しろろ

真っ白な景色
目映い一本道
僕の命に合わせて
ゆらりと夢が舞った

誰かの足跡を
同じように踏みつけて
示されていたほうが
やっぱり楽だったりした

厭になって
投げ出して
やっぱり棄てきれずに

どうせならもう見たくない世界を
僕ごと真っ白く覆っちゃって
どうだろうもしかしたら
綺麗に見えるんじゃないかな
なんちゃってな
そんなことよくもまあ言えたもんだな

過ぎても過ぎても
途切れない幻想に
僕にはこの色が
どこまでも続いていると

ふと現実に返って
舞い込んだ静けさが
僕を突き刺して
そのまま去っていった

振り返って
また見つめて
もうちょっと頑張ってみようかな

ねえ時間を追いかけていた現在が
少しだけ進むのを諦めてしまったら
どうだろうもしかしたら
今がその時なんじゃないかな
どうして
置いて行くように駆け抜けていくの

戻ってこないとわかっていながら
今でもあの瞬間との再開を
待っているんだよ

それでも構わず地球は回って
僕を残して世界は過ぎて
今でも歩き出せずに

あなたが蒔いた真っ白な種を
今も大切にしているよ
花を咲かす事すら知らないまま
芽を出すことすらままならないまま
時間が止まっていて

止まっていて

それでも何処かへと消えていくんだね
次の街を白にしていくんだろう
急に景色を白く染めていって
いつの間にか溶けてなくなって
僕は
僕だけが取り残されてしまったような
なんちゃってな
そんなことよくもまあ言えたもんだな

しろろ

しろろ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-02-02

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