立春の夜に/短歌八首

何げなき君の素振りに他人への
想いに気づく寒き日の午後

沈みゆくこの身つなぐは先見えぬ
三味の生糸の撚りの細さよ

身も財も乏しき我に出来る技
それにも飽きし君を恨まじ

こがれたる那智の菩薩を画面にて
拝める時代の有り難きかな

行違う心の機微をメールにて
交わせば危うき薄氷を知る

厄除けの饅頭頬張る彼の人の
笑顔嬉しや風邪なおりたり

古来より繫ぐは目出度き祝い唄
習い覚えて次に伝えん

雪氷に寒さ極まる節分も
明くれば春の立つとはゆかし

立春の夜に/短歌八首

立春の夜に/短歌八首

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-02-07

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