崩壊前夜

黄金色の歯車が

ぎぎぎ
ぎぎぎ

不吉な音を立てている

黒い猫と白い猫の眼には、

歯車の間の文明の粒子が映る

ぎぎぎ
ぎぎぎ

文化の気泡が見えなくなって

灰色の猫がいなくなって

何周したのかわからない

黒くなった空に垂らされた

みるくだけでは

お腹は、膨れない

満たされなかった一周と

ほんの少しだけ重なる時

下の方から歓声が上がる

黒い猫がいなくなる

大きな目玉に引き寄せられてしまった

白い猫は沈黙する

ぎぎぎ
ぎぎぎ

不吉な音を聞きながら

かつての饗宴の残り湯を浴びて

誰にも知られないみるくを飲む

ぎぎぎ
ぎぎぎ

メッキは下へ落ちていく

じゃれついたまま

一緒にメッキと落ちていく

ぎぎぎ
ぎぎぎ

不吉な音は誰にも聴こえない

文明の粒子を見るものも誰もいない

崩壊前夜

崩壊前夜

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-09

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