【掌編小説】生きものの記録

六井 象 作

 のぼり坂を機嫌よく歩いていたら、それまで吹いていた心地の良い風がとつぜん凪いでしまった。
 お母さんから渡された買い物のメモを握りしめたまま、不安になって立ち止まる。
 耳を澄ますと、坂の上の丘の向こうから、ペンを動かす音が響いてきた。
 どうやらまだ続きが出来上がっていないらしい。

 今度の人はずいぶん遅い。
 前の人の方が早かった。
 まあ、前の人はお母さんを病気にしてしまったけど。

【掌編小説】生きものの記録

【掌編小説】生きものの記録

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-01-25

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