TERROR・テロ
TERROR テロ
2018年2月21日 アステールプラザ
作=フェルdィナント・フオン・シーラッハ
演出=森新太郎
CAST
弁護人・・・・・・・・・・・・橋爪 功
裁判長・・・・・・・・・・・・今井朋彦
コッホ少佐・・・・・・・・・・松下洸平
フランツィスカ・マイザー・・・前田亜季
ラウターバッハ中佐・・・・・・堀部圭亮
廷吏・・・・・・・・・・・・・原田大輔
検察官・・・・・・・・・・・・神野三鈴
舞台観劇は久しぶり!という気がする。
「BENT」以来かな?
この舞台はお友達が観て良かったというお話を聞いて急遽チケットを取った舞台。
予め内容とか最後に観客が審判を下すというのも知っていたが、
予備知識って当てにならないなぁ~と感じた舞台だった(笑)
ストーリーはとても分かりやすい。
ベルリン発ミュンヘン行きの旅客機(乗客は164人)がテロリストにハイジャックされた。
彼が要求したのは、7万人収容のサッカースタジアムへ突っ込むこと、スタジアムの客席は満席だった。
だが一人の軍人パイロットがこのハイジャックされた旅客機を撃ち落とした。
7万人の命を守るために164人の命を犠牲にして・・・。
このパイロットは罪に問われるか否か・・・?
こう書いてくれば単純に、そりゃ無罪でしょ!と最初は思った訳です(^^)/
そして舞台は始まった!
舞台の上は真っ暗・・・、そして上手の客席の辺りから今井さんの声が聞こえる!
わぁ~今井さん、久しぶりだわ~!
相変わらず声がステキ・・・、今井さんの声ってとても穏やかで
決して声を張り上げてはいないし大声で言っている訳でもないのに、劇場の隅まではっきりと台詞が行き渡る。
何時も素敵だなと思う。
そしてこの裁判がどういうものなのか、9・11を引き合いに出しながら説明していく。
その間真っ暗な舞台の上では椅子が一脚ずつ、サイドテーブルが一つずつ運び出され半円を描いて置かれた。
そして、裁判の開廷が宣言されると舞台セットは何にもない舞台上の椅子にそれぞれの役割の人たちが座り
舞台が始まった。
舞台上手から旅客機に乗っていた夫を亡くしたフランツィスカ・マイザー証人、検察官、真ん中に裁判長、
弁護人、一番下手に被告・コッホ少佐という順番だ。
当然検察官は有罪を主張し弁護人は無罪という。
そして証人ラウターバッハ中佐が呼ばれる。
この証言の中で重要なのは空軍機には撃墜命令は出されていなかった事、
そして私が一番不審に思ったのはハイジャック発生から撃墜まで
50分もの時間があったのに観客に待避命令が出されなかった事だ。
検察官は20分もあれば全員が待避できたというのに・・・。
チョッと記憶があやふやなのだけどそれに対して中佐は軍にその権限がないといったような・・・。
この緊急事態にそんなことを言うか・・・・?そう思った。
次に検察官が色んな事例を出して今回のことを検証していくが一番記憶に残ったのが、被告に対して
あなたの家族、息子さんや奥さんがこの飛行機に乗っていたとしても貴方は撃ち落としましたか?と尋ねたとき
コッホ少佐は答えなかった。命の重さに差があるのか?
そしてフランツィスカ・マイザー証人が呼ばれる。
裁判長が「命を落とした」と言ったのに対して夫人が「命を奪われたのです」と言った。
確かに単に事故で命を落としたのではない、そこには人の意思が働いている訳だから・・・。
そして夫人は乗客がコックピットに入れたのか?と尋ねた。
もしかしたら乗客が犯人を取り押さえる事が出来たかもしれないのに・・・。
そうなればだれも死なずに済んだはず・・・、だがコックピトに入れたかどうか誰も判らないという。
そして其れが判ったところでどうなるものでもない。全て後の祭りだ。
そして弁護人(だったと思う?)の話の中に船の遭難の話が出てくる。
船が難破し救命ボートに乗り込んだのは5人、その中の若い少年を除いてあとはみな家族がある。
やがて食料も水も尽き船長はその若い少年を殺すことを決意する。その少年の肉を食べ血を飲んでみな生き延びた。
この若者の命を奪うことで家族ある人が救われるのが正しい判断なのか?
そして裁判で死罪が言い渡されたが恩赦され皆釈放されたと・・・。
この舞台の中で色んな事例が示される。
列車が暴走始めたときその先に乗客を乗せた客車がいた。
ポイント切り替えたその先に数人の工事に携わる人がいたとか・・・。
数の多さ少なさでその判断が正しいか誤っているかどうかを決められるのか?
この裁判で問われえるのはそこだと思う。
そして被告コップ少佐も弁護人の言う通り無罪を主張して裁判は終わる。
さぁ~この裁判の判決を下すのは参審員の観客だ!
10分の休憩の後判決は下された。
無罪199票 有罪217票
従って判決は有罪
ちなみに私も有罪に投票した。
例え7万人の命を救ったとしても164人の命を奪ったことを無しにすることはできない。
この裁判では刑期については全く触れられていなかったので、情状酌量で判断すべきと思いました。
1回観ただけの舞台なので、これだけ盛り沢山の内容をすべて覚えるのは不可能!
書き足りないことは沢山あると思うし間違っているかもしれないけどご容赦を…<m(__)m>
この舞台の中で飛行機に乗った時点で自分はハイジャックされるかもしれないと皆思っていると少佐は言ったけど
そんなこと誰も思っていないと思う。
毎日毎日世界の空で数えきれないくらいの飛行機が飛び交っているが、少佐の言う通りだとすると
だれも怖くて飛行機になんか乗れたのもじゃない。
皆安全を信じているから利用しているんじゃないの?
だがしかしだ、テロリストの標的になりやすいのも事実だ。
帰りのバスの中で9・11の事故の模様を思い出していた。
あの時は数機の飛行機がハイジャックされ乗客はすべて犠牲になった。
リアルタイムで見たあの凄まじい情景は今も頭の中に刻み込まれている。
あのツインタワーが崩れ落ちていくあの衝撃映像は生涯忘れることはできないだろうと思う。
TERROR・テロ
舞台「TERROR・テロ」を観て3日が経つ。
何故か心にひっかかるものがある。プログラムの中に世界中で上演された結果が載っているが、無罪が多い。
情としては納得がいくが、この舞台としてはそれで良いかと問いかけたのではないか?と思った。
アメリカでは「人質をとるテロとは取引しない」と決めていると記憶しているがテロを防ぐ方法の一つかもしれないと思う。
人質を取っても効果がないということだから・・・。
唯、人質の家族は辛いよね!
日本人はこういう決断は出来ないと思う。色々考えさせる舞台だった。