捕まるな・・・
プロローグ
―――「・・・っおい!!どうなってんだよ!これ持ってりゃ助かるんじゃねぇのかよっ!目ぇ覚ませよカズっ!」
―――「ダメだっ!このままじゃ捕まる!ミナ、ユキ、んなやつおいていこっ!」
―――「・・・んで・・・・・・なんでこぅなるの?カズを信じたアタシ達がバカだったの・・・?」
そぅ・・・あのとき、あんなことをしなければ
俺達がこんな目にあうことはなかったんだ・・・
すべては
あの日から始まった・・・
冬休み前
12月10日
四人全員が私立高校の受験に合格し
遊びの話をしていた
周りはまだ、受験生だから
大きな声では言えないが・・・な
四人全員というのは
幼稚園からの幼馴染みで
能天気で
何があっても笑顔のカズ
みんなの姉のような
男勝りのテル
とても優しくて
友達思いのミナ
それとオレ、ユキだ
そんな仲良しの俺達は、
冬休みの暇を潰すためにある計画を立てた。
それが
『肝だめし~真冬の寒い学校~』 だった
その発案者は
当然のごとくカズだった。
カズといることは楽しいのだが
絡む側としては、面倒なことや
ヒヤヒヤすることが多い・・・
その計画を立てた後日
夜中に入れそうな入口を探し回った
そして・・・見つけた
そのおかげで、肝だめしは実行することになってしまった。
肝だめしの目的は
楽しむのが一番だが、
俺達の学校にまつわる、七不思議・・・
それらの場所に行こう・・・だった。
七不思議
俺らの学校にまつわる七不思議
1. 0:00にトイレの鏡を見ると、未来の自分が見れる
2. 4階から屋上への階段の踊り場に、首を吊った霊が出る
3. 音楽室のピアノが勝手に鳴り響いている間に入ると、教室から出られなくなる
4. 校庭の隅のいちょうの木があったところを2:22に掘り返すと、人間の骨が尽きることなく出てくる
5. 理科室の人体模型に、『お前は生きている。動け。』と、3回唱えると、本当に心臓が動き出す
6. 保健室のベッドに人影が見えたら、カーテンを開けてはいけない。あの世に連れていかれる
7. 体育館に、4:44分に4人で入ると、かくれんぼしよう。と、声が聞こえる。見つかると………
カズ「お前らも知ってんだろ?この七不思議。」
ユキ「知らないわけがないだろ?!」
ミナ「怖いよ…やめよぅ?」
カズ「俺さ…7のやつ、誰も語れないのを試して、広げたいんだよな。」
3人「?!」
テル「…っ、バカっ んなの、一番やりたかねぇよ!」
みんなが反対していた
が…
カズは強行した………
この決断を下したときに
俺たちの未来は…
運命は決まってしまったな
と、気付くのであった…………
真夜中の作戦
俺達は
『肝だめし~真冬の寒い学校~』の計画を立てるべく
カズの家に集合した。
時間は17:30を回ったところだった
カズ「全員揃ったし、早速、本題と行きますかっ」
ミナ「いつ・・・やるの?」
テル「クリスマスなんかどうかなぁ?」
カズ「おっ!それいんじゃねっwwwww」
テル「じゃあ、こうする?
12月25日の23:00に、学校の正門前。
懐中電灯と、時計と、携帯は必需品ね!」
カズ「やるじゃんテル!さんっせー!!」
ミナ「・・・わかった」
俺も、承知した・・・
時の歯車はもぅ、止まらない………
終業式から冬休み…そして前日
12月20日
学校は、無事に終業式を終え
受験組には大切な冬休みがやって来た
肝だめし決行まであと5日…
俺は内心、危険なのではないかと
心配していた…が
自分の中で湧いてくる『行くんだ』と言う気持ちに
突き動かされていた
テルとカズは心から楽しみにしているようだった
その一方で、ミナに異変がある…
なにかに怯えているような…
なにか…大事なことを知っているよぅな
そんな感じだった
でも、そんなことは気に留めていられず
4日が過ぎた…
俺は
次の日の支度をする
カバンの中には
懐中電灯
時計
携帯
他に、なにを入れたらいいのかとかは
浮かばなかった
そして
ついにその日が来た…
23:00の正門
25日
23:00 予定通り
全員が、正門前に集合した
そこから、前に見つけた抜け穴へ…
途中で
カズが、あるものを渡してきた
カズ「お前らさ、イア先輩と、シキ先輩と、ナユ先輩と、シヨ先輩、わかるだろ?今の俺たちみたく、四人で七不思議を試しに行った…その先輩たちから、お守り、人数分預かってんだ。
かなり怖いらしいし、それなりのことも起きたらしいんだ。
だから…一応持っとけよ?」
渡されたのは
不思議なぬいぐるみ
後ろには刺繍で名前が入れられていた
先輩達の名前が…
ちなみにいうと
イア先輩の、猫のぬいぐるみはミナ
ナユ先輩の、兎のぬいぐるみはテル
シキ先輩の、熊のぬいぐるみはカズ
シヨ先輩の、犬のぬいぐるみが俺
で、手渡された
適当に渡したようで、実は
ミナにイア先輩のを渡したのには意味があった
二人に共通するもの…
『霊感』が、あるから…
今回の肝だめしで、一番危ないのはミナだと
全員が思った
だから、イア先輩のを渡していたのだ…
そうこうしているうちに
抜け穴へ…たどり着いてしまった
肝だめし~真冬の寒い学校~
抜け穴を潜り抜け
俺らは、夜の学校へ入っていった
やはり
冬の夜ということもあり
空気が冷えきっている…
…気のせいだろうか
校舎に入ってから、ずっと視線を感じる…
カズ「体育館のまで時間あるし、他の七不思議も見に行こうぜ!」
その、カズの案で
目的外の物もまわった…が
ミナが震えているだけでなにもなく
ただ、探検しているだけのようだった
そして
そうこうしているうちに
時刻はAM4:40
俺達は、体育館へと移動した
あと、3分…2…1……44分
ガラッ
『・・・。』
テル・カズ「なにも、なぃみたい…だね」
ユキ「確かにな… …?ミナ、どうした?」
ミナ「あ…あそこに………」
ミナ言う方向を全員が見る
そこには…
いつからいたのだろうか
男の子がいた…
『おにぃちゃんたちぃ~あーそーぼー
かくれんぼしよう~
僕が鬼ね。10分で隠れてねー
いーち、にぃー、さぁーん・・・』
ミナ「キャァァァァァァァァッ!!」
ユキ「これやべぇよっ!みんな逃げるぞ!」
テル「ちょっと待って!カズがおかしいよ…
ねぇ、カズ?ちょっと?!」
カズが目を覚まさない…
捕まるな・・・