eat me

春乃

「たべちゃってよぜんぶ、ぼくのこと」



寝台に横たわった身体を抱いた

ちのけなんてない真っ白で、絹みたいにすべすべで

お菓子よりずっといいにおいがした

いつも通りの目がわたしをみた

透き通っているのに、ほんとはどこも見てないの

ガラス玉入れた人形みたいな彼のひとみ

すきだけど、今は見たくない



腕をとった

細くて軽い、夢みたいに軽い

これをわたしは食べるのか?

本のページをめくるしか能のない彼の指

これが今首に巻きつくなら、わたしだれに何をあげたっていい



脚をかかえこんだ

こんなにたよりないものが存在していていいのか

たいじゅうなんてかけたら粉々になってしまうだろうそんな脚

ただの飾り

彼の美しさを際立たせるだけ



指先にキスをした

てくびに歯をたてた

じゅって染み出た彼のたいえき

苦くてまずいよ、どうしてこんなことをしてるの



ねえできないよ、たべるなんてできないよ



いやだなって思う

やりたくないなって思う

彼が望むなら叶えてあげたいって考えてたけど、でも、


口にいれた肉がぼろって崩れた

ああなんて脆いんだろう

でもなんてきれいなんだろう

彼の表情が網膜に張り付いた

ねえこれでよかったの、これが幸せなの

顔が気持ちを裏切ってないかだけが気がかり




こんなことして何になるんだろう

あとどれだけこんな思いを飲み込めばいいんだろう

彼はもう半分しか残っていない

eat me

eat me

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted