蕾の下で

蕾の下で

日中は朝に比べ、
ニット帽もネックウォーマーも
要らなくなってきた頃
1ヶ月前の気持ちの返礼をと
普段は買い慣れて居ない物を巡り
甘いお店に求め集う男たちの姿を見る

今日はその返礼と意思表示の日。

ひと月と言うのは早いもので、
気温と老化で悩んで居た寒気の頃を
懐かしく思うほど、
日々の様子が目紛しい中の
毎日の当たり前の環境と違う課題を
こなして居る

その最中今年の初め頃、
蕾が笑った二つの花が居る。

頭上には未だ笑って居ない
桜の蕾が色付き始めて居る頃に
賑やかで年輪以上の
若々しくも華やかで喜怒哀楽も落ち着かない花が蕾を見上げながら
笑って居る

季節外れの笑った蕾は
これから笑おうとして居る蕾の下で
夕陽が山の向こうへ消えた時、
今笑って居る幸せの歓喜と
決して枯れる事のないように願いを込め、のら猫に見守られながら
何度も誓いのキスをした。

蕾の下で

蕾の下で

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-16

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted