過去は散りながら

愛は散りながら
静かな夜を喚かせた
君は振り向きざまに
捨て台詞を吐いた

振り返るな

あたりまえに来週の
予定を立てていたけど
毎日生きられる保証は無い
久しぶりに実家に帰って
部屋を掃除しようかと
伝えると母さんは喜んだ
メモ帳に増えた
滅多に見ない文字は何故か
明日やこれからの
為になるような気がしていた

始まるとは一つの
人生が終わったこと
僕は押入れの中の
塵の様な記憶の欠片を
拾っては思い出して
ゴミ箱へ捨てていた
小さい頃描いた
埃に塗れた空の絵は曇り
今日はどこからか
冷たい風が吹いていた

生きるとはあの頃の
人生が続いてること
僕は押入れの中が
徐々に綺麗になる様子を
眺めては涙を流して
子供の自分へ手を振っていた
小さい頃描いた
夢を叶えた僕の姿は無い
だけど気のせいか
いつかこんな夢を見たような

過去は散りながら
新しい未来は咲き誇る
神は微笑みながら
耳元でこう呟いた

塵は塵に

過去は散りながら

過去は散りながら

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-10

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