転生

開戦

 

 目を開けると、何もない真っ白な空間にいた。見渡す限り、何も見当たらない。そこで、しかたなく彷徨(さまよ)っていると、突然目の前に窓が現れた。

 他に行く当てもないので、入ってみることにした。窓に手をかけると、突然まばゆい光に包まれた。




 いつの間にか眠っていたらしい。再び目を開けると、目の前に巨人がいた。


 何が楽しいのかわからないが、俺を持ち上げて遊んでいるようだ。

 口元はいやらしく歪み、目尻はだらしなく垂れ下がっている。嘲笑(わら)っているのだ。俺をいたぶって何が楽しいのだろうか。



 ――悪趣味な連中だ。



 それが、生まれて初めて抱いた感想だった。

 俺はこれからどうなってしまうのだろう。地面に叩きつけられて、殺されるのだろうか。

 それとも、切り刻まれて刺身で食われるのだろうか?いや、煮られるかも。いやそれとも焼いて――。



 不安で胸が張り裂けそうになり、声をあげて泣いた。


 





 ――杞憂(きゆう)だった。数か月間、注意深く観察したところ、どうやら巨人たちに敵意はないらしい。それどころか、愛情さえも感じられた。

 「うっぷ」

 気が抜けると、口から空気が漏れてしまった。私としたことがはしたない。恥を知った。



 

転生

転生

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-16

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