サバンナに生きし友に

灼熱の草原の光の中に生れてよりこのかた

姉弟ともに無心に母の乳を飲み幸運にも

数々の試練や捕食者の襲撃を逃れた彼女は成長し

美しさと強さを兼ね備えた一頭の

紛れもなき女豹となった

そしてかつての母が為した如くに今日まで

長きに渡って子を産み育て

弱肉強食の修羅の世界を生き抜いてきたのだ


その彼女が今や深い傷を負い枯草の大地に

動けなくなった自分の身体を横たえている

その一生に想いを巡らせていたのであろうか

夕陽のサバンナを眺めていた金色の瞳はやがて

静かに眠るように閉じられ

二度と再び開くことはなかった

やっと彼女に生きる苦悩から解放され

永遠の安らぎが訪れた瞬間だった


彼女は立派に一頭の女豹としての一生を終え

遥かな世界へと旅立っていった

その生前の姿は今も私の心の中にしっかりと生きづいている

さらば友よ  美しく勇気ある者よ

サバンナに生きし友に

サバンナに生きし友に

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-25

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