REPLAY 第2章

REPLAYの第2章です。
どんどんと、読者置き去りで
作者の世界に入ってしまうかもしれませんが
ご了承下さい;

第2章 霊能力者

学校が終わり、またユキとのアノ会話になった。
僕らは、ファーストフード店に行き食べながら話した。

「詳しく話してくれよ!アノ夢の事。もしかしたら犯人が分かるかもしれないんだぜ?」

犯人を捕まえようとする姿勢はまさに、警視総監の息子と言ったところだろうか。
またアレを思い出すのはあまり良い気分ではないが、やはりもし本当だったら
これ以上犠牲者が増えるのは良くない。
僕は、今日見た二つの夢を詳しくユキに話した。

「え?ちょっと待った!女子高生の殺害事件は起こってないぜ?」

『でも・・・今日見たよ?僕。』

ひとつだけ事実と違う夢。
やっぱりただの夢なのだろうか。

「なぁ!今日俺の家に来いよ!親父に紹介したいんだ!!!」

なんだか、変な会話だな、と少し笑いそうになってしまった。

しかし、ユキは真面目そうだったので口には出さなかった。
母には『遅くなる。』とだけメールをして
二人で暗い道を歩いた。

*********************

閑静な住宅街に建っているその中でも大きな家。
それが彼の自宅。
僕がポカーンと口を開けているとユキに早く入れと
玄関だけでも十分広い家に入らせられた。

『ここがユキの家・・・。』

さすが警視総監の家だけあってセキュリティー万全だ。
大きな家の中にはそれぞれの部屋に(ユキの部屋を除き)監視カメラが
設置してある。
作動しているかは分からないダミーかもしれない。
どんだけ金持ちだよ・・・。
そして連れられてきた部屋の前。
デカイ扉が構えている。
この部屋が父親の書斎らしい。
コンコンとユキがノックする。

「親父~?今いい?会ってほしいヤツがいるんだけど。」

親子でもお堅い感じなのかと思ったが意外と
どこにでもいる親子のようだ。
ユキの軽い口調からそんな事を思った。
警視総監・・・・日本の警察のトップ。
僕はとても恐いおじさんをイメージしていた。

「いいぞ。入りなさい。」

扉の向こうから低い重みのある声が聞こえた。
前言撤回。
やっぱりお堅い方のようだ・・・。

「失礼しまーす。」

ユキはそう言って重い扉を開いた。
僕も『失礼します!』と言ってユキに続いて入った。
入ると、上品な風格漂う綺麗な書斎が広がっていた。
その書斎は広くて本がずらりと並んでいる。
警視総監ともなれば知識や教養も重要なのだろう。

「俺の友達の鳴川 来未。」

『はじめまして・・!鳴川 来未と申します!!母と昔面識があるそうで・・!』

緊張しまくって、僕が今正しい敬語を話せているのかも定かではない。
ユキの父親は、ユキにまったく似ていなくて正反対の顔だ。
まさに顔面凶器・・・・。

「君か!!やっぱりあのときの・・!」

ユキの父親はにっこりと微笑み、黒くフカフカそうな椅子から
立ち上がった。
そして嬉しそうな顔を浮かべ僕の手を取り握手をした。
大きな手にはナイフで切られたような大きな傷があった。

「会いたかったよ来未君。君のお母様にはすごくお世話になってね・・。」

彼は、昔母に会って一緒に仕事をしたこと、霊能力で事件を解決
してゆく母の姿などを僕に話してくれた。
彼は霊能力者など信じていなかったらしいのだが
彼女だけは母だけは、本物の霊能力者だと確信したらしい。

「それでさ、親父!クルミが殺人事件の夢を見たんだよ。」

その軽いユキの言葉を聞いて彼は表情を変え立ち上がった。

「それは本当かね!?来未君!!」

迫力のある声に少したじろいでしまうくらいだった。

『はぃ・・・。』

そして僕は今日見た夢を話した。
ユキもユキの父も僕の話を真剣に聞いてくれた。
そんな風に真面目に何の根拠もない僕の夢の話を聞いている
この親子に少し疑問に思ってしまうところもあった。

「それで・・犯人の名前とかは聞かなかった??」

と、ユキは興味深々に僕に尋ねた。

『・・・ええっと・・・・さ・・・さ・・さえ・・・き・・。』

『そうだ!!佐伯って言ってた!!!』

「下の名前は分かるか!?」

『・・・・ごめん・・・そこまでは・・・』

顔と苗字が夢で分かっただけで犯人は捕まるのだろうか・・。
それに、僕はまだこんな夢が現実だとは思えない。
予知や勘など、ありえない。

「・・・そうか。ありがとう来未君。」

「親父・・!刑事に捜してもらおうぜ!!」

ユキは警視総監の父親に頼んだ。
どうしてユキはそんなに必死なのだろうか。
たしかに、これ以上殺人が起こるのは良くないし
防ぐべきであると僕も思う。
僕の能力を証明したいのだろうか。
・・・証明もなにもこんなものはくだらない夢なのだろう。
しかし、大事になってしまった。
国家の警視総監にこんな根拠の無い夢の話などしても良かったのだろうか。

『ユキ・・信じてくれるのは嬉しいけど・・・きっとただの夢だよ・・・。』

「そんな・・・!きっと何かあるって!!!」

『いや・・・でも・・・。』

「・・・分かった・・。それならある刑事を紹介しよう。ヤツなら協力してくれるはずだ」

そう言って、彼は受話器をとり誰かに電話を掛けたようだった。
これで、僕の夢が本当にただの夢だったらどうしよう。
学校も行けなくなるのかな。
詐欺罪とかにならないのかな。
いやいや・・詐欺ではないけど・・・警察に捕まったらどうしよう・・・。
捜査妨害罪とか・・・・・。

