微動

微動





   







   


雨音は

かつての雨音と

いつも同じだった




ここにいることが

すっかり変わってしまったことすら

忘れて失いそうな今に 変わった

でもたとえ

どんな顔が幾度もこの空を覆っても

それはあの日々の顔ではなく

あの日々 詩の雨音は

ひとが戻ってこない匂いがした




伝えたい

僕は思い出すのではない

もう一度降り立つために書く




どれもこれも

あの日々じゃないかもしれれない

綺麗に書き換えたあのひと

あの微動からどんどん遠ざかる




本当に伝えたいのは

詩ではなくて

あの微動を書けない僕が

いまもあの微動を呼吸していると。





   







   

微動

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微動

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-20

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