暗褐色の部屋
怒りと引き換えに痛みを腕に受けます
それを舐めればきっと癖になります
時間を置くとまた味も変わります
温度が高い部屋だから気分が高揚します
暗闇で患部が見えないと更に興奮します
灯りを点けたらガーゼを用意します
やはり味は一味違いました
きっかけは昼の出来事です
標的は特に居ないそうです
流すことで手首を伝います
それが好きで口に含みます
決して美味しくはないです
人生はそういうものなので
思い出したくもないのです
二度と見たくもないのです
時間は勝手に過ぎるのです
意識する暇などないのです
傷は時折嗚呼と疼くのです
暗褐色の部屋にいるのです
何故か終わると泣くのです
片手には凶器があるのです
片手には特に何も無いです
暗褐色の部屋