あの人から何かメッセージが来ているようだ。『今日何か予定とかある?暇だから、会いたいなーとか思ってるんだけど。』なんて言われたものだから、朝から舞い上がってしまう。今日は天気がいいから、あの人の仕事が休みだから、私の気が向いたから会いに行こう。
ベッドを降りて、寝巻きから着替える。今日は暖かい日になりそうだから、少し薄着でも大丈夫そうねなんて考えながら、服を選ぶ。大切な人に会いに行くから、いつもより少し綺麗な服にしよう。あの人はどんな服装が好みかしら。大人っぽい雰囲気がお好きらしいから、シンプルなものにしよう。
洗面所に向かう。髪型は服に合わせて、上品な感じにしようかしら。それとも、可愛らしい感じにしても悪くないかもしれない。少しボサボサの髪を櫛で梳かす。いつもは酷いくせっ毛が、今日は少し落ち着いていることに気付く。髪をコテで軽く巻いて、下ろしたままにしましょう。
あの人はけばけばしい女性は苦手だから、メイクは控えめにする。私より背が高いから、少しでも背伸びしたくて高めのヒールを履く。戸締りを確認すると、四畳半に向かって呟いた。
「行ってきます。」
どうすれば、素敵だって思ってもらえるかしら。何をすれば、喜んでもらえるかしら。そんな事を考えながら支度をする時間が、とても楽しくて好きだったりするのです。

Euphoria

Euphoria

ちょっとした幸せな片想いのお話。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-31

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