読み間違い

ただ歩いていた
すると急にお腹の中で何かが暴れだしたのを感じて立ち止まった
自然と体が前のめりになり、気づけば口から黒いプラスチックを吐き出していた
それはいろんな形をしていて曲がっていたり、まっすぐだったり短かったり長かったり。そしてよくもまあそんなものがお腹に入っていたと感心するぐらいどんどん口から溢れ出る。
足元に転がったものは言葉の形をしていた
あの子の秘密は…
私の名前は…
本当に悪いのは…
ずっと体に残しておこうと思ったものが外へ飛び出ているのだと気づき慌てて吐き捨てた言葉を読めないぐらいに足でぐちゃぐちゃにする。
誰かにみられていないか口元を押さえながらあたりを確認したら風船を持った子供が無表情でこちらを見つめていた。
みるみるうちに笑顔になってそのままどこかへ駆けて行く。あんなに大切そうに持っていた風船が手の中から離れたのにも気付かずに笑い声だけ残して消えて行った。

読み間違い

読み間違い

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-12

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