****************


ピーンポーンと、チャイムの音がした。
暫くするとドアの向こうから女性の声が聞こえた。

「旦那様~!清川様がお見えです。お通ししますか?」

丁寧な口調や旦那様という二人称からしてメイドかなにかだろうか。
こんなに大きな屋敷だからメイドでも雇わないと
管理しきれないのだろう。

「分かった。通せ。」

そう言って通されてきたのは
漆黒の髪をした細身の若い男性。
歳は25くらいだろうか・・・。

「なんですか?こんな忙しい時に紹介したい人って?」

清川という男はだるそうに言った。

「君の捜査の役に立つと思ってな」

そう言って僕を紹介した。
彼の捜査・・・?
この事件は彼だけの事件ではないはずだ
この事件は警察全体で捜査しているんじゃなかったのか・・?

「一体どういうつもりですか、こんな餓鬼・・・目撃者か
何かなんですか?」

清川は不機嫌そうな表情を浮かべ言った。

「目撃者といえば目撃者だな・・・」

目撃者だなんて、無責任な・・・。
僕はあくまで夢を見ただけだ。

「・・・どういう意味ですか、」

「彼は特殊捜査員だ、と、私が今決めた。彼は事件の目撃者だ。」

『そ、そんな!無責任な!!!』

僕はつい、シャウトしてしまった。
もう後戻りはできない状況になってしまった。
こんなことになるなら、ユキに話なんてするべきじゃなかった・・。

「とにかく、あの話を清川にするんだ、来未君。」

僕は彼の怖さにも押され、仕方なく、夢の話をした。
犯人は佐伯という男であることも。

「それは、どこからの情報なんだ、そんな話初めて聞いたぞ。」

『・・・・そ・・・それは・・・。』

「まさか、ヴィジョンで見たとでも言うのか!?
それを俺に信じろって言うのか!?」

ヴィジョンとは、霊能力者なんかが見る夢の事だろう。
そういえば母もヴィジョンですべて見た、とか言っていた・・・。
でも、どうしてこの人は僕が話したことが夢だと
分かったのだろう、まぁ確かに頭のおかしい話ではあるし
夢だなんてすぐに分かる話か・・・。

『・・・・・』

僕は何も答えられなかった。
言い返すこともできない、僕だって更々こんな奇妙な夢を
信じようなんて思っていない。

「結城さん、こんな餓鬼の話を信じろって言うんですか!?」

「そうだ。もしかしたら君の妹さんを殺した犯人の手がかりに
なるかもしれないんだぞ。」

清川は眉をひそめた。

『もしかして・・・妹さんもあの事件の被害者なんですか・・・?』

僕がそれを言うと清川は僕をキッと睨み付け
舌打ちをした。
まずい質問をしてしまった、デリカシーの欠片もない
僕はなんて質問を・・・。

「そうだ、第一被害者だった。あの日妹は元気に大学へ
行った、俺は捜査に明け暮れ妹の顔も見れなかった。
妹は、椅子に縛り付けられ医療用ナイフで無惨に
切り刻まれた・・・」

『新川・・・美夏・・・・・』

「どうして妹の名前を!?」

思い出した・・あの時僕は僕自身(彼女)の首から下げている
ネームプレートを見た。
苗字が違うから気がつかなかった・・・。

『見たんです・・・僕が・・・いや、彼女が殺される夢を
見たんです。』

「・・いや、たまたまだろ、ニュースかなにかで見たんだろ
俺を馬鹿にしているのか!?俺はもう帰ります、こんな
デマカセ聞いてられない!」

「ちょっと!なんなんだよお前!!来未は協力しようと
してんのに!」

「・・・協力なんて頼んだ覚えはない、」

そう言って怒った清川は出て行った。
僕はこれからどうすればいいのだろうか。

『・・・・すいません・・。』

「なにも、お前が謝る事ねぇよ。」

ユキは僕の顔を心配そうに覗き込む。
僕だって好きで話をしたわけじゃないのに・・・。
なんて、言い訳か。
彼を傷つけたのは僕自身なんだから。

「来未君、君には嫌な想いをさせてしまったね、すまん・・。」

『い、いえ!そんな・・!!』

「君に折り入ってお願いがある、この写真を見てもらえないか?」

そう言って彼が青い分厚いファイルから取り出したのは
殺人現場の写真だった。

『うっ・・・!!』

つい、吐きそうになってしまった。
ユキは顔色ひとつ変えずにその写真を見ている。
慣れているのだろうか・・・?
いきなりそんなものを出すなんて、心の準備くらい
させてくれたっていいのに。

「すまないね、これを見てなにか感じ取れないか?」

『・・・やってみます・・・。』

そう言って僕はその写真に集中した。
こんな馬鹿馬鹿しい事はあるのだろうか?
集中したって、なにも見えやしない。
しかし、この状況でそんな事も言ってはいられない。
僕は、僕の考えを吹き飛ばし写真にだけ集中した。

REPLAY 第2章

少し手直しした作品です(笑)
くるみくんの口調が難しいです。
くるみくんは、自分の中で沢山喋るので
会話口調と心の中での口調がまだ不安定になってます;

REPLAY 第2章

REPLAYの第2章です! ある日幽霊が見えるようになって 助けを求めてきたならアナタはどうしますか? 無視しますか? それとも、救いますか?? オカルト系サスペンスです。 第二章ではホラーテイストなことは出てきません。

  • 小説
  • 短編
  • サスペンス
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-14

Copyrighted
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