夏に乗せて

例えば僕は 
100万回生きたねこみたいに
何度も輪廻転生をして自分に見合った生き方を知ることは出来ない
そう僕は偶然地球の上に生まれた人間の一人だから 

鮮やかな青色の空の下で爽やかな風が吹いたら
産まれた瞬間に任された使命を忘れられるから
いつまでも凛とした僕として生きていられるから
今全てを無しにして微笑む君の横で愛を呟く

そう開き直って生きている世界は実に楽で
いつでも命を落とせるぐらいに平和で
だけど急に襲ってくる焦燥感が死を恐れるから
今ここに生きていることを夏に乗せて詩を口ずさむ

例えば僕は
7日間で死んでしまう蝉みたいに
たった一度きりの人生としてやって来る明日を生きることは出来ない
そう僕は闇を知らなければ光を求められないから

刹那主義のまま大人になることが間違いだとしたら
きっとそうさせてしまった面白味の無い社会が悪いから
なんてつまらないことを言う僕にはなりたくないから
今恥を捨てて遠くを見つめる君に向かって夢を語る

そう罪を背負って生きていく世界は実に苦で
いつか挙句の果てに起こるのは戦争で
だけど誰でも消えていく自分の最期に死を恐れるから
今ここに生きている意味を夏に乗せてふと笑い飛ばす

夏に乗せて

夏に乗せて

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-17

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