灯
赤褐色のせきばく、に、
せめてランタンの灯を、
蒼ざめた、君の顔は、
過去も未来もない、
聖人のようだった
曖昧になることは、救いだったね
円くなった暦の上で、
ぜつぼうを呟こう、
それが生活だったね、
苦しいことがとめどない、
せ、い、か、つ、
愛は落ちてないし、
これからも、落ちてこないから
君はひとりで暮らすことを、
あたりまえと呼んでいい、
この時代に戻って来たことは、
誰のためでもなかったけれど、
誰かのために、灯された、夕焼色に、
じりじりと、焼かれてみたり、
蒼白の人を抱きしめてみたり、
荒涼な未来を水晶玉から覗いたり
いろんなことをしていよう、
生活の中で出会う人たちに
ヒリヒリしながら、
今朝の夢のこと、思い出して、
沈默のまま、
老いていけば、いい
灯