僕らはゾンビ対策官 丹波&羽部編 Ⅱ
東京美術館正面入り口……
「新宮さんは上にいったのかな?」
丹波はそう言いながら東京美術館の入り口までやってきた。が、この時新宮は上の階に一人で行ってしまったため、この場で待機するしかなかった。
「だけど新宮さん大丈夫かな?」
「なぜ?」
「少し前に殺所の要らなくなったゾンビ殺しにいったでしょ。そのとき見ちゃいけないようなものを見たような気がして……」
丹波はそう言うと殺所でのことを話始めた……
数日前、関東ゾンビ殺所場……
「殺るか!」
そう言ったのは新宮だった。この日、新宮率いる第二部隊は関東ゾンビ殺所場…… 通称「殺所」に来ていた。この部隊の仕事はこの殺所にいる要らなくなったゾンビの処分だった。この殺所には関東全域で捕まえられたゾンビが送り込まれている。なのですぐにゾンビで溢れかえってしまうため、定期的にゾンビを処分する必要があったのだ。
「丹波、これあげる」
新宮はそう言うと丹波に一枚の紙を丸めて投げた。丹波はその丸まった紙を受け取り、紙を広げた。そしてその紙を見てみると、そこにはこれから処分するゾンビが書かれていた。
「こんな大切な紙を丸めるって何を考えてるんですか?」
丹波はすぐにそう言ったが、新宮には伝わらないことは既に分かっていた。そして新宮もそれに答えるかのようにこう言った。
「ちゃんと考えてたらそんな事しないよ。赤線引いてるやつ以外は殺っといて!」
新宮はそう言うと地上監獄棟から出ようとした。そんな新宮に丹波はこう聞いた。
「新宮さんはどちらに?」
そう聞くと新宮は下を指差してこう言った。
「私は赤線で引っ張ったやつを殺るために地下監獄に行ってくるよ」
新宮はそう言うと地下監獄への階段を下りようとした。しかし地下監獄へは最低二人、その内の一人は三等ゾンビ対策官以上の階級の人がいないと行ってはいけない規則があった。
「自分も行きます。地下監獄には最低二人からしか行ってはいけない規則があるので……」
丹波はそう言うと新宮のいる地下への階段へと向かおうとした。すると新宮は丹波にこう言った。
「来なくていい。私一人で充分だ」
「そういう問題じゃないです」
「それに一人でいったのがバレたとしても、日本に居なくてその規則を知りませんでしたって言えばすむよ。それじゃ頼むよ」
新宮はそう言うと階段を下りていってしまった。もちろん丹波は一人で行くことを許すわけがない。すぐに新宮のあとを追って階段を下りた。しかし地下監獄への鉄の扉が閉められていた。
「どうなっても知りませんからね!」
「あいよ」
丹波は新宮からの返事を聞くと、呆れて地上監獄棟へと戻った。
それから十分後……
地上監獄棟に残った丹波達は、地上監獄に捕らえていた処分対象のゾンビを倒し終わった。地上監獄にいるゾンビはどれも普通のゾンビだったのでスムーズに処分が終わり、丹波達も負傷者はいなかった。
「新宮さんに報告してくるから皆はここで待ってて」
丹波はそう言うと新宮のいる地下牢獄へと向かった。しかし予想通り鉄の扉は開いていなかったので、外から新宮を呼んだ。
「もう終わったのか。早かったな」
新宮はそう言うと丹波の前に姿を現した。
「ちょっ!何があったんですか?」
丹波は新宮を見ると腰が抜けそうになった。しかしそれもそのはず。新宮は全身血塗れだったのだ。
「いや。これは私の血じゃなくてアイツのだ」
新宮はそう言うと丹波に地下監獄の中を見せた。丹波は中を見ると一つの牢獄の中に大量の血があるのが見えた。なのでその牢獄に近付いてみると、その血の中に小さくなった肉片があるのが見えた。
「まさかゾンビを倒すだけなのに、肉片になるまで斬ったの……」
丹波がそこまで言ったときだった。突然新宮は丹波の口をおさえた。そして丹波の耳元でこう言った。
「この事は他の人にいうなよ」
新宮はそう言うと階段を登って行ってしまった……
東京美術館正面入り口……
「あの時はその殺り方がオーストラリア流なのかと思ったけど、調べたらそんな殺り方はしないらしいんだよ」
「ヤバい人?」
羽部がそう言うと丹波は頷きこう言った。
「そう。多分実力はあるんだろうけど、人としてヤバいかもしれない」
「まさかね……」
羽部は半信半疑でそう言った。上の階で新宮が血塗れになっているとも知らずに……
僕らはゾンビ対策官 丹波&羽部編 Ⅱ
羽部暁葉(はべあきは)
ゾンビ対策士長
武器……大鎌
短剣
拳銃