she is not mine. 2


栗色をしていた。
 確か、とか多分、とかそういう曖昧な記憶じゃない。
 栗色の髪をしていた。


 細く伸びた手足は、周りの女子と
 比べ物にならいないくらい"キレイ"だった。


 顔は普通の上。
 優が言うには、スッゲータイプ、だそうだ。
 
 
 世間で言えば、こんな女子を"美女"というのか。



 「朝比奈くん。」


 「ん。何。」


 「誰か待ってる?」


 校門の前で一人ぽつんとしている俺を見て、
 彼女は誰かを"待っている"と考えたみたいだ。


 でも俺は常にぽつんとしている。
 誰かを待っていることなど、滅多なことがない限りは
 ありえない。



 「誰も待ってないけど。」


 「………そっかぁ。」



 彼女はいつも頬を、薄いピンクのチークで覆っている。
 何か、隠していることでもあるように。


 


 「あさひ………。」



 「一緒に帰る?」


 驚いた顔。目がくりくりしている。
 女子は男子のこういう言葉に弱いのか。



 「わ。私で良かったら!」



 「おう。」



 「実はさ、奈央ちゃん先帰っちゃって。寂しいな、って思ってた所なんだ。えへへ。」



 「そうなんだ。」


 (その見え透いた嘘は、俺の為についた嘘?)



 この日、初めて緑川とキスをした。

she is not mine. 2

she is not mine. 2

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
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更新日
登録日
2012-09-10

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