ブリキの玩具

ブリキの玩具の動かない。
修理の小父さんのところへ持っていく。
「ブリキの玩具はね、
外は丈夫そうでも、中は脆いんだよ。
すぐに壊れてしまう。」
そう言ってぱかっと開ける。
確かにその大きな外見(そとみ)を動かすには
とても不安な小さい部品たち。
小父さんが太い指の付いた両の手で細々した内部を驚くほど器用に直して行く。
私はその光景をみながらなんだかブリキに同情した。
あんたも可哀相ね。
外が壊れりゃ直す間もなく捨てられるのに
中が壊れるからこうやって弄られて直されて。
直されたらまた、身の丈に合わない鎧を着させられる。
また重さに耐えて動かなきゃならない。

歯車の叫びはいつだって外の人には届かない。
みんなが異変に気付くのはいつも歯車が壊れて動かなくなってからだもの。

そうやって考えながら私は小父さんがくれたキャンディを噛みながら帰った。ブリキを片手に。

ブリキの玩具

ブリキの玩具

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-14

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