出来合いの退廃
人の色褪せる気配を身の内に感じるのは
それは一等強い体験の金字塔で
茨の道のように綺麗な場所を歩もうとしているわけではなくて
欲望の敷き詰められた巌の上を
人のいない静かで厳しい道を歩もうと思っているのだから
青空の照り返しに瞳を灼かれたとしても
やがて風雨の来ることを
臓腑を浚っていく風の来ることを願いながら
今はただ歩むのみ
今はただ己の無力を嘆くのみ
退廃に身を浸すこともできなければ
太陽の下に身を曝すこともできない
日の当たる部屋にて退廃を夢想することしかできず
光陰は矢のように進むだけ
出来合いの退廃