暗褐色の部屋

怒りと引き換えに痛みを腕に受けます
それを舐めればきっと癖になります
時間を置くとまた味も変わります
温度が高い部屋だから気分が高揚します
暗闇で患部が見えないと更に興奮します
灯りを点けたらガーゼを用意します

やはり味は一味違いました
きっかけは昼の出来事です
標的は特に居ないそうです

流すことで手首を伝います
それが好きで口に含みます
決して美味しくはないです

人生はそういうものなので
思い出したくもないのです
二度と見たくもないのです

時間は勝手に過ぎるのです
意識する暇などないのです
傷は時折嗚呼と疼くのです

暗褐色の部屋にいるのです
何故か終わると泣くのです
片手には凶器があるのです
片手には特に何も無いです

暗褐色の部屋

暗褐色の部屋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-29

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