余計なビブラート

おっけい準備は万端です
今日の君との初めてのデート
とびっきりの歌声をかましてあげるわ
ほんとは他にも人はいるけど
まあそれはこの際おいといて
今日のために何回も
事前に歌って練習して
声がかっすかすになったけど
今日には間に合わせたのよちゃんと
脳みそとけちゃいそうな
甘い甘いラブソング
心がきゅって苦しくなるよな
ハンカチ必須の切ないバラード
なんならラップだっていけちゃうのよ
とびっきりの歌声をかましてあげるわYO
なのにどうしてなのかな
あんなにいっぱい練習したのに
君が見てると思うだけで
頭真っ白震えるマイク
嘘でしょあんなに練習したのに
こんなんじゃ
とびっきりの歌声なんて
全然かませないじゃない!
練習通りにいかなかったわ
ウーロン茶でむせかえっちゃって
舌かんじゃって声も震えて
ほんとに散々だったのよ
だけど
綺麗なビブラートだねって
あなたが言ってくれたから
練習通りにいかなかったけど
これはこれで
まあいっか
次こそはちゃんと歌いきってみせるから
また一緒にここにこようね

余計なビブラート

余計なビブラート

カラオケで緊張しちゃった女の子の話。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-26

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