受け入れる

少年をみた

赤ん坊をあやす母親
男の子を抱える父親
ヒトの手で造り出された
沈黙を守り続ける整列の中で

彼は
ひたすらに
頷き続けていた



また、少年をみた

友だちの手を引く子ども達
無差別に反応するセンサー
気配の混じり合う
ざわめきの中で

彼は
頷きながら
微笑んでいた!



ベビーカーの母親は
指先で瞬間を切り出す

ひとり歩く少年は
瞳に太古を焼き付ける

ただそれだけ

それでも
世界は動いていた

受け入れる

科学館で見かけた素敵な少年へ

受け入れる

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-23

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