教育論
お腹の下で歴史がうごめく
押し上げるように
「地質学的見解では」
博識なあの人が早口に喋る
努力、義務、
口に出したら何かが生まれた
「安易な言葉を借りるのは、損ですよ、借りるなら、高等な、高騰した、言葉を、選んで、結ぶべきですよ」
博識なあの人が早口に喋る
空虚、白日、
口にする度に何かが押し上がる
「歴史は地面やお腹の下を流れるなど、現代教育の弱体化ですよ、本日は水蒸気文明の画期的教育論にて、解説しましょう」
ああ、あゝ、
もう誰も聞いていない
博識なあの人が止まらなくなり
呼吸がおかしくなっていった
空気が足りなそうで
かわいそう
ああ、あゝ、かわいそう、だ、
抱き締めてあげようにも、お腹の下の、歴史を、離れては、多分、もう、終わることが、わかるから、弱体化した教育論が、画期的で、経済学的に、間違いかどうかとか、そういうことは、博識なあの人を、抱き締めてあげるに至らなくて、アルコールで充満した、酷い夢の一室で、今夜ようやく死人が出た、
教育